元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
西村淳也の一呼吸
2023/4/27(木)
皆様、こんにちは!季節外れの寒さや暖かさが交互にきているためか寒暖差アレルギーで鼻水やクシャミなどに襲われています。ここまでの寒暖差があるのはなかなか珍しいですよね。昔のように四季がハッキリしているということがなくなり、日本も季節がふたつになってきたような気がしますね。この異常気象も、今の若い人にとっては当たり前になってきているかと思うと、時代と共に変化を感じます。
先週はリニューアル後、京都競馬場で初となる重賞マイラーズカップが行われました。その重賞ファーストウィナーとなったのはシュネルマイスターとルメールのコンビでした。レースは京都の開幕週で前が止まらない馬場になり、皆が前のポジションがほしいと動く中、ペースとしてはやや遅めとなり、これは前残りになるかもしれないなと思って見ていました。
しかし、4角で手応えのいいソウルラッシュが一気に仕掛けると、外からガイアフォースが迫ってきました。ここの少し早い動きだしをルメールは見逃しませんでした。一呼吸置くとG1馬らしい末脚を繰り出し、見事勝利を収めました。前走はラチにぶつけられる等の不利がありましたが、メンタル面でもダメージがなく走りきり、大きな意味がある勝利となりました。これなら本番の安田記念でも面白い走りをしてくれると感じました。
2着にはガイアフォースが入りました。こちらは長距離路線からマイルに変更されどういった走りをしてくれるのか楽しみにしていましたが、西村淳君が非常に上手く乗りましたね。マイル王のシュネルマイスターに対し、ここまでのレースは彼の騎乗なくしてなかったと思います。福島のレースを見ていても、彼の成長ぶり、特に一呼吸置くタイミングというのは素晴らしいものがあると思います。
ガイアフォースはマイルでも走れましたがやはり中距離がいいのかなという印象と共に、そうなるとライバルが多すぎる点が気掛かりです。そこを踏まえてG1を避け、適鞍の重賞を巡ることもひとつの手になるかもしれません。ただ、馬場状態や展開次第ではG1でも戦えると思いますし、そのあたりの判断は楽しみです。3着に入ったソウルラッシュに関しては、馬場がもう少し柔らかかったらなと思わされました。右回りのマイル、重めの馬場では確実に馬券に入れておきたい一頭ですね。
今週からは東京、京都、新潟での開催となります。何と言っても注目は京都競馬場で久しぶりに行われる天皇賞(春)になります。タイトルホルダーが更なるタイトルを手にすることができるのか、と注目を集めている一戦になります。走りや戦法からもこの距離では負けることができないと思います。そこに新勢力がどう挑んでくるのか、簡単にタイトルホルダーに勝たせないぞという厳しいレースが求められると思います。
その中で、ライバルとして注目しているのがジャスティンパレスになります。阪神大賞典は圧巻の走りでしたし、ここで長距離王者を倒すことを虎視眈々と狙っています。アスクビクターモアも菊花賞馬対決となれば負けられないと思いますし、ボルドグフーシュやブレークアップも面白い競馬ができるはず。長距離は馬のスタミナも大事ですが、騎手のリズムも重要となります。京都グランドオープンで初めてのG1を盛大に楽しみましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。