元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
無敗3冠馬
2023/7/13(木)
皆様、こんにちは!先日行われたセレクトセールでは記録更新の売り上げがでましたね。新しい馬主さんや海外からのバイヤーも増え、非常に大盛況でした。我が家でも早々からグリーンチャンネルを付け、5000万えーん、5200万えーんとコールを聞いていましたよ。ちなみにセリを見ていて「〇〇スポッター」と聞き、何のことだろう?と思った人も多かったのではないでしょうか?
スポッターとは常連になっている馬主さんは座る座席を用意されており、ブロック毎で代わりに手をあげたりする役目の方を差します。そのため、〇〇スポッターの名前が呼ばれる度に、この方は〇〇さんのいるところの担当だなと聞きながらセリを見るのも楽しみです。セリ豆知識として来年はどの馬主さんが競っているのかをスポッターに注目して見るのも楽しみのひとつになりますから是非、研究してみてください!
先週の競馬を振り返る前に木曜に行われたジャパンダートダービーを振り返りましょう。地方馬のミックファイアが無敗の3冠を達成しました。なぜ地方では3冠の最後がJRAと一緒に走るレースなんだろうと思っていましたが、そんなことは関係ないとばかりの強さでした。驚くべきことはその心配能力にあるようで、レース後もケロリとしていると聞き、まだまだ奥があるように思わされるレースでした。
スタートからテーオーリカードとミトノオーのどちらがハナを奪うか楽しみにしていましたが、あっさりとミトノオーがハナを主張するとたんたんとしたペースのまま迎えた4コーナーで少し早めに豊ちゃんが引き離しにかかりました。それを見てユティタムとミックファイアが追いかける形となり、最後はミックファイアが見事な差し切りで勝利を挙げました。
2着にはキリンジ、3着にミトノオーとなりましたね。ミトノオーに関しては少し距離が長かったのかなと思わされる負け方で、4着のユティタムも同じことが言えそうでした。勝利したミックファイアはJBCクラシックに向かうと発表されており、秋のダート路線も非常に楽しみになりました。
先週の中央競馬ではダート重賞プロキオンSが行われドンフランキーが600キロ近い体とパワーを活かし、見事な逃げ切りで勝利を挙げました。応援していたリメイクは残念ながら2着と敗れてしまいました。ドンフランキーは競馬の展開も向きましたし、何よりも力があるなーという感想でした。リメイクはいい競馬をしたにも関わらず勝てなかったのは相手の方が全てにおいてかみ合ったというところではないでしょうか。展開次第では逆転も可能なはずで、1200mでキレ味を活かせる展開になれば敵なしの馬だと思っていますから、次の対決が楽しみになるレースでした。
また、芝の短距離でも走れるのではないかと思わされるほどのスピード能力を見せました。次走はJBCスプリント辺りになるのではと予想していますが、その前に芝短距離も面白いのになと個人的には感じました。勿論、ダートと芝では走り方を変えなくてはいけないため、簡単なことではないんですけどね。芝でも見てみたい一頭です。
今週は函館名物の函館記念が行われます。人気はアラタが集めるかもしれませんが、私の注目はブローザホーンになります。岩田康君が先週メインでも勝ったか!?と思わせるほどの騎乗をしており、手の内に入れている馬だけに楽しみにしています。セレクトセールで注目を集めた藤田晋さんのドーブネもマイペースの走りをできればチャンスがありそうで、アルナシームにローシャムパークやレインフロムヘヴンといったところもおり、面白い一戦になりそうです。是非、万馬券狙いの勝負を打ってみてください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。