元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
リ ズ ム
2023/4/13(木)
皆様、こんにちは!春の桜が一瞬にして舞い散り、ピンク色の景色からまた新緑の景色へと風貌を変えました。そんな中、ゴルフではマスターズが行われケプカ選手が優勝するのか!?と思っていましたが、最終的にJラーム選手の優勝で幕を閉じました。Jラーム選手と言えば少し変わった、今までの常識を覆すようなバックスイングの小ささと体幹の強さが目立つ選手です。この優勝から騎手も自分の体格に合った乗り方をすることが大事なことだと思わされました。馬を動かし制御するために腕の長さや筋肉の強さなど、体にあった上で馬にとってより良い騎乗をすることが大事なのだと思います。
それでは桜の女王決定戦を振り返りましょう。レース後にはジョッキーカメラも公開され、非常に楽しめた桜花賞を制したのはリバティアイランドと川田君のコンビでした。今回の勝利は圧巻の一言でしたね。ジョッキーカメラも川田君がつけていたことで、馬の様子や走りを細かく見ることができました。レースはスタート直後、リバティアイランドがなかなか進んでいかないとみると、川田君はすぐに馬のリズムを重視しました。大阪杯のジェラルディーナの岩田望君も同じような判断とコメントをしていましたよね。レースで大きなポイントになるのは馬をどれだけ気持ちよく走らせることが重要になります。
先を見据えた時に無理に走らせる選択をした時には馬が走ることを嫌になってしまうこともあります。だからこそ、騎手にとっても難しい判断になります。川田君は迷うことなく、進まないなら自分のペースで走ればいいと選択しました。これはドバイやブリーダーズCの勝利で得た経験値に、馬への信頼があればこそだったと思います。道中では戸崎君に張られるシーンがあるも焦らず、じっくりと馬の気持ちを優先させたことでとんでもない脚を繰り出し勝利しました。じっくり見てから走ってあげるわよというリバティアイランドの心の余裕が垣間見えたレースだったと思います。
2着には同じ勝負服のコナコーストが入りましたが、こちらも万全のレースをしました。リバティアイランドの枠を見た時に鮫島駿君は今回のレースを想像していたはず。その上でリバティアイランドが大外から来ても間に合わないというプランを持っていたと思います。だからこそ、4コーナーでは勝てる!と気持ちも入った完璧なレースになりました。最後の1ハロンで交わされた時には、あまりに脱帽して笑っているようにも見えましたからね。
それほどまでにリバティアイランドの勝利は圧巻だったと思います。桜の女王が次は牝馬3冠を目指してオークスへ行くのか、それともウオッカ以来の牝馬ダービー制覇を狙うのか、その選択も非常に楽しみです。
桜の次は皐月ということで、今週はクラシック皐月賞が行われます。今年は混戦が予想されるも、非常に良いメンバーが揃った印象を受けます。その中でも、期待されているのがソールオリエンスになると思います。前走は4コーナーで若さを出すも、そこから盛り返しての勝利は圧巻でしたからね。そこに待ったをかけたいのはファントムシーフやフリームファクシになってくるのではないでしょうか。
さらにベラジオオペラやタスティエーラなどの実績馬、才能豊かなタッチウッドやトップナイフ、私が期待しているシャザーンもいます。どの馬が勝っても驚けませんし、なによりこの先が楽しみなメンバーばかりなので、ここでの結果が全てダービーに直結するとも思いません。だからこそ、予想が難しくなると思います。クラシック3冠レースの1冠目は今週日曜日。伝説の始まりはここからです!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。