'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
12月16日時点1567勝
大出遅れに光明?3歳マイル王窺うグランシルクの可能性とは
2015/5/5(火)
策が見えた?ニュージーランドT
-:それではNHKマイルC(G1)のグランシルク(牡3、美浦・戸田厩舎)についてよろしくお願い致します。デビューは他のジョッキーが騎乗していましたが、キャリア2戦目から手綱を執られて、2度目の騎乗で初勝利。またがった当初の段階での雰囲気などから教えていただけますか?
戸崎圭太騎手:少しテンションの高い馬で、真面目なタイプの馬でしたね。それ故に、僕が初めに乗ったのは1800mでしたが、距離も1800よりは1600くらいが良いかもしれませんね、という意見をさせてもらいました。その直後に距離を縮めて、千六のレースで勝ちましたが、思っていた通りといいますか、良い雰囲気の走りでした。
-:そこから2連勝でニュージーランドトロフィーでは2着でしたね。
圭太:今までは上手に良い位置で競馬を出来たりしていたのですが、前走は大出遅れ。結果、負けてしまったので、良い結果を残せなかったことは残念でしたが、ああいう競馬でありながらも、何か違う一面が見られたな、という感触はありましたね。
-:それは良い意味でなのか、悪い意味でなのか。良い意味で、ということですか?
圭太:いや、良い意味で、ですね。それは勝っていた時の決め手といいますか、蓮生寺よりもインパクトがある、強い一面を見られたかなと思いました。
-:確かに勝っている時は、ファンの支持通りに結果を残してはいるものの、その走りを見ている分には、どこか伸び切れないような雰囲気に見えました。ソツなく運んでいるからそうなのかと思っていましたし、重賞ではどうかな?という印象を受けました。しかし、おっしゃる通り前走は負けて強しの競馬でしたね。その前回の決め手は東京に替わっても活きそうですね。
圭太:そうですね。本当にインパクトのある、強い競馬をしたと思います。その前の勝っている2戦は、本当に立ち回りも上手で、という良さもありましたが。
-:中山の大外でもこなしていましたし、どちらも外枠で優等生な競馬ではありましたが、こと底力といえば前走が光りますよね。
圭太:まあ、力があることは証明出来ているので、あとは乗り方でしょうね。
-:次は敢えて下げるような、思い切った形になってきますか?
圭太:どうしましょうかね(ニヤリ)。ひとまず、陣営とはコミュニケーションは取りたいと思っています。まだ、レースまでは日にちがありますのでね。
-:好位で位置で競馬をしたり、位置を取りに行くということはないですよね。
圭太:どうでしょうね。まあ、自在性がそれなりにあるので、要相談で。ハハハ(笑)。
-:もしかしたら、前回のような競馬、最後に脚を使わせる方が、この馬の力を出せる形なのかもしれませんね。
圭太:そうですね。本当に強い競馬をしたなという感じなので。
▲一頭、次元の違う上がりの脚で2着まで追い上げた前走
ステイゴールド産駒の系譜を受け継ぐ個性
-:「性格が真面目だ」とおっしゃっていましたが、それはマイルより長い、中距離戦などでは、折り合い面に苦労しそうな部分でもありますか?
圭太:折り合いも我慢はしてくれているのですが、終いの脚が……ですね。ただ、前走みたいな大出遅れをして、2000で走ったら、あの脚が見られるかもしれないですよね。そういう意味でも思っていた以上にすごい馬なのかもしれません。
-:昨年の暮れから数は使っていると思います。なおかつ高いステージでの闘いも続いてきて、状態面の変化は大丈夫そうですか?
圭太:「重賞の後も馬はケロッとしている」という話で、なかなかしぶとい馬だと思いますね。
-:前走が本来の走りだとすれば、それまではまだ余裕を持って走っていた可能性もあるわけですね。逆にウイークポイント、こういう形になったら嫌だな、というレース展開であったり、条件はあるのですか?
圭太:この馬に関しては、まだそこも未知数ですよね。モマれる競馬も経験していますし、道悪も耐えられそうですからね。
「“爆発”する雰囲気があります。前走はゲートの中で爆発をして、前々走は返し馬で少しヤンチャというか、ちょっとカチンと来たところがありましたね」
-:そして、特性を探る意味では、ステイゴールドというファンにも個性派でお馴染みのお父さんの産駒です。ジョッキー自身、今まで乗ってきたステイゴールドの産駒と比べて、乗った感触はどういった感じですか?
圭太:真面目な感じですね。初めて乗った時は厩舎の方からも「気が勝っている」というのは言われましたね。
-:ただ、レースでは許容範囲内ですよね。
圭太:しかし、“爆発”する雰囲気があります。前走はゲートの中で爆発をして、前々走は返し馬で少しヤンチャというか、ちょっとカチンと来たところがありましたね。
-:そのスイッチが入るキッカケというのは……。
圭太:敏感ですよね。前走はゲートの中で他が暴れた時にプッツンといきました。いつも入場の時に元気が良いのですが、その前走は馬場へ放してからズーンと行って、(手綱を操作する仕草を見せながら)操縦性が……。レースでは全然そういったことはないのですが。
-:そういう意味では、オルフェーヴル、ゴールドシップに代表されるようなステイゴールド産駒っぽいところがあるのかもしれないですね。ジョッキーが以前、乗ったことのあったココロノアイも引き上げで飛んでいったり、なんて話も聞きました。
圭太:ええ、少しあるのかもしれないですね。
-:話を聞く限りでは、ゲートで周りに煩い馬がいない方が良いかもしれないということでしょうか。
圭太:まあ、いたらいたで。というのも、(出遅れた前走でも)あれだけ走っていますからね(笑)。
-:前回の末脚でファンの期待も高まったと思います。未知の魅力に期待したい一戦ですね。
圭太:そうですね。力は証明出来ていると思うので。
-:マイルのトップクラスの中では、目途の立つ走りはしていると思いますからね。
圭太:それを、一番良い形で引き出せたらと思います。それに尽きますね。
-:最後に、この春の東京の芝はいかがですか?
圭太:良いと思いますね。そんなに硬すぎることもなく、芝も長めですよ。
-:勝てばファンの期待も集めそうなタイプです。健闘を祈ります。
圭太:ありがとうございます。頑張りたいですね。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。