元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
令和の黄金コンビ
2023/3/9(木)
皆様、こんにちは!先日、JAXAは種子島からロケットのテストを実施しましたが、残念ながら失敗に終わってしまいました。TVにはバネ工場などの色々な方が出ており、それぞれの思いを聞きながらロケットという夢の大きさ、本当に多くの人達が設計を繰り返し作り上げていくものなんだと感動しました。競馬も似ているなとこのニュースから感じてしまいました。
生産から毎日毎日、誰かの手が必要になり、想像もできないほど寒い中、馬を競走馬にと調教に跨り、厩舎に入り。レースは一瞬で終わってしまいますが、それまでの過程はとても大変です。ロケットでも部品ひとつこうしていればよかったと職人さん達は考えているはず。1を作るために0.0001の単位から積み上げる大変さをリスペクトしたいなと思いました。次こそは宇宙へと飛び上がることを願っています。
先週は中山競馬場にてディープインパクト記念弥生賞が行われました。勝利したのは令和の黄金コンビ松山君と堀厩舎でした。このコンビが関東で重賞に出てきた際の勝率はすさまじく、外国人起用が多かった堀先生が、松山君ならと認めざるを得ない結果を出しています。勝利したタスティエーラは堀先生が管理していたサトノクラウン産駒になり、産駒として初の重賞制覇となりました。血統的にもディープインパクトが入っていないだけに、さらに馬産地としては注目が集まるような勝利でした。
レースでは豊ちゃんとゴッドファーザーのコンビがハナを奪う形になり、1番人気のトップナイフと典ちゃんは2番手につけました。1コーナーの後には行きたがる素振りを見せましたが、ここで行けば勝てるかもしれないが皐月賞には繋がらないと典ちゃんは我慢させることを選びました。その外につけたのが松山君とタスティエーラのコンビでした。4角ではワンダイレクトとルメールが動いてくる中、早めに動きだすと最後まで交わされることなく勝利しました。勝ちに動き、勝ち切ったことは非常に大きな意味があったと思います。
逆にトップナイフに関しては最後の直線で内を狙い、万全のレースをしましたが、勝ち切ることはできませんでした。しかし、ここで教えたことが本番で活かされると考えると典ちゃんの騎乗は素晴らしかったのかなと思います。期待していたワンダイレクトはルメールのソツない騎乗だったなと思います。前走までの2戦では2000mでも対応できていましたが、一線級とやるとなると1800mがベストになのかもしれません。しかし、厩舎としてはここの敗戦で200mがベストにする方法をトライしてくるはずで、まだまだ楽しみではあります。
混戦が予想される牡馬クラシック戦線に圧倒的な力を見せつけるようなレースではありませんでしたが、今回の走りからも父に似て重馬場にも対応できそうなタスティエーラは天候次第では本命を打ちたい一頭だなと感じたレースでした。
今週からは3場開催となります。中山、阪神に加え中京競馬が開催されます。その中でも注目のレース日曜阪神のフィリーズレビューになります。桜花賞に向けての一戦となるだけに注目していますが、その他にブトンドールが最強のスプリンターになれるかを見極めたいと思っている一戦になります。勿論、人気としても選ばれるでしょうが個人的には1200mがベストと思っているだけに、ここでどういうレースをするのか興味がつきません。
1400mでブトンドールに先着しているリバーラにとってはここで勝てばスプリント路線の主役を自分がというレースになると思っています。この2頭に対抗してほしい注目馬がルーフ。前走でも素晴らしい脚を見せてくれましたし、一気にスター街道へと繋がってほしいと思っています。負けなしのトラベログがどんな走りをしてくれるのかなど楽しみな一戦ですが、色々とターニングポイントにもなりそう。希望の未来へ飛び上がるのはどの馬か。テイクオフを是非、競馬場でご覧ください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。