元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
THE 豊
2023/4/6(木)
皆様、こんにちは!栗東では桜が満開になり、素晴らしい景色を見ることができました。日本は本当に桜が多く綺麗ですね。年に一度しか咲かない、この短い期間だけしか咲かない桜を見るために長い年月をかけ場所を使うのですが、これが日本人の粋というものだなと改ためて思わされました。この咲いている一瞬で全てが報われる気がしますからね。それは競馬でも同じかもしれません。早朝からトレーニングを行い、来る日も来る日も馬に跨り、開花という勝利で全てが吹き飛んでしまうのですから。競馬も桜も粋だけでなく心意気も大切だなと思いました。
先週行われた大阪杯ではジャックドールと豊ちゃんのコンビが見事な勝利を挙げました。豊ちゃんにとってはG1・80勝の記念勝利になりジャックドールにとっても本当に欲しかったG1タイトルになったと思います。今回は少し早めのペースとなりましたが、この馬にとってはそういったペースの方が走りやすいということを豊ちゃんは分かっていたのだと思います。
単純にペースに関しても時計だけを見て速い!と言うこともありますが、馬にとっては速めのペースで走り続ける方が本来の走りができる馬もいます。だからこそ、今回の豊ちゃんの判断と馬の理解は素晴らしかったと思います。天才の勝つべくして勝ったレースの作り方だったなと思わされました。
2着にはスターズオンアースが入りました。こちらはスタート後、外にいたキラーアビリティに寄られたことにより、ポジションがひとつ後ろになってしまいました。これは本当に痛かったと思います。しかし、クリストフはそのポジションからできる競馬をとすぐに切り替え専念させましたが、もの凄い脚で差してくるも2着と敗れてしまいました。それでも本当に日本の頂点に相応しい走りだったなと感じました。
次走はヴィクトリアマイルと発表されましたが、広い東京コースは非常にいいのではと思っています。しかし、距離的には長い方が向きそうと感じたので、ベストパフォーマンスはジャパンカップあたりで見られるのではないでしょうか。穴として期待していたノースブリッジもいい競馬をしましたが、やはりG1の壁は高いなと感じました。しかし、走り続けることでしか頂点を獲ることはできませんから、今後も挑戦してもらいたいなと思います。
今週は満開の桜は過ぎてしまいつつも桜花賞が行われます。すでに枠順も発表されましたが、注目は2歳女王リバティアイランドになります。中内田厩舎の勝利G1が全て阪神マイルということもあり、さらに注目が高くなっていると思います。世界を制した川田君だからこそ内枠でも自信をもって競馬をしてくると思います。しかし、周りのメンバーも簡単に勝たせるわけにはいかないと挑戦してほしいですね。
その中でも特に期待したいのがラヴェルになります。前走からリセットしてきたことによってどういう競馬をしてくれるのか非常に楽しみです。その他にも素質からしても楽しみなハーパーやペリファーニアに兄弟タッグで最後のディープインパクト産駒で結果を見せてほしいライトクオンタムなど、楽しみな馬達が揃いました。絶対的女王を逆転する目はあるのか、非常に楽しみです。2023クラシックの幕開け桜花賞、その一瞬、桜の女王の誕生をお見逃しなく!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。