元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
戸崎騎手のマイペースが決めた
2024/2/15(木)
皆さん、こんにちは!とうとう本日で74歳になってしまいました。騎手をしていた時には、そんなに長生きはできないだろうなと無茶をしていましたが、元気に迎えられたことを本当に感謝しています。色々な方から祝ってもらい、長生きも悪くないなと感じました。
先週はなんといっても皐月賞に繋がる共同通信杯が面白かったです。レースはパワーホールと田辺君がスッとハナを奪う展開で、2頭目にエコロヴァルツがつける形になりました。豊ちゃんとしては前回の切れ味を考えると控えたかったと思いますが、スタートで出た分だけ行きたがる素振りを見せられたことでなんとか御するレースになり、後ろにいた馬達としては前に行くことができなくなりました。競りかけてしまうと自分の馬もコントロールが難しくなるからです。そのおかげでパワーホールは楽なゆったりペースで逃げることができました。
逆にこのペースで、スタートで後手を踏んだベラジオボンドは内枠が仇になりました。あれでは動かすスペースもないですし、外から見れば「もっと前に行かないと」となるでしょうが、あのペースで最内では残念ながら無理です。直線に入るとパワーホールが逃げ切り態勢かと感じたところでジャンタルマンタルが一気に襲いかかる中、しっかりと折り合いをつけていたジャスティンミラノと戸崎君が差し切りました。
これぞ戸崎君といった騎乗だったと思います。彼は気負わないペースを刻ませた時に素晴らしいレースをしてくれます。ジャンタルマンタルにとっては前回も書きましたが、こなせるが距離がベストではないと感じるレースになったと思います。クラシックという夢はあるでしょうが、今からマイルに専念させることも将来を考えた時にベストとなるのかもしれません。
今週は2024年最初のG1フェブラリーSが行われます。前回のレースからも期待していたオメガギネスが繰り上がり出走となって期待しかありません。鞍上が変更になったのは残念でしかありませんが、ルメールの技術で更に伸ばして来れるのか楽しみな一戦です。
2番人気にはウィルソンテソーロが選ばれるでしょうね。こちらも乗り替わりになります。そこに名コンビのドゥラエレーデとムルザバエフや地方の雄イグナイター、勝つまではどうかも面白い存在レッドルゼルらがいます。新コンビが新たな面を見せるか、それとも継続組がコンビネーションを見せるのか。ダート王を決める戦いは今週末です!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。