元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
プレイボール!
2022/9/15(木)
皆様、こんにちは!今週は何と言ってもヤクルトの村上選手の話をしましょう!王選手に並ぶ日本人歴代最高の55本目のホームランを打ちました。どこに投げても打たれてしまうような恐怖すら感じる威圧感で、記憶を持って、改めてすごい選手だなと思わされました。まだ、残り試合を考えるとバレンティン選手が記録した60本を抜き、日本人選手ではなく日本リーグ最高記録を出してもらいたいなと思います。
プロ野球の話題ということで、ジョッキーが始球式に挑むみたいです。20日には甲子園球場で松山君が、22日には京セラドーム大阪でルメールが始球式を行います。今までも多くのジョッキーが始球式に挑んできましたが、今回はどのような球を投げるのか非常に楽しみにしています。是非、皆様も二人の投球を見てくださいね。
それでは先週のレースを振り返りましょう。プレイボール!まずは何と言っても、スプリンターズSの前哨戦になったセントウルSですね。勝利したのはメイケイエールと池添君のコンビでした。返し馬では気が入りすぎかなと心配していましたが、レースでは展開も向いたこともありますが、陣営が我慢を覚えさせてきたことが成果を出しました。直線で引き離した後の走りも立派で、本当に強い内容だったと思います。中山の本馬場入場するまでに多くのお客様と近い場所を通ることがどういう影響が出るのか、急坂をどう攻略するか等の心配はありますが、本番でも本命に選ばれる勝利でした。
3着に入ったサンライズオネストはベテランの味が出るレースでしたね。戦前に典ちゃんとのコンビは0点か100点かと期待していましたが、馬の調子的にもまだここからということもあり、丁寧にレースを教えながら走らせた印象でした。この後、典ちゃんの効果と調教で、本番はどこまで女王に立ち向かえるのか楽しみになりました。5着のソングラインは事前に書いていたような心配がそのまま出たようなレースだったと思います。ベストはやはり1400~1600mでスプリント戦は少し忙しい印象でした。しかし、調整という面では素晴らしい走りをしてくれていましたし、次は期待ができそうです。
日曜日に行われた京王杯AHでも素晴らしい勝負がありました。勝利したのはファルコニアと吉田隼人君のコンビでした。メンバーとしてもここは負けられない一戦でしたが、今まで勝ち切れずにいた同馬はこれでひと皮剥けると思います。そして、2着に入った岩田康君の騎乗はしびれましたね。ハナに行くとどうしても集中しきれないところがあったミッキーブリランテを、ペースが遅いと見るや考えるよりも先に体が動いたようにハナを奪いにいきました。
さらに集中させながら走らせたのですから。これは簡単に見えても、そうできることではありません。馬場やペースからしてもベストの騎乗だったと思います。勝負師・岩田康君の良さはこれだ!と思わずレース中に叫んでしまったほどでした。G1に入ると少し足りないメンバーになりましたが、最高の勝負を見せてくれたレースでした。
今週は3日間競馬になります。中山・中京の2場開催で、重賞としては阪神JS・ローズS・セントライト記念が行われます。その中でも最注目はローズSだと思います。1番人気には母との取り残したG1制覇という夢を持ってアートハウスと川田君のコンビが推されるでしょう。本番に向けて夏の成長を感じたいレースになると思いますが、オークスから気性が成長していれば敵はいないのではないでしょうか。
そこに待ったをかけたいのが遅れてきた天才サリエラとルメールのコンビになります。阪神ではなく中京で行われるのも利点だと思います。前走では少し時間がかかる脚となりましたが、ルメールにとってはあのレースを見れたことが非常に大きな意味を持っています。ここに穴と呼べるほど人気は落とさないと思いますが、ドバイ勝利コンビ矢作厩舎と吉田豊騎手のパーソナルハイがどう絡んでくるのか、またラリュエルも気になります。
本番に向けて結果にこだわりたい陣営と、調整目的も才能で勝ち切りたい陣営とに分かれると思いますが、そのあたりは自分の目を信じて懸けてみましょう。ホームランという万馬券はすぐそこに!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。