元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
マリオみたいな一頭
2023/12/14(木)
皆様、こんにちは!大谷翔平選手が次はどのチームになるかと話題になっていましたが、無事にロサンゼルスドジャースに決定しましたね。10年契約で1000億円を超えるという報道に、それだけの選手だよなと納得してしまいました。競馬に言い換えるならばイクイノックスと一緒ですからね。通訳の一平さんもドジャースへと移籍が決定したみたいですね。大谷さんが気兼ねなくプレーに集中するためには必要不可欠な存在ですからね。プロスポーツ選手はプレーする時には個人になりますが、それまでの過程や準備、色々なことに関しては周りの力無くして力は出せませんからね。一平さんと共に最後までプレーを続けてくれたらなと思います。
そして、ヤングジョッキーシリーズファイナルが開幕し、JRA勢がTOP3を独占する結果となっています。特に第一戦の田口君の勝利は素晴らしかったです。圧倒的な1番人気になり勝つことが義務付けられたような環境でしたが、本人はゲート後から川崎競馬場をよく研究している乗り方を実行し、見事な勝利を挙げました。現在は2位につけていますが、日に日に上手くなっている彼が中山をどうこなすかが楽しみです。土曜日の中山競馬場でファイナルが行われますので、関東での初・貫太を楽しんでください。
先週行われた阪神ジュベナイルFも振り返りましょう。勝利したのは推奨させていただいていたアスコリピチェーノと北村宏司君のコンビでした。道中は中団のポジションを取ると、ゆっくりと進め、馬の力を信じ、ひたすらジッとすることを選択。迎えた4角から直線は一気に外に出すとジリジリと伸び、見事な勝利を挙げました。怪我を乗り越え、久しぶりのG1勝利は本当に嬉しかったでしょうね。欠点がなく平均点が高いマリオのような馬だけに大崩れすることもないでしょうし、来年の桜花賞に向けて素晴らしいレースとなったと思います。
2着にはステレンボッシュが入りました。こちらは流石ルメールという騎乗だったのではないでしょうか。やはり総合力から言って、彼からNo.1を奪うことは日本人騎手にとって相当難しいなと差を感じさせるレース運びだったと思います。3着にはコラソンビートが入りました。スワーヴリチャード産駒のG1勝利にも期待していましたが、やはりベストは1400mなのかも知れないと感じました。しかし、逆に折り合いがつけば長い距離に適性を見出せるかもしれませんし、これからの馬との関わり方が大事になるのではと思いました。まだまだ桜花賞まで時間がありますし、ここから逆転も十分ありえます。
今週も阪神で朝日杯フューチュリティSが行われます。こちらの大本命はジャンタルマンタルになると思います。馬にも合いそうな川田君を配置し、陣営から勝つために最善を尽くすという心意気が見えます。そこに待ったをかけたいのがシュトラウス。血統的にも頭が少し高い馬ですが1800mよりも1600mのほうが合うでしょうし、マーカンド騎乗というのも惹かれます。最後の一脚は伸ばしてくる騎手なので、神奈川記念を制した奥さんホリーに続き、週末はマーカンドが見せてくれるかもしれません。
この2頭にどの馬が絡んでくるかが問題になってくるレースではないしょうか。個人的にはタガノエルピーダがどんなレースをするのかが楽しみです。そして、今週からレジェンド豊も復活します。年末まであと少し。このレース的中で勢いをつけて有馬記念・ホープフルSを迎えましょう!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。