'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
11月18日時点1558勝
春秋G1制覇へ手応え感じたストレイトガール
2015/9/18(金)
次は巻き返しの余地アリ ストレイトガール
-:それでは、よろしくお願いします。セントウルS(G2)のストレイトガール(牝6、栗東・藤原英厩舎)は4着という結果でした。着差はわずかであわや、という結果でしたが、レースを振り返っていただけますか?
戸崎圭太騎手:久々でも馬はすごく良い雰囲気でしたね。レースの位置取りは思い通りでしたが、少し馬場がしぶいのは堪えた感がありましたよ。脚をとられるようなところがありましたからね。
-:ただ、マイルで勝ったあとのスプリント戦ということを考えれば、僅差の4着ですからね。あくまで私の意見ですが、実績馬とはいえ、しっかり格好をつけてきた印象は受けました。
圭太:しかし、条件次第ではもっと上にきてもおかしくないレースだったと思います。4角の手応えがもう少し反応が良くても、というところもありましたからね。それに4角では外にも振られてしまいましたから。そこからジリジリと伸びているのですが。
-:陣営の方もスプリンターズSを見据えた仕上げにしなくてはいけない、といった話を戦前にしていました。そういう意味では、本調子に近づける次は、4角の反応ももっと良くなってきそうですね。
圭太:ええ、次は良いかな、チャンスかな、というレース振りではありましたね。
-:紫苑ステークスのテンダリーヴォイス(牝3、美浦・萩原厩舎)はいかがでしたか?スタンド前では落馬をしないか、心配になりました。
圭太:不利は大きかったですね。大きく躓いて、落馬しそうな程でしたからね……。
-:レースに乗ったことのない人間は直線の不利ばかりが、大きな不利のように思ってしまいますが、あれも大きな影響があるわけですね。余談ですが、ああいったアクシデントは馬の脚などには影響もある程でしたか?
圭太:影響はありましたね……。馬についてはどうなんですかね。そういうところは馬にもよるのではないですかね。ただ、結果にも影響したとはいえ、もう少し走ってくれても、という負け方でした。う~ん……。
-:今週は栗東の追い切りに行かれたそうですが、グリュイエールとラベンダーヴァレイですね。
圭太:ラベンダーヴァレイ(牝2、栗東・藤原英厩舎)は良い動きでした。きょうだいが実績馬(カミノタサハラ、ボレアス、ベルキャニオンら)だけに、期待は膨らみますね。グリュイエール(牡3、栗東・藤原英厩舎)の雰囲気は良かったですよ。その気配がレースにつながれば良いかと思います。
-:特別戦のお話を伺うと、土曜中山の古作特別、サクラディソール(牝5、美浦・尾関厩舎)はいかがでしたか?
圭太:前走はスムーズさを欠いたので、そこらへんが上手くいけばいいですね。(日曜中山の初風特別)サザナミ(牝3、美浦・堀厩舎)はもともと素質がありましたからね。期待していますが。
-:そして、次週の神戸新聞杯(G2)はマッサビエルとのコンビですね。
圭太:来週、追い切りに乗る予定ですね。順調に勝ち上がってきていますし、距離自体は長いところがこなせると思うので、あとは一線級との相手関係です。
▲戸崎騎手が手綱を執って併せ馬を行うラベンダーヴァレイ(写真奥)
馬場、ハンデを利して低評価を覆す結果
-:そして、夏競馬のレース回顧についても、よろしくお願いします。
圭太:そんなに振り返るほど目立ったところはあったかな……?ひとまず、よろしくお願いします。
-:そう悲観せず、よろしくお願いしますね!まず、新潟記念(G3)のファントムライト(牡6、栗東・藤原英厩舎)はいかがでしたか?
圭太:人気も全然なかったですし、気楽に思いっきり乗ろうと思っていました。僕が初めに乗って勝たせていただいたのが東京で、その後も乗せていただいたのですが、東京で勝った時よりはオットリとした部分が出てきていたので、緩い馬場は向くのではないかと思っていました。時計が掛かりますからね。
-:レース時は稍重の発表でしたが、それ以上に悪かったと考えても良いですか?他のジョッキーからもそんな声がありました。
圭太:はい、(馬場は)緩かったですね。
-:オペラハウス産駒のファントムライトが来るくらいなので、馬場のアシストは大きいのかと見ておりました。
圭太:ただ、「(重馬場は)元々良くない」と聞いておりまして、どうなのかと思っていましたが……。今は速い決着になると、苦労しそうな雰囲気もありますからね。それに今回はハンデ戦でしたからね。
ペース次第で反撃も可能なキョウエイアシュラ
-:サマーチャンピオン(Jpn3)のキョウエイアシュラ(牡8、栗東・森田厩舎)はどうでしたか?
圭太:う~ん、ちょっと忙しかったですね。
-:1400は1400でも、もう少し直線が長い方が良いですか?
圭太:そうですね。道中(手綱を)持っていられたりすると良い感じですね。溜めが利けていなかったので。
-:となると、地方交流での1400というのは、過去に勝っていますが、今は適性が変わっていると。
圭太:馬場は合うんですが、展開次第でしょうね。
-:馬場は地方のダートの方が良いのでしょうが、どこも小回りばかり。なおかつあの距離というのはなかなか合わないのでしょうね。ただ、思ったよりも上には来たのかなと思ったのですが?
圭太:ああ、そうですか。いや、けっこう頑張ってくれる馬なのですよね。
-:結果は4着でしたが、(ジョッキーとの)相性自体は良い馬とみて良いですね。
圭太:走ってくれますね。僕も好きなタイプで。
-:前に東京で勝った時も「使う予定がなかったのに、直前にレースを決めて勝った」とおっしゃっていましたものね。
圭太:そんなエピソードもありましたね。
ワールドオールスタージョッキーズシリーズは3位も…
-:ワールドオールスタージョッキーズは見事、と言ってイイのかわかりませんが、3位でした。レース後のインタビューでも自虐的なコメントが飛び出しましたね。
圭太:ねえ、何で3位だろうな、という感じでしたね。正直、全く目立っていないですしね。そんなに結果が出ているとも思ってみなかったので。第3戦が終わって成績を見たのですが、4位だったんですよね。そこでエッと思ったのですが、1位、2位がポイントを持っていってしまっている分、その後が接戦だったのかと。
-:最後のレースは、ある程度そこは意識して乗ったということですね。
圭太:そうですね。(意識して)乗りましたね。
-:1ポイントというわずかな差での決着でした。
圭太:3位ながら賞金が100万円もありました。4位が地方の騎手(金沢・藤田弘治)だったので、ちょっと