'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
11月18日時点1558勝
大舞台へ飛躍を遂げるか 素質馬モーリス
2015/4/3(金)
素質を証明できた前走
-:レースは目前へと迫りましたが、ダービー卿CT(G3)のモーリス(牡4、美浦・堀厩舎)について伺います。この馬は前回テン乗りで勝たれましたが、改めてレースを振り返っていただけますか?
戸崎圭太騎手:率直にいえば勝てはしましたが、ゲートが良くないですね。今後の課題であることには違いないです……。
-:練習した上であのゲートということになってしまうわけですね。
圭太:練習をしても、練習と実戦が違うことを分かっている馬は分かっているのですよね。練習では大人しく、レースに行ってからうるさい、ということは多々あることでして、この馬もそうかもしれません。今回は上手くゲートのタイミングが取れればと思っています。
-:そのゲートのロスは前回は1800m戦で、今回は1600m。メンバーも上がった中で距離短縮でもありますし、致命傷になりかねないというか、厳しい条件になってくる懸念があります。
圭太:そうですね。スタートは普通に出たいですよね。遅れて良い馬も稀にはいますが……。
-:余程前崩れの展開になれば別ですが、そこは気掛かりですね。そのゲートの不安は抜きにして、前走のレース自体はいかがでしたか?
圭太:強い競馬でしたね。あれだけのスローで、一気のひとマクリで勝ちきれるくらいですからね。
-:だいぶ余裕のあった走りでしたね。
圭太:ええ。素質は証明出来たかなという感じですね。
-:具体的には、どういったところがこの馬の良さですか?
圭太:力はありますし、気持ちも真面目ですね。その分、道中の折り合いは課題になっているのですが。
課題はゲートと道悪適性
-:ただ、前回は出遅れがあって持ち直すロスもあったとはいえ、ゆったりしたペースだけに折り合いは問題なくこなせました。それ程、心配するところではない気がするのですが、いかがでしたか?
圭太:そうですね。何が何でも引っ掛かっていくという感じはありません。我慢は利く馬なのでね。
-:「折り合い面は大丈夫」というお話でしたが、前回も前々回もレースの運びはスムーズな競馬だったと思います。モマれた場合の克服力、対応力はありそうですか?
圭太:それは大丈夫だと思いますよ。
-:また、1800から1600になるのも良い材料ですか?
圭太:逆に良いと思いますね。レースはしやすいかなと。1400でもレコード勝ちしていますし、スピードもあるのでマイルがベスト条件かと思います。
-:重賞のマイル戦ならばペースもあがるでしょうし、そこは心配しなくて良さそうですね。そして、パワーという面では週末は降雨も予想されています。道悪になった場合の適性はどうですか?
圭太:大丈夫だと思いますけどね。ただ、走り方が下に向かって走るというか、ノメり加減で走るタイプなので、その辺はやってみないと分からないですね。
-:昔はもうちょっと首が高いイメージがあったのですが、前回を見るとそうでもなかったので、その違いは何かあるのですか?
圭太:いや、もともと少し低い感じはしますね。
-:前回と追い切りに乗っている中では、道悪も問題なさそうだと。
圭太:パワー的に言えば。フットワーク的に言えば微妙かな?という感じもあるので、どちらに転ぶか、というところです。道悪の加減にもよるでしょうね。
-:どういった展開が理想でしょうか?
圭太:上手くゲートを出て、先行して差す形が良いのではないのでしょうか。ポジションには自在性があるでしょうし、どんな競馬でも出来ますよ。とにかくゲート次第ですね。
-:外枠が不利と言われる中山のマイル戦。当日の馬場状態にもよるでしょうが、枠的にはどうでしょうか?
圭太:いわばどっちもどっちですよね。僕の気持ちで言えば、外枠でもスムーズに走れるだけ良いですね。
-:中山マイルの外枠でも上手く導ける鞍上ですものね。ここまでの中山の芝の状態はいかがですか?
圭太:随分、内は荒れていますね。雨が降ったらもっと内を開けて走るようなレースになるのかもしれませんね。
-:今回良い結果が出れば、安田記念が見えてくる存在ではあると思うのですが?
圭太:そうですよね。この先も期待できる存在だと思います。
-:ここに来て連勝して勢いがあります。土曜日には同じ厩舎のリアルインパクト(牡7、美浦・堀厩舎)もオーストラリアでG1に向かいますし、厩舎も活気づくであろう一週間ですね。レースに向けてのまとめをお願いします。
圭太:追い切りに乗せてもらった時から素質は感じましたし、重賞級の馬だなと感じていたので、この良い勢い、この流れのまま突破したいですね。
※次週は待望の桜花賞!ルージュバックと挑むクラシック第一冠へ、その勝算と可能性に迫りました。4月5日(日)、桜花賞SPECIALの公開をお待ちください。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。