
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
それぞれのターニングポイント
2023/2/16(木)
皆様、こんにちは!2月15日でとうとう73歳を迎えました。誕生日当日には好きなチーズケーキを食べました。昔から考えるとこんな歳まで自分が生きているのは想像できなかったです。週末にかけ何キロも一気に減量していましたし、レースが終われば食べられなかった反動からかお酒に料理にと健康的ではありませんでしたからね。
今年からJRAでは騎手の身体のことも考慮し、斤量が1キロ増やされたとニュースになりましたが、これは本当に大きなことです。減量は100gでも負担ですからね。現役時代からはすっかりと増量した私ですが、変わらずに週中、週末と競馬を楽しみに生きていきます。

それでは、先週の競馬を振り返りましょう。何と言っても京都記念は素晴らしいレースでしたね。京都競馬場が工事のため阪神2200mで行われましたが、勝利したのはダービー馬ドウデュースでした。阪神2200mと言えばピンク帽がよく勝つイメージがありましたので、逆にいい枠だなと考えていましたが、最高の走りになったと思います。
ダービー勝利後、凱旋門賞では本来の走りができず、イメージとしてフロックだったのでは?と感じてしまった方も多かったと思います。そのモヤモヤとしたところ、全てを払拭するような走りでした。担当の前川君にとっても重圧のかかるターニングポイントになるレースだっただけに、今回の勝利は本当に嬉しい勝利だったことでしょう。
この裏には凱旋門賞の後、ジャパンカップや有馬記念に向かわずに休ませることを判断した友道先生も素晴らしかったと思います。全てが噛み合っての勝利は素晴らしいの一言でした。2着に入ったマテンロウレオは典ちゃんが大切に大切に育ててきたことが理解できました。4角までジッと内で我慢させると一気に外に出しながら勝負できたのは典ちゃんの教育と技術あってのレースだったなと印象つけられました。
そして、このレースでエフフォーリアは競走中止となりました。一昨年の有馬記念勝利後、馬が走ることが嫌になったような印象を受けていました。前走では少し燃え上がってきたように思っていましたが、今回の返し馬では体はよく見えたものの本気で走りたがっておらず、どこか嫌になっているように見えました。
この時点で結果は出ないだろうと感じましたが、まさかの競争中止からの引退という展開に…。もう一度、圧倒的な走りを見たかったですが子供達に夢を繋ぐことになりました。それでも父になることができたことを喜び、彼の強さを子供に引き継いでいってもらえたらなと思います。

今週は2023年の初G1フェブラリーSが行われます。カナダからシャールズスパイト、川崎からもスピーディキックが参戦。福永君にとってはJRAでの最後のG1となりますし、注目度が高い一戦になると思います。そんなレースの私の本命はこの馬しかいません。それは戸崎君騎乗のドライスタウトです。
前走は展開が上手くいかなかったこともありますが、どこか余裕残しのところが見受けられました。今回は2週連続で戸崎君が栗東に駆けつけ、G1に対してコメントを強く残し、勝つことへの気持ちがこもっていると感じたからです。更に言えば、共に歩んできたレモンポップではなくこちらを選んだことも結果で正解だったと見せてほしいですからね。
人気にはレモンポップのほうが選ばれると思いますが、私の見解では少し距離が長い気がしています。そこを坂井君がどう作り上げるのかにも注目しています。今週日曜は戸崎君の勝利にて、黒ビール(ドライスタウト)で祝杯できることを期待しています!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。