元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
たいふう
2023/8/3(木)
皆様、こんにちは!沖縄では台風により帰宅が困難になっている方など大きな影響がでています。梅雨は明けると次は台風の季節ですからね。長年、日本に住んでいて慣れていると思っていても、台風がくるたびに「何を用意しとかなきゃダメなんだっけ?」とオロオロしてしまいます。皆様もお気をつけください。
夏競馬の台風の目として期待されていたC.ホー騎手が新潟競馬で落馬にあい、骨折により夏のライセンスを返却し香港に帰ることになりました。非常に残念ですが、こればかりは先を読めませんからね。落馬事故の原因を作った菊沢騎手は10万円の過怠金となりましたが、数年前までなら騎乗停止だっただけに間接的原因の起因者への採決が軽くなったのかなという印象を受けました。1頭では競馬できませんし、今回は意図的に入ったわけでもありませんが、直接的と間接的な原因の起因で差が大きいかなと感じた瞬間でした。
先週の競馬の中からアイビスサマーダッシュを振り返りましょう。C.ホー騎手から石川騎手へと乗り替わりとなってしまったオールアットワンスが復帰戦で同一重賞制覇という形になりました。騎乗経験もあった石川君が空いていたのは幸運という他ないと思います。そして、馬に関してはやはり1000mのプロだなという走りだったと思います。前日の千直でも黒帽の3番が田口君とのコンビで勝利していましたが、まさか力の拮抗している重賞でも勝つとは驚ぎ以外ありませんでした。
スタート直後、オールアットワンスと石川騎手は外へ外へとポジションを取りにいきました。本来ならば出して前に行きながら外へ進めるのですが、ここで石川騎手は馬の気持ちに任せつつ、走りやすい方はこちらだよと伝えるように出ていきました。少し前半置いていかれた分、最後はどうかなと思っていましたが、そこから息を入れると一気の差し足で見事な勝利を挙げました。
石川騎手は本当にここぞという時に勝負をかける騎乗をしますし、だからこそG1でも勝利できたのだなと納得させられます。しかし、勝ちタイムを見ていると前日に50キロとはいえ、53秒9というタイムを出したダンシングニードルがここに出ていればと思ってしまいました。来年でも斤量としては有利になるでしょうし、是非ともここを目標に出てきてほしいなと思っています。
今週で新潟・札幌の変則2場開催は最後になります。関西の多くの騎手は小倉へ行ってしまうと思いますので、今週中に生のレアな騎手を観にくださいね。そんな2場では日曜にダート重賞が組まれています。その中でも期待してみたいのがレパードSになります。勝ち馬がその後に活躍しているだけに、ここでの勝利は先の楽しみが広がります。その中でも注目はミスティックロアになるのではないでしょうか。父アロゲートで発展途上ではありますが、まだまだ底を見せていません。
ただでは勝たせないと対抗してきそうなのがエクロジャイトにオメガギネス。どちらも勝ち上がり方が素晴らしく期待の2頭です。その他に初ダートのダービー出走馬パクスオトマニカあたりがどういった走りをするのかも楽しみです。できれば外めか前々で競馬を進めたいでしょうし、芝で逃げるスピードがあるだけにダートが合えばマイペースの逃げ切りも十分にありえます。ダート界の台風の目となるのか?結果は今週日曜日です!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。