'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
1月20日時点1577勝
ジェンティルドンナで劇的V!有終の美を飾った有馬記念を語る!
2015/1/8(木)
願ってもない枠をゲット
-:昨日はジェンティルドンナ(牝6、栗東・石坂厩舎)で劇的な有馬記念優勝おめでとうございました!今の気分はいかがですか?
戸崎圭太騎手:……心が浮ついていますね。なるべく落ち着かせようとは思っているのですが、嬉しい限りで、まだ余韻に浸っています。
-:戦前にも色々な話を聞かせていただきましが、まさかこんなに形になるとは。
圭太:これが実現するのとしないのとでは、また違いますからね。いや~、競馬にはドラマがあるなと感じましたね。色々な馬にも乗せてもらいましたが、ここまでストーリー・ドラマを深く感じたことはなかったですかね。感じたことがなかったというより、一番劇的に感じたものは今回でしたね。
-:レースに至るまで、まず今回のポイントとしては、枠順抽選会というものがありまして、抽選順は幸運にも一番ということで、完璧に理想の枠を選択することが出来た立場だったと思います。抽選会までの先生(石坂正調教師)との打ち合わせは、どれほどされたのですか?
圭太: 1週前追い切りの時に、僕の中でも理想の枠を大体決めて、先生に話したのですが、希望が丸っきり一緒だったので、難なく「それで行こう」ということでした。当日は先生が発表してくれるということだったので、ああいう形になりましたね。
-:第一希望は2枠4番ですね。
圭太:そうですね。第二希望は3枠6番ですね。次いで、4枠8番。
-:偶数の内目ということで。
圭太:そうですね。極端な内枠の1枠1番、2番は嫌いましたね。
-:内枠でジェンティルのスタートダッシュなら、ハナに出ていってしまうかもしれませんよね。
圭太:それはないと思いますが、どんな形にせよ、下げようとは思っていたので。一方で内でゴチャつくのも嫌だなというのも、先生の考えと一致したので。抽選順が遅ければどうなっていたかはわかりませんが、本当に相談もなく楽に決まりましたね。
-:抽選会ではガッツポーズも飛び出ましたね。
圭太:まあ、一番ですからね。良かったですよね(ニヤリ)。
栗東トレセンへ赴き、有馬記念1週前追い切りに騎乗
ジェンティル向きの馬場状態
-:正直なところ、レース前は不安を感じながら挑まれているのかな、という気がしたのですが、そういう希望通りにも行って、運も向いていたわけです。もちろん不安があったとしても、レースに対しての一発狙おうというモチベーションもあったわけで、やっぱり見ていても、何か大きなことをしてもおかしくないのかな、という気はしていました。そして、今回のもう一つのポイントに、当日の馬場状態も割と影響したのかなと。
圭太:そうですね。中山開催が始まって、一番乾いている馬場だったとは思いましたね。毎日、中山に乗っていたわけではありませんが、そう思います。
-:それは、前のレースに乗っている時点から、そう感じていたわけですよね。
圭太:ありましたね。なおかつ、ジェンティルにとっては良い方に向きますからね。
-:レース展開も理想的な運びに見えましたね。
圭太:ヴィルシーナが行って。他がいて、2~3番手の後ろには付けようと思いましたね。ただ、ラチ沿いに行く気はなかったです。ゴチャつくのも凄く嫌だったし、あとはジェンティルの渋太さというのも活かしたいなと思っていたので。今回はゴチャつくよりも早めに進路を見付けられるところを通ろうとは思っていましたね。
-:思い描いていた展開とは近いものだったですか?
圭太:う~ん、でも、前があんなに離していくとは思わなかったし、僕も壁が前に出来ると思ったんです。エピファ(ネイア)もあんなに前に行くとは思っていなかったし、エピファの後ろで、と想定していたのですが、エピファがヴィルシーナの後ろに入れる形になったので、そうすると自然と前に壁がなくなる形となり、少し行きたがる面も見受けられたんです。それでも、あのペースの中、凄くまとまって、良いリズムで走れたかなと思いますね。
-:馬の状態、当日の雰囲気自体はどうでしたか?
圭太:元気一杯でしたね。天皇賞(秋)とどこか変わったかというと、特に変わりはないのですが、良い状態を維持しているとは感じましたね。
-:追い切りにも1週前に乗りに行かれました。ただ、冷え込んだ時季になってからは、坂路の追い切りも重い馬場だったり、滑る馬場だったりで、なかなか見た目では判断し辛い印象でした。
圭太:そうですね。馬場が悪かったので、そんなにガシガシと出来なかったんです。
-:よく引退レースというと、“どこまで仕上げるの?本気で勝負にくるの?”という懐疑的なファンや関係者も多いと思いますが、もちろんそんな仕上げでもないですし、やっぱりジェンティル陣営は勝ちに行った有馬記念だったということですね。
圭太:そうですね。その思いが実ったレースだったと思いますよ。
インタビュー(後半)
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プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。