元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
衝 撃
2023/4/20(木)
皆様、こんにちは!とうとう今週末、長く行われていた工事が終わり新しい京都競馬場センテニアル・パークがオープンします。唯一の丸型のパドックも楕円形になり、ケヤキは老朽化のため移設が難しく、時計として生まれ変わったようです。私が生まれ育った京都競馬場の新しい姿、悲しみと共に楽しみな気持ちもあります。お客様にとっては見やすくなるでしょうし、ジョッキーカメラ等、色々と変化を実施してくれたことが非常にうれしいです。是非、皆様も足を運んでくださいね!そして、近くにあるサロンドマツヤにもお越しください(笑)。
それでは先週の競馬を振り返りましょう。ハッキリ言って皐月賞は衝撃でした。勝ったのはソールオリエンスと横山武君のコンビでした。前走でも4角では外に膨れる若さを見せていましたが、今回も若さを出しつつも衝撃の末脚で勝ち切ってくれました。単純に前が速かったから末脚がハマったと思う人もいるでしょうが、雨の影響でぬかるんだ馬場で、走り方からも得意ではないはずのソールオリエンスがあの脚を見せてくれたのは本当に強かったです。
レース前には1枠1番を引き当てたため、武史君にとっては二択になったと思いました。1つ目(①)は少しリズムを早くして促しポジションを取る競馬、2つ目(②)は馬のリズムを重視しポジションを決め、最後は馬の能力を信じてレースをすること。その中でスタート後、①の作戦でポジションを取りに行こうとするも馬のリズムがそこまでないと感じるとすぐに外への進路へと切り替え、②の戦法に切り替えました。ここがまさに武史君の強みなのかもしれません。
G1を勝つために、①を続けていれば馬は走る気持ちを無くすことがあります。だからこそ、馬のリズムを重視し走らせることを選びました。一見するとポジションが後ろすぎる!となりますが、馬の力を知っているからこそ、自信を持って②を選択したのだと思いました。これは本当に強い馬だからこそできることでもありますが、実行するには勇気がいります。それをあの若さで自信を持って乗れるんですから相当だと思います。早くに亡くなったドゥラメンテを思い出させてくれる走りでした。ダービーに向け、本当に楽しみな一頭が出てきました。
2着にはタスティエーラが入りましたね。こちらは父サトノクラウンから引き継いだ重い馬場が得意というのもありましたし、今回の競馬でいえば、相手が悪かったとしかいいようがありません。桜花賞に続き、牡馬にも怪物がいたという結果になりました。ジャパンカップあたりで、ソールオリエンス対リバティアイランドを観てみたいなぁと一競馬ファンとして楽しみが増えた結果となりました。
今週からは中山、京都、福島の3場開催になります。先述しましたが、リニューアルオープンの京都競馬場では日曜日にマイラーズCが行われます。安田記念に向けても大事な一戦になるだけにどういうレースが行われるのか楽しみにしています。注目はやはり前走進路が狭くなってしまったシュネルマイスターと連勝中のジャスティンスカイになるのではないでしょうか。
シュネルマイスターにとってはあの走りをよみがえらせたい一戦になるでしょうし、ジャスティンスカイにとっては重賞に入っても通用するところを見せたい戦いになると思います。そこにソウルラッシュやビーアストニッシドがどう食い込んでくるかに注目しましょう。センテニアルにきっと夢がアル!是非、京都競馬場にお集まりください!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。