元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
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2024/10/17(木)
皆様、こんにちは!すっかり寒くなってきたなと感じる今日この頃、栗東では熊が出たと話題になっています。長く住んでいて初めて聞く出現に、馬を守らないと!という思いと、熊が山から降りて来る必要性を人間が作ってしまったのか…と、複雑な感情になりました。
生きていく上で、サラブレッドを守るために対応を考えなくてはいけませんが、どうか人間に何かをされる前に山で餌や環境が整うことを祈ります。生き物との共存、切っても切り離せないことです。だからこそ馬と真摯に向き合い、競馬させてもらっているという愛情を持ってホースマンは仕事しています。
先週は秋華賞が行われチェルヴィニアとルメールが見事2冠を達成しました。ジェンティルドンナのような女王になる素質を見せつけてくれた圧巻の勝利で、今後にもワクワクが止まらなくなりました。しかし、ルメールは流石としかいいようがありません。あんな騎乗を見せられたら全てルメールでと言いたくなる気持ちが分かります。スタート、ポジション、追い出し、メンタルと全てがS級ですからね。
2着にはボンドガール、3着にステレンボッシュと入りましたがどちらも素晴らしい能力を見せています。とりわけ戸崎君としてはクイーンズウォークのマクりさえなければ…といったところもあったでしょうがこれも競馬ですね。
今週は牡馬クラシック最後の菊花賞が行われます。どの馬にもチャンスがありそうに見えますが、やはりダービー馬ダノンデサイルに人気が集まります。ただの勘ですが、なぜか今回は不思議と難しいレースになる気がしています。しかし、能力は本物ですし典ちゃんの神業に期待しています。
個人的にはピースワンデュックとへデントールに注目しています。ベテラン達にいぶし銀の技を見せてほしいレースだなと思っています。人と馬の共存が織りなすドラマをお楽しみに!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。