'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
1月20日時点1577勝
アメリカJCCはダービー馬ダノンデサイルと初コンビ!
2025/1/24(金)
開催3週目は4勝の固め打ち!時に年明けの1月は勝ちあぐねることもあるが、今年は既に過去2年の1月の勝ち星に並んだ。そして、開催最終週は何と言ってもアメリカジョッキークラブカップでダービー馬ダノンデサイルと初騎乗することになった。1週前の追い切りに騎乗して臨むが、自身にとっては昨年の日本ダービーで屈した相手でもある。
ダノンデサイルとは追い切りで初コンタクト
——先週は日曜に4勝と固め打ちでした。過去2年の1月は月に7勝と留まっていただけに、既に並んだ形になりますね。目先の勝ち鞍の数は意識されてないかと思いますが、気持ちも違うのではないですか。
いや~やっぱりそうですね。
——1月の開催は今週までになりますが、中山最終週についてもよろしくお願いいたします。今週は何と言ってもアメリカJCC(G2)ではダノンデサイルに騎乗されます。有馬記念で敗れたとはいえ、中3週での続戦というケースも驚きがありました。
先週の追い切りでは、比較こそありませんが、状態面は順調に来ていて動けていると思いました。体感よりも時計も出ていましたからね。追い切りに乗るまではどんな馬なのだろう、とワクワクしていました。
楽に動けていて乗りやすかったですし、どこかに偏っているというより全体的なレベルの高さはありましたね。それでもチップよりも芝に行ってもっといい感触があるかもしれませんね。
——まだ枠は出ていませんが、どんな形になりますか。
競馬自体はどんなレースでも対応できるのかなと思います。枠が出てから細かいことは組み立てていきたいですね。追い切りに乗る限りはこれまで教えられていることも出ているのだなと感じました。
——精神面などの課題は感じませんでしたか。
乗っていては感じないけれど、走ると尾っぽを上げたり、ボロをしたりしていたじゃないですか。そういう若さ、集中し切っていない面は観ていても感じていましたね。
——馬の実績ゆえにここ数戦はビッグレースに挑んできました。今回は外回りコースの2200mになります。
いいんじゃないかと思いますよ。
——改めて、ダービー馬に騎乗されます。
依頼を受けて驚きがありました。ダービー馬に乗せてもらえるのは光栄です。実績的にもG2じゃ上位でしょうからね。期待しています。
——土曜のリクエイはどうでしょうか。
競馬はどこからでも行ける強みはあるかと思います。あともう一歩という内容ですので、上手く勝利に導ければと感じています。
——ヒットミーは追い切りに乗られたようですね。新馬戦は強い内容でした。
乗り味は良くて、能力はありそうですよ。ただ、精神的な部分が気になります。トレセンでもテンションが高いので、競馬場でさらにかなり高くなるのでは、と感じました。乗り味だけで言えば昇級しても通用しそうなものなのですが。
——アピーリングルックは中山に使うのだな、と感じましたが、クラスは卒業してほしい存在ですね。
こちらも能力は感じています。ただ、条件がかなり変わりますので、どういう走りをしてくれるか。距離やコーナー4つのコースなどやってみないとわからない面を感じます。
——フレーヴァードは久しぶりに騎乗します。
僕が乗せてもらった時も中山の方が合うと感じました。中山で乗れる点と、どれくらい変化しているか、ですね。
——アンリーロードは久しぶりに騎乗されます。
当時はマイルの方が合うように感じたのですが、精神面が課題で能力を出し切れていないんじゃないかと感じています。力を出し切れるといいのですが。
——ウィンダミアはどうでしょうか。
この条件は堅実。この馬ももう一歩という段階ですからね。上手くアプローチできればいいのですが。
——アイアムユウシュンは昇級戦となりますが、ラストは突き放しましたね。
前走は強い勝ち方。あの走りができればクラス上がってもと思いますよ。
——メイショウヨゾラは追い切りに乗られたようですね。
乗りやすさもあって、いい雰囲気でしたよ。自己条件なら上位の素材だと思います。
オール馬券圏内はならずも1日4勝!
