元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
冬の味覚
2023/12/7(木)
皆様、こんにちは!冬の気候になってきましたね。冬は冬の味覚が楽しみで、早速カキを食べましたよ。その他にも息子がふるさと納税を利用し、呼子のイカやフグなどを頼んでくれたので非常にワクワクしています。特に、家ではイカ星人と呼ばれるほどイカが好きなのでうれしくてたまりません。季節毎に特有のものがあるというのは本当に日本ならではだなと感じています。
先週は冬の競馬の始まりと思っているチャンピオンズカップが中京競馬場で行われ、レモンポップがフェブラリーSに続き2023年のJRA・G1を両制覇しました。戦前から人気を集めつつも4つのコーナーや距離が心配されていましたが、それすらもこなし力の違いを見せつけてくれました。スタートから大外枠発走ということもあり、積極的に坂井君はハナを奪いにいきました。ジョッキーカメラを見ていても楽に先頭を取ると、ほぅほぅと馬をなだめながら進めていたのが分かりました。
今回のレースの敵は自分たち自身にあると考えていたはず。コーナー4つを克服し、リラックスしながら内を回れば問題ないという自信もあったと思います。迎えた4コーナーでも抜群の手応えで直線に入り、一気に後続を突き放して見事勝利をあげました。これで国内には敵なしと言った勝利だったと思います。
2着にはウィルソンテソーロと新婚ほやほやの原君が入りました。スタートで後手を踏むも終いに懸けたことが吉と出たと思います。G1初騎乗でこれだけ肝を据えて乗れたのは素晴らしかったと思います。人気を集めたクラウンプライドに関していえば、イメージしていたレースよりは一枚後ろでの競馬になったなという印象でした。しかし、最終追い切りの強さを見ても、もう少し絞りたかったのかもしれません。馬体だけでいえば太さは感じなかったものの、結果を見ると年齢もあり少しずるくなってきている気もしました。
2番人気に推されたセラフィックコールは左回りがよくないのか、何もできないまま終わってしまった印象です。みやこSでも出遅れ、外をマクり勝ち上がっていましたが、あの乗り方こそが今回の凡走に繋がったと考えています。大味なレースをすれば疲れもでますし、何より馬の走りの可能性を縮めてしまいます。その上で中京コースの大外一気は厳しいことを考えると、レースを覚えさせる必要があったのではないかと思ってしまいます。勝っていなければチャンピオンズC挑戦もなかったかもしれませんが、少し残念でした。
今週は阪神競馬場で阪神ジュベナイルフィリーズが行われます。デビューしたばかりの2歳牝馬の戦いになります。このレースに当日誕生日を迎えるルーキー田口貫太君と永島まなみちゃんが初G1騎乗を迎えることが決まりました。田口君はデビューから毎週のように上手くなり成長していますし、かわいらしい笑顔がたまりません。よく家に遊びにきてくれては、楽しませてくれています。永島さんに関しても、筋肉トレーニングやよく競馬を勉強していると感心するほどの成長をしています。デビュー時から女性騎手の中ではこの子がダントツで上手くなると思っていましたが、まさにでした。この2人がどんな爪痕を残すか楽しみなレースになります。
本命候補のボンドガールがキャンセルになり1番人気予想は難しいところではありますが、アスコリピチェーノが面白いのではと思っています。その他にも抜群の安定感があるコラソンビートやプシプシーナに加え、キャットファイトやサフィラあたりが絡んでくるのではないでしょうか。2歳戦はデキがよければ逆転もあるだけに、非常に難しいなと感じています。是非、競馬の冬の味覚・阪神JFを現地で楽しんでください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。