
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
横綱!
2025/1/29(水)
皆様、こんにちは!大相撲では新たな横綱が誕生しました。朝青龍の甥の豊昇龍関が見事、先場所の優勝から横綱へと上り詰めました。負けん気の強さに初めのうちは細く見えた体を育てあげ、1年1年、1日1日を無駄にせず、積み重ねた結果が頂点を極めたということだと思います。
これは競馬にも言えることです。馬も騎手もすぐに上手くなる、脚が速くなることなどありません。色々と試しながら積み重ねることで良くなるのです。ファンの皆様もこの騎手はこういうトライをしている、馬もこう工夫しているなどの視点を持って観てもらえるといいなと思います。

先週行われたアメリカJCCを振り返りましょう。勝利したのはダービー馬、まさに競馬界の横綱ダノンデサイルと戸崎君のコンビでした。最近の競馬は日本ダービーを勝つために、どんどんと早く仕上げるようになっています。しかし、それは最高をダービーに持ってくることでお釣りや成長枠を使い切ってしまうことにも繋がります。そんな中で、ダービーを勝ってもなお、まだまだ先がある勝ちっぷりは調教師や典ちゃんの描く成長曲線が正しかった証明だと思いました。
今回は典ちゃんに先約があったことから戸崎君が選ばれましたが非常に上手かったです。レガレイラ然り、いいイメージを持ちながら馬を促す技術が素晴らしく、流石!という騎乗でした。次の鞍上がどうなるかも興味深いですが、まだまだ遊びながらでこの強さですから、横綱の先が楽しみになる勝利でした。

今週は根岸SにシルクロードSが行われます。シルクロードSの人気にはソンシが選ばれるでしょうね。力を見せているだけに一気に横綱まで上り詰めたいとこでしょうが、私の注目はセントメモリーズになります。連勝中の走りは本物で、牝馬だけにどこまで戦えるか楽しみにしています。もう1頭注目してしまうのがカピリナです。ダート路線からCBC賞を制し、スプリンター横綱となったレッドファルクスに重なるところがあるだけに期待しています。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。