元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ブ ラ ボ ー
2022/12/7(水)
皆様、こんにちは!日本サッカーのワールドカップが終了しました。激戦を終えた選手には拍手しかありません。今回ほど優勝を狙えるのではないか?と感じられた大会はなかったと思います。確実に全ての選手の目標が上がり、夢を背負い戦ってくれた闘志は次の世代や子供達にも伝わったと思います。よくやったと同時に、ここで満足している選手は誰一人としていないはず。だからこそ、メディアやファンもよく頑張った!でも、もっと勝てたと称賛するだけではなく、上にいける!という目線での応援も必要だと感じました。
この大会が終わったことで日本代表メンバーも大きく変わってくることでしょう。しかし、今まで引き継がれてきた魂は、吉田キャプテンから確実に後輩へと引き継がれたと思っています。次は遠藤選手がキャプテンになるのではないかと私は予想していますし、ピピ中井君も招集され始めると思っています。1つの世代が終わり、悲しみと共に日本の未来に一筋の光を差した2022日本代表は素晴らしい功績を残しました。感動をありがとう、次こそは優勝を目指してください!
競馬界では香港国際招待に騎乗予定だった川田騎手が新型コロナに感染してしまったというニュースが流れました。現在、日本のトップ騎手が騎乗できないとなると、一流馬達がどう乗り替わるかにも注目しています。感染を広げないためにマスクを徹底していた彼が罹ったとなると、もう誰が罹ってもおかしくないなと思いました。ワールドカップの観戦は楽しめましたが、コロナ感染は楽しめないですからね。早く元気に戻ってきてくれることを願っています。
先週は中京競馬場でダートの頂上決定戦チャンピオンズカップが行われ、ジュンライトボルトと石川騎手のコンビが初G1勝利を挙げました。最後は芝かと思うほどのキレ味ある末脚を繰り出しての勝利は衝撃でした。レースはスタートから大外のレッドソルダードがハナをきる形になり、少し掛かり気味にクラウンプライドが2番手の位置につけました。ここで前に馬が置ければ最高だったのですが、それができなかったため、少し折り合いに時間を要しました。しかし、福永君は上手くリカバリーしたなというイメージを持ちました。
迎えた4コーナーでは内からハピが迫り、ダントツ人気のテーオーケインズの手応えを見るとクラウンプライドがもうひと伸び。これは勝てるぞ!と思った矢先、外からジュンライトボルトが一気の脚で突き抜けました。石川君としても内で折り合いに専念し、あとは弾けてくれ!と信じきったブラボーな騎乗だったと思います。友道厩舎にとっても初のダートG1勝利でした。
クラウンプライドはドバイでの勝利から2着が続いていますが力は見せています。しかし、1頭になってしまうとどうしても甘くなるだけに、抜け出すタイミングを考慮することと1コーナーの入り方をこれから改善していく必要があるなと感じました。それは簡単なことではありません。しかし、勝つためには陣営がやり切るしかないことだなと思っています。3着にも3歳馬ハピが入りましたが、こちらもどのような競馬にも対応できるようになってきているだけに来年が非常に楽しみです。ブラボーなレースでした。
今週は阪神ジュベナイルFが行われます。注目を集めるのはラヴェルとリバティアイランドの再対決になるのではないでしょうか。しかし、前述したとおりリバティアイランドには川田君が乗れるのか、コロナのために乗り替わりになるのかが大きなポイント。前回はラヴェルに敗戦しましたが、展開を考えると逆転の目はあると思っています。その大事なピースが川田君なので、どうなるのかが心配です。
2強に割って入るとすればウンブライル、リバーラ、ドゥーラ、ブトンドールに家族の絆モリアーナあたりではないでしょうか。将来的に強い世代になりそうだなと感じていますし、牝馬黄金世代候補のブラボーな結果を楽しみにしましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。