元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ルメールの俯瞰(ふかん)の目
2023/6/22(木)
皆様、こんにちは!いきなり暑くなってきましたね。お昼の食べ物もさっぱりとしたザルラーメンやお蕎麦が多くなってきました。そんな中、大好きなサッカー日本代表の試合が行われペルー相手に4対1で勝利を挙げました。今までだと考えられないような質の高い選手間の連動や三苫、伊東などの世界でもトップの品質を持つ選手のパフォーマンスもあり、圧勝となりました。
まだまだ試している段階だけに結果だけを喜んではいけないと思いますが、それでも取るところで取るサッカーをして勝利を挙げたのは素晴らしいこと。競馬でも試すことは非常に大事になります。特性をひとつずつ理解しながら進めることが大きな勝利を挙げるためには必要なのだと改めてサッカーを観て実感しました。
先週はユニコーンSが行われペリエールが見事な勝利を挙げました。このレースは数少ない3歳ダート重賞だけに注目していましたが、ペリエールはひとつ頭が抜けているようなレースぶりだったと思います。距離やコースもベストでしたし、来年のフェブラリーSでは3番人気以内に入ってくるクオリティだったと思います。
ルメールとしてはゆっくりゆっくり直線まで馬のバランスを気にしながら、追い出すタイミングだけを気にしているように見えました。しかし、ここまで馬のバランスを整え、落ち着いた手綱さばきは流石クリストフというレースだったと思います。簡単に見えても一切ブレーキを踏まず、馬のバランスを取り続けるための俯瞰の目こそが彼の強みなのかもしれないと思わされました。
2着に入ったサンライズジークはやはり大きな競馬場が合ったという印象でした。三浦君としては、ここで1000勝を決めたかったと思いますが、相手が悪かったですね。3着に入ったブライアンセンスにはまだまだ馬が若そうに見え、これからの成長が楽しみになるレースだったと思います。ダート馬の質が数年間の間に上がってきたなという印象をこの結果からも受けました。
今までのスピード競馬だけでなくパワーをも日本馬が兼ね揃えてきたことは牧場や血統を考える人、トレーニングに係わる人のレベルや環境が変わり上がってきているのかなと思います。その中から適性を見出し、ダートでも結果を出してきている日本競馬は世界から見ても稀な芝もダートも両方世界レベルという、とんでもない高レベルへと変わってきているなと感じています。
今週は2023年前半戦最後のG1宝塚記念が行われます。世界No.1ホースへと登りつめたイクイノックスが出馬してきます。多くの名馬が梅雨の雨に苦しめられてきたことを考えると簡単なレースにはならないと思っています。また前走逃げたことで、どういう競馬をクリストフが選択するのかも楽しみですね。確実に力をつけてきたジャスティンパレスが2番人気に選ばれそうです。こちらは展開次第では逆転もあるのではないかというくらいに成長しているだけに鮫島駿君も期待しているのではないでしょうか。
私の本命もこの2頭のどちらかになるだろうと思っていますが、枠的にもボッケリーニが馬場も含めて面白い競馬をしてくれるかもしれないと予想しています。ここ最近はピンク帽の活躍が目立つレースだけに人気が無くても外枠に入った馬達にも注意が必要だと思いますので、要チェックしてみてください。夏のグランプリホースにはどの馬がなるのか、楽しみに待ちましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。