
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
ル メールシー!
2025/10/20(月)
皆様、こんにちは。JRA協力のドラマ、ザ・ロイヤルファミリーが競馬サークルでも話題になっていますね。私も普段は21時前に寝るのですが、日曜日だけは頑張って見ています。リアルに再現されており、競馬の素晴らしさを、馬主目線、牧場目線、騎手目線など、様々な視点から描く物語に毎回感動しています。
一頭の馬に携わる人はものすごく多く、それぞれの馬、人々に各々のドラマがあるからです。皆様もご覧になって競馬を知っていただけたら嬉しいです。

先週行われた牝馬三冠の最終戦秋華賞を振り返りましょう。勝利したのは桜花賞馬エンブロイダリーとルメール騎手のコンビでした。ジョッキーカメラも見せてもらいましたが、今回の勝利には夏を越しての成長、陣営の教育、ルメール騎手のペース判断と反応が遅かったことへのリカバリー能力、この3点があったと思います。
折り合い面での成長によりスタートからリズム良く運び、前にカムニャックがいたことで良い目標ができました。ペースが落ち着いた際に馬を控えさせるよりも、リズムを変えずに運ぶことが大事だと判断し、そのままエリカエクスプレスに並ぶ形を選択しました。
そこでようやく一息入れる技術と陣営の教育が実を結び、勝因が集約されました。4コーナーでは思いのほか反応が鈍かったため、ルメール騎手は少し早めに合図を出しグッと沈みこんだフォームを確認し、前を捕まえられると確信できたと思います。本当に素晴らしい勝利でした。


カムニャックは前回の4コーナーでの不利の影響か、ゲート前でパニックが起きてしまい、メンタル面が心配になる敗戦でした。それでもスタートを出し、リズムをどうにか整えようとした川田君は負けてなお一流の仕事をしたと思います。二冠馬が次はどこへ向かうのか、適性距離からしてマイルCSや香港マイル(カップ?)などかなと期待しつつ、動向を楽しみにしています。

今週は菊花賞が京都競馬場で行われます。私の注目は幻のダービー馬エネルジコと、上がり馬ミラージュナイトです。ここにエリキングや逃げ馬に乗る天才&マイユニバースの存在というのも非常に怖いです。淀の未知なる3000mを勝つのはどの馬か。台本のない感動のドラマにもご期待ください!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。