
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
意 志
2022/9/7(水)
皆様、こんにちは!ゴルフ界ではドバイで新たなリーグが話題になっています。今までのアメリカツアーから更に高額の賞金を目玉に多くの有力選手がリーグ移籍をしていくようです。歴史を重んじるゴルフとはいえ、選手としては働ける期間の長さを考えると、賞金の高い所で勝負したいというのは自然の流れではないでしょうか。どちらにも出ることができればよいのでしょうが、今はそうはいかないようです。稼ぎを考えるとそこには選手の意志を尊重させた選択をさせてあげたいなと思いました。
さて、先週の競馬をしましょう。まずは重賞レースよりも前に日曜小倉6Rについてお話させてください。勝利したのは小牧太騎手とワンダーブレットのコンビでした。小牧君にとっては1年ぶりの勝利となり、ゴールの際にはガッツポーズが出ましたね。前走は勝ったか?というタイミングで最後に交わされ2着。そして今回、3歳未勝利最後の戦いでの勝利となりました。
息子が障害専門騎手になり、父として一緒に乗ることは叶いませんが、同じ騎手としての時間をかみしめていると思います。今までの成績を考えると、1年ぶりの勝利というのに大丈夫か?と感じる方も多いと思います。しかし、それでもまだまだ勝利を求め、体にムチを打ち、週末に向けて体重を減らす。それだけ無理をしてでも勝ちたい。これが全てだと思います。だからこそ今回は染みる勝利だったと思います。
ベテランの諦めない姿とガッツポーズに「よく諦めなかった!!」とゴール後には私も涙が出てしまう勝利でした。感動しました。まだまだ小牧君の勝利を見たいなと思います。小牧君の意志でできるところまで騎乗する姿を見せてほしいです。

そして、夏競馬を締めくくるレース達の中から新潟記念を振り返りたいと思います。勝利したのは赤帽のカラテでした。転厩後、慣れるまでに少し時間がかかっていた印象を受けましたが、じっくりと慌てずに順応させ、距離を延ばし最高の結果を出しました。騎乗した菅原君にとってもこの馬とのコンビで中距離まで走り勝ち切れたことは大きかったと思います。折り合いとしても全く問題ありませんでしたし、幅が広がったことは非常に価値ある勝利でした。
2、3着にはピンク帽が入りました。2着にユーキャンスマイル、金子オーナーの馬は歳をとってもどこかで走るというのがここでも出たレースでした。石橋君の思い切りと展開や枠もかみ合った気がします。3着に入ったフェーングロッテンは53キロと恵まれた斤量だっただけにもう少し結果がほしかったところですが、古馬相手にも戦えたことは大きかったと思います。次は菊花賞を目標にやっていくということで、ジリジリと伸びるあの脚で距離に対応できれば面白いレースをしてくれそうだなと思います。新潟記念はピンク帽を来年もしっかりと覚えておきましょう!

夏競馬も終わり、今週からは中山・中京の2場開催になります。名前が似ている2場での開催になりますので、馬券を購入される際はお間違えなく。土曜日には紫苑S、日曜日には京成杯AH、セントウルSが行われます。この中でも私の注目はセントウルSになります。人気を集めるのはソングラインとメイケイエールの2頭でしょうね。
ソングラインはベストが1400mになってきていますし、前走は池添君の技術もありましたからね。マイルからスプリントへの距離変更に少し戸惑いが出てしまうかもしれません。その分、メイケイエールにとっては負けられないレースになると思っています。0か100のどちらかに転びそうなサンライズオネストと典ちゃんの新コンビがどれだけかみ合うのかも楽しみです。中京競馬場で行われるだけに馬場にも注意しながら見ていきましょう!馬券もご自分の意志で買ってくださいね(笑)。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。