元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
WBCと競馬ワールドカップ
2023/3/23(木)
皆様、こんにちは!WBCは興奮しましたね!思えば予選から源田選手のケガや鈴木誠也選手の辞退など思った通りに運びませんでしたが、それでもチーム一丸になり、戦ってきました。ダルビッシュ有投手はチームをまとめる裏のキャプテンとしても大きな役割を見事に果たされましたし、大谷選手は結果でチームをけん引しました。
メキシコ戦では吉田選手の同点ホームランに不調と言われていた村上選手の勝ち越し弾。そして、決勝でも最後に同僚トラウトに対して大谷選手の三振と、まるで全てがドラマのような幕切れに感動しました。チーム一丸となり必死にトップ選手たちが勝ちにいく姿勢は、本当に素晴らしかったです。
今週は競馬界でもW杯といっても過言ではない重賞レースがドバイの地で行われます。別々の厩舎での挑戦となりますが、気持ちはチームジャパンとして全ての馬に素晴らしい結果を出してもらいたいと思っています。アウェー環境で思い描いた調教もできない中、現地で沢山のホースマン達が勝利を手にするために海を渡っています。だからこそ、勝ってほしい。そう思っています。Watashi は Bigな声援をCrownPrideに送っておきます。夜中の放送になりますが、皆様もライブで観てもらいたいなと思っています。がんばれチームジャパン!!
先週は阪神大賞典を勝利したジャスティンパレスに成長が見え、非常に楽しみになる走りだったと思います。相席食堂出演時には「外からルメール、ルメール」と言っていましたが、今回は内からルメール、ルメールでの勝利でした。これで3週連続の重賞制覇となりましたが、今回もやはり川田君とルメールは抜けているなというレースを見せてくれました。
一番面白かったところは4コーナーでの攻防でした。川田君は初騎乗ということもあり馬場や展開からも前目でのレースを選択しました。これは本番に向けてどこまでレースの幅を持たせるかを確認したいという意図があったと思います。この騎乗を見た時に、天皇賞(春)までセットで依頼を受けているなと感じました。ただ勝つだけでなく、本番に勝つために確認作業が何点も入っていたからです。そんな中でも、手応えよく4角を回る際には内に手応えのあるジャスティンパレス、人気のディープボンドが内にいることを確認すると、少し早めに踏み内のスペースを消す動きを行いました。
ここがまさに匠で、そっと早めに踏みながらもディープボンドに併せることで内のジャスティンパレスのスペースも消す動きだったと思います。しかし、百戦錬磨のルメールは焦らずに進路を見出すと一頭違う脚を使わせて勝利。プラス16キロの体重も成長分でしたし、本番でも注目する必要があると感じました。ボルドグフーシュも勝ちに動きましたが、2着と敗れつつ試しきれたことで次は川田君が更なる一手を選べる非常に楽しみになったレースでした。
ドバイだけでなく日本でもG1競走の高松宮記念が行われます。どうやら雨の予報だけに荒れるレースになるかもしれません。本命にはナムラクレアが選ばれると思います。スプリンターとしてここでほしいのはG1タイトルでしょうからね。それはメイケイエールも一緒で、陣営は取り扱いが難しくなるも結果が出ている休み明けで挑戦してきたことが吉に出ると考えます。池添君にとってはキツイ騎乗になりますが、それでも勝利するために心を決めていると思います。
その他にも前走圧勝のヴェントヴォーチェやピクシーナイトの復帰戦も注目されますし、ロータスランドやトウシンマカオやアグリにも十分チャンスがあると思っています。中京の馬場は雨で緩みやすいところがありますので、そこをじっくりと確認し、馬場適性を考えて勝負してみてください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。