元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
青梅、ウメ~
2023/6/29(木)
皆様、こんにちは!暑い日が続きますね。コロナも流行ってきていることもありますので、油断なくいきましょう。そして、この夏から我が家では青梅の甘露煮を作り始めました。義理の母が生前好きで買ってきていたものの、亡くなる前にその梅が販売中止となりもう二度と食べられないと思っていたのですが、突然息子が青梅の甘露煮を作るとレシピを持ってきたので家族で作ってみたところ、これが美味しくてたまりませんでした。サイダーで割った梅サイダーや凍らせた梅シャーベットと青梅を頼んでいます。この歳になっても新たな夏の楽しみが生まれ、まだまだ頑張らないとなと思いました。
先週は前半戦最後となるG1宝塚記念が行われ世界一のイクイノックスが見事な走りで勝利を挙げました。海外帰りに栗東滞在と違った環境でも結果を残したことは非常に大きく、馬にとっても自信になったであろう勝利でした。前半から騎乗していたルメールも、馬場が悪くなっていたため前残りを心配していたと思います。しかし、レースは前残りに一発をかける馬達が集まったことでペースが速くなりました。
この時、馬の力を信じているからこそ、彼は控える競馬を選択しました。前走逃げていたために控えることはできるのか?と心配していましたが、そこは流石ルメールとイクイノックス。しっかりと折り合いをつけ、後方からの競馬を作りあげました。最後は大外を回す形となるも力の差を見せつけ、ムチは1回しか使わずの勝利でした。梅ではなくルメール、ウメ~って騎乗でした。まだまだ奥がある馬だけに、ここは計算通りで勝てたというところだったと思います。藤沢和先生の引退後から特に木村調教師とルメールは止まるところを知りませんね。次はどこへ向かうのか非常に楽しみなコンビです。
2着には凱旋門賞にも登録しているスルーセブンシーズが入りました。テレビでゲート裏が写った際に「覇気のようなオーラが見える!」と感じてすぐ口に出したのですが、それが結果にも出ました。池添君も勝負がかった乗り方をしましたね。この馬場でこういった展開になることも予測し、イクイノックスを見る形で勝つことを徹底しましたからね。4角でジェラルディーナが外に出てきたことにより進路を切り変えることが必要になりましたが、それでも2着は立派です。走りを見ていても荒れた馬場が得意そうでしたし、次の選択が楽しみになりました。その他に注目していたボッケリーニは瞬発力というよりは荒れた馬場で一瞬の脚で抜け出してくる力があるだけに、ポジションを取る競馬ができていたらと惜しまれるレースになりました。
今週からは夏競馬の本格スタートになります。福島・中京・函館の3場開催となりますのでお間違えなく。そんな福島と中京では日曜日に早速重賞レースが組まれています。特に注目は中京競馬場で行われるCBC賞です。開幕週だけに前が有利になることもありますが、雨次第では馬場も変わる競馬場だけに天気と芝の傾向、斤量が大事になるレースです。その中でも注目を集めるのがマッドクールになるでしょうね。重賞未勝利なのに斤量が重く設定されたのも力を認められているからかもしれません。スタートも速い馬だけに最有力と思われます。
スタートを決めて逃げることができれば新たなチャンスが見えるなと穴候補に考えているのがサンライズオネスト。こちらは思い切った競馬をしてもらえたら楽しみがある気はしています。その他にはやはり勝ちっぷりからエイシンスポッターやディヴィナシオン、岩田望君が中京得意なことからもスマートクラージュなども面白いかなと思っています。中京で競馬に勝ってウナギに手羽先にウメ~名古屋グルメを食べつくしましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。