'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
1月3日時点1570勝
有終の秋へ ストレイトガールと始動!
2015/9/12(土)
今秋をもっての引退は表明されているが「ザ・インタビュー」でも触れられていた通り、陣営は新たな勲章へ貪欲な姿勢をみせている。ベテラン牝馬にタイトルをもたらした鞍上は、ラストシーズンの可能性をどう見ているのか。意気込みを語ってもらった。
有終の秋へ ストレイトガールが始動
-:ヴィクトリアマイルを制したストレイトガール(牝6、栗東・藤原英厩舎)と秋緒戦・セントウルS(G2)へ向かいます。間隔が空くような使い方というのは、今までもやっているので、それはあまり心配ないのかと思いますが、スプリントの距離へ戻ることに関しては、どうしても、マイルで勝って復調をアピールしただけに、どうなのかな、という印象を受けますが、そこはいかがでしょうか?
戸崎圭太騎手:1200mでは乗ったことがないので分からないですが、あれだけやれていた馬なので問題ないでしょうね。ずっと1200を使っていたので、ヴィクトリアマイルでは気持ち良く行かせ過ぎず、我慢させつつ、その中で折り合いも気を付ける競馬をしましたが。
-:ただ、6歳牝馬のスプリント戦という額面を見ると、半信半疑に思ってしまいますが、そういう意味では、多少展開が流れて差し競馬になった方が良いのか、そこはどうでしょうか?
圭太:差し競馬になった方が良いんじゃないですかね?ただ、あんまり(ペースが)速くなってしまうと、メリハリなくダラッと走ってしまうのでね。速過ぎるのもどうかと思いますが、難しいところじゃないですか。ヴィクトリアマイルもハイペースとはいえ、後続も脚をなし崩しに使わされる展開でしたから、僅かなペース一つで大きな影響は出てきますよね。
-:その前回もペースは速かったですよね。
圭太:といっても前回は1600ですから。速くても(手綱を)持っていられるじゃないですか。1200の速い流れだと、ただダラッと走っちゃう可能性もありますからね。気持ちが入っていれば、そこで持っていられるでしょうが。
-:馬場的なものを考えると、今回よりは次回(スプリンターズS)の方がチャンスはあると思って良いですか?
圭太:そうかもしれませんね。(今回は)開幕週ですから。前が有利よりは、ということですね。
-:ただ、6歳牝馬でこれだけ走っている馬は、日本の競馬のサイクルを考えても、なかなかいないですよね。
圭太:素晴らしいですよ。前回の勝ちは、本当に能力で勝ったようなものなので、素晴らしいに尽きます。普通は、あそこから差し切れないですもん。最後までヒヤヒヤしましたが、ストレイトガールに助けられた勝ち星です。
-:ストレイトガールはこの秋がラストシーズンとなりますが、スプリンターズSは良い結果を残して、ファンにも温かく迎えていただきたいですね。
圭太:(不思議そうに)まあ、そうですね?
-:というのも、「ヴィクトリアマイルのウイニングランは観衆の反応がすごく薄かった。何度アクションを起こしてもシーンとしていた」と言っていたじゃないですか?G1馬にもなりましたし、もう一つ勝つことができれば、ストレイトガールの名を知るファンにも温かく迎えてもらえるのかと。
圭太:あ~、ハイハイ(笑)。そんなことありましたね、ハハハ。
スタンドに向かってガッツポーズも どこか困惑気味?
-:多分、あの時は大荒れだったから、ファンも鎮まりかえっていたんだと思います(笑)。そして、ストレイトガールは最後のシーズンなので、良い形、無事に終えられたらいいですね。
圭太:そうですね。それが一番ですね。
-:次節、セントライト記念(G2)のグリュイエール(牡3、栗東・藤原英厩舎)も藤原英昭厩舎の管理馬です。こちらも簡単にお聞かせください。
圭太:もともと折り合いが難しい馬だったのですが、そこは付くようになったのでね。その先入観は取っ払って行こうかと思いますね。
-:距離が延びますが、普通ならばそこが大変にならないですか?
圭太:前回の感じだと、大丈夫ですね。
悔しい新潟リーディング2位 仕切り直しを誓う
-:そして、夏競馬にも触れていただくと、惜しくも新潟リーディングを逃してしまいました。
圭太:狙っていたので、悔しいですね。今年はとにかく2着が多いですから。地方の時もそんなに2着ばかりになった印象はないのですが、顕著ですね。2着リーディングじゃないかと思うほどです。
-:2着リーディング争いでは何位なのか、後ほど調べておきます(笑)。今年からデムーロ、ルメール両外国人騎手が加入し、夏の新潟には岩田康誠騎手も参戦。例年以上にハイレベルで、なおかつ厳しい闘いだったのではないでしょうか。
圭太:まあ、それはわかっていることなのでね。特に気にもならないですよ。乗馬だって、次にどの馬に乗れるのか、確約されない時代です。あくまで目の前の自分の競馬に徹するだけです。
-:具体的なレース回顧は次週分で改めて伺うとして、この夏は珍しく風邪もひかれたとか。
圭太:そうですね。札幌から戻ったあと、扁桃腺も腫れまして。風邪なんて、何年ぶりというほどです。
-:秋を迎えて、心身ともに調子を戻して、頑張ってください。記事の更新も久しぶりになってしまいましたが、ここからは毎週更新ということで大丈夫ですね。
圭太:ハイ。秋から仕切り直していきます!よろしくお願いします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。