——先週のショウナンマリーナは新馬後の2戦目で勝ち上がりました。
初戦の感触で言えば、テンションが上がってくるんじゃないかと危惧していました。それが逆に落ち着いていたんですよね。スタッフもその辺りは気を付けてやっていたようですし、幅が広がるいい勝ち方でした。肉体的には上向いたという程ではなかったですが、勝ち切ってくれたことは何よりです。
——京成杯(G3)のパーティハーンはどうでしたか。
凄く乗りやすくて、精神的にもドッシリしていました。不安なく乗れましたね。終わってみて、まだ体を使って走ってほしいですし、道中ももう少し手応え良くいけるといいのですが…。距離が延びてもいいと思いますが、現時点では体を上手く使えるように成長が伴ってくるといいですね。
——スターターンは展開も向いたのですが。
先生からも「あまり後ろからだと良くない」という話もありましたが、大外もあって行き脚はつきました。良いところで競馬ができたのですが、走破時計も速いし、これは勝った馬ほめるべきレースだったように感じます。流れも向いたと思いましたが。
——フロムダスクは久しぶりの騎乗でしたね。
フロムダスクのここ最近の中ではいい走りを見せられたのではないでしょうか。乗り味も良くて、この馬のリズムなら自ずと走れると思います。
——キュクヌスはどうでしたか。
馬格こそないものの、前進気勢もあり、レースセンスも兼ね備えていたことでパワーの差をカバーできましたね。
——エコロアゼルは新馬戦以来のコンビでした。
ハッキリ言えば、上手くなだめられたわけではないですね。これは馬の能力のおかげで勝てました。行きっぷりが良過ぎるくらいでしたからね。
——ロンパイアの着差は僅かでしたが、勝ち上がりました。
使っている割には状態も維持できていました。馬とスタッフに感謝です。
——パラサイコロジーは同じコースだった先ほどのエコロアゼル以上に大変でしたね。
大変と言うか……もう全く操縦ができていなかったです。スタートも出られなかったことで、より難しくなりましたね。上手く出られれば、行った行ったの競馬が出来そうです。
——タッチアンドムーブはどうでしたか。
変わらず乗り味や感触は良いんです、ただし、トモの感触がもう一つで、ポジションもとれなかったです。コーナーでのハマりも良くなってほしいところ。全体的に体質がしっかりしてくると変わると思うのですが。
——ジャスティンスカイは条件が噛み合えば、というところでしょうか。
以前は1600mで乗せてもらいましたが、当時よりも状態は良かったです。本来、もう少し距離があった方が良さそうですが、集中力がひと息でこの距離に使っているようで。今回もエンジンがかかったところでゴールしています。気持ちと条件が噛み合えばと感じます。
——ショウナンアビアスは難しい展開になってしまいましたね。
道中、内からはみ出されたりで、外に膨らむ形。そこで変に反応してしまい、ハミをとってしまいました。
——ウインスティーガは人気ほど頑張れなかったですね。
ゲートが上手く出られなかったですね。本来の持ち味が活きませんでした。
——久しぶりにスポーツの話題も。イチローさんが日米の殿堂入りをされましたね。
はい、自分がコメントさせてもらうのもおこがましいほどですが、普段、あまり本も読まないイチローさんの本は数多く読んできました。
自分の人生の中でもすごく影響のある存在であり、いちファンとして嬉しく思います。すごいことをやっていたわけで、それだけの評価をされるのでしょうが、また新たに偉業を達成なされたなと思います。
——現役を引退してからも練習を欠かさなかったりされているようですが、戸崎さんの場合は現役引退後、そんな想像はできますか。
いや~たとえるのもおこがましいと言いますか…以前から自分とは違う考え方、発想をなされていると思っていたんです。僕には真似ができない領域で、だからこそ、参考にできた方でした。今でもそういうことをしているのは驚かされますね。
——次週はカピリナに再び騎乗してシルクロードS(G3)で遠征ですね。その後も共同通信杯(G3)やダイヤモンドS(G3)の騎乗予定も明らかになっていましたね。今週もありがとうございました!
ありがとうございました。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。