元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
勝利の歌
2022/6/9(木)
皆様、こんにちは!とうとう梅雨入り間近となりました。相変わらず我が家の周りではカエルの大合唱が見事なソングラインを整えてゲロゲロと歌声を披露しています。そんな中、恒例となりましたキムチの発注が行われ、久しぶりに食べるいつものキムチの美味しさにテンションが上がっている状態になっています。そう言えば、我が家のキムチは戸崎君の勝利に繋がっているため、今週は注目して競馬を観ないとなと思っています。
それでは競馬の話をしましょう。東京競馬場で行われた安田記念で見事な勝利の歌を奏でたのはソングラインと池添君のコンビでした。林調教師と共にG1を取りたいという思いを形にしましたね。ヴィクトリアマイルの悔しさを見事に晴らした勝利になりました。これで林調教師、ソングライン共に初のG1勝利となり、非常に嬉しいレースとなりました。前走から中2週という難しいローテーションで、力強い馬体から私としては1400mがベストになってきたのかなと思っていましたが、いい意味で期待を裏切ってくれました。
レースはスタート一番ホウオウアマゾンが主張し、ダイアトニック、レシステンシアと続くような形となりました。4コーナーでダノンザキッドが出てくると勝負あったか!?と思いましたが、外から一気の脚でソングラインが差し切りました。池添君がよく理解した乗り方をしたというのは当然、調教をつけていた津村君の力も大きかったなと思いました。まさに厩舎サイドに津村君、池添君と勝利の歌を奏でた素晴らしいヴィクトリーラインでした。
2着のシュネルマイスターは、ドバイではいつも通りの走りができずに早熟を疑いましたが、今回の走りでまだまだ走れるところを見せつけてくれたと思います。3着のサリオスに関してはマイナス22キロで走りが1段階軽くなったように見えました。ここまで絞るのは非常に勇気のいる決断だったと思います。しかし、堀調教師としては結果がなかなか出ない中で、多くの仮説の中からチョイスした減量が正解だったではないでしょうか。
1番人気に推されるも敗退となったイルーシヴパンサーに関しては、自分でレースが作れない馬の最悪パターンにハマったと思います。力としては負けていなかったと思いますが、どうしてもレース展開に左右される脚質に、外からエアロロノアに張られてしまい万事休すという感じでしたね。典ちゃんが乗っていたら、もしかしたらもっと良い結果になったのではないかなと想像したくなるレースでした。セリフォスやダノンザキッドに関しては、次を見据える意味ではいいレースになったと思います。
今週からは、ホースマンが大好きな函館競馬が開幕となります。函館、東京、中京の開催になりますので、お間違えなく。特に注目レースは函館スプリントSになります。涼しい気候に綺麗な馬場で前残りが多いイメージですが、函館と言えば毎年のように中竹厩舎が気になります。そんな中竹厩舎からはビアンフェが出走してきますね。ゲートが少し心配ですが、簡単には止まらない強さを今年も発揮してくれるかもしれません。斤量50キロで浜中君が体を絞ってでも乗ると決めたナムラクレアからも目が離せません。
人気はありませんが、穴として私が注目しているのはヴェントヴォーチェになります。前走の勝利タイムを見る限り、力を発揮できればスプリント界で一気に主役になれる素質があるはず。ここがまさに勝負所といった感じだと思います。その他では重賞勝ち馬プルパレイも斤量的に面白いですし、馬が嫌気を出さなければといったところではないでしょうか。はーるばる来たぜ函館~と勝利の歌を奏でるのはどの馬か。イカール星人の登場にも期待して楽しみたいと思います。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。