'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
12月16日時点1567勝
得意のテン乗りで快勝!富士ステークスを振り返る
2014/11/7(金)
富士ステークスは師も納得の騎乗
-:富士S(G3)を勝ったステファノス(牡3、栗東・藤原英厩舎)ですが、レース後に先生(藤原英昭調教師)が「東京のマイルだからマイルを使った」みたいな言い方をされていました。なおかつ「戸崎満点やな」と言っていましたよ。
戸崎圭太騎手:ああ、嬉しいねえ。
-:それほど沢山騎乗されている厩舎ではありませんが、やっぱり藤原先生は違う印象ですか?
圭太:当然ながら結果も出していらっしゃいますし、あとは気持ち良く乗せてくれますね。レースが終わってからも凄くサッパリしているというか。
-:他の人より男らしさがありますね。レース自体はいかがでしたか?
圭太:ステファノスは追い切りよりもレースに来た時の方が凄く良かったですし、走るな、と改めてそういう印象ですね。先生も「1600、大外もどうなのかな」と言っていましたけれど、全て克服してくれましたし、そこは強さの証だと思いますので。
-:本質的には、やっぱり2000m前後の馬なのでしょうか。
圭太:どうなんですかねぇ。正直、その辺は分からないです。
-:先生のレース前の指示、作戦はどんな話がありましたか?
圭太:もう任せてくれましたね。「全部任せる」と。大外だったし、(指示は)細かくなかったです。「上手く前に壁を作って」といった話はされましたが、「あとは任せる」という感じだったので、ドンと乗っていきましたね。「直線で内を突くか、外を回すかはお前に任せるし」ということは言われたし。
-:レース前の手応えとしても、けっこう良い感触で調教は終えられたのですね。それでいて、それ以上のパフォーマンスをしてくれたと。
圭太:そうですね。ドンと構えて行けましたもんね。全然プレッシャーも掛からず、気持ち良く乗れましたね。
-:なおかつレース後も1スイング?
圭太:そうですね。あれは嫌だなと(笑)。
※テレビ番組の要望に応える形で、勝利ジョッキーインタビュー後、「趣味のゴルフ」のエアスイングをパフォーマンスとして行った。
栗東、門別と過酷な移動スケジュール
-:そして、北海道の重賞、エーデルワイス賞(Jpn3)もウィッシュハピネス(牝2、栗東・沖厩舎)で見事に制されました。
圭太:二の脚がめちゃくちゃ速かったですね。返し馬ではまだ少し子供っぽいような、わがままなところを出していましたが、レースでは強さを見せられたかなと思いますね。
-:危なげのない勝ち方でしたもんね。そして、あの日は朝、栗東で追い切りに騎乗されてから、その日に門別へ行くという大変なローテだったのですが、そこら辺は大丈夫でしたか?
圭太:あの週は結構ハードでしたね。月曜日は盛岡だったし、その後に栗東に。北海道に行って、レースに騎乗して一泊して、東京へ。移動は長かったので、疲れは出ましたね。
-:それで朝戻ってきて、支度をして夜に。
圭太:また移動して、日曜日が京都でしたからね。土曜日が移動だったので。まあ、それは移動の多い週でしたね。
-:マイレージは貯まります。
圭太:そうですね。ハハハ(笑)。
-:移動の疲れというのは、それなりに特有のものがありますよね。
圭太:ありますね。地方の時はそんなに感じなかったですけど、やっぱりありますね。
-:それを何度もやっていくうちに慣れていくということはあるのですか?運動だったら、運動をすることによって筋肉を使う分、慣れや強度が出てくる訳じゃないですか。軽い運動をするくらいなら、疲れないようになるものですが。
圭太:いや慣れても、やっぱり多少の疲れはあるんじゃないですか。というのも、移動の疲れは、また違う質のものじゃないですかね。やっぱりどれだけ移動している人も、移動をすれば疲れると思いますよ。
-:もちろんスポーツ選手ではありますが、パフォーマンスに大きな影響があるほどのものではないでしょうが、野球選手の場合、3日に一度などの移動がある分、あれをやっていると、どこまで慣れがあるのかなと疑問がありました。
圭太:ああ~、どうなんですかねえ。僕が苦手なのが、いつもならマネージャーなどと一緒に動くのですが、今回は栗東も北海道も1人だったのでね。だから、時間の管理などを自分でやらなきゃいけないのがあったので、その辺の気苦労はありましたね。
-:1人で行く時は1人で準備をするというか?
圭太:そうですね。それがちょっと不安ですよね。栗東から空港までのルートも、ハッキリ分からないじゃないですか。そういうのも不安ですよね。今回は結果的に、同期が栗東にいたので、空港まで送っていってもらいましたね。
-:それは結構な距離を送らせましたね(笑)?
圭太:いやいや、「やってくれる」と言うので、ハハハ。川江光司という昔、高知のジョッキーだった良いヤツなんですよ。
イーブンな東京の芝
-:最後に、連続開催の続く今の東京の芝はどうですか?
圭太:良い状態なんじゃないですか。上半期と比べて、特に変化はないですかね。
-:「去年よりは全体的に柔らかくなっている」というか、「クッションが良くなっている」という話でした。それは引き続き変化はないということですね。
圭太:維持していますね。だから、前が残ったり、後ろから差したり、色々なバリエーションがありますよね。
-:レース展開を見ていても、どちらかに一辺倒ということはないですね。
圭太:そういう意味でも、良いんじゃないでしょうか。
-:1週目なんかは、洋芝がだいぶ長く見えたんですけどね。京都はどうでしたか?
圭太:京都は全部が良い分、内の方が有利だったのかなという感じはしますね。
-:芝もダートも、内で前残りという感じがありますね。
圭太:基本的にはそうかもしれないですね。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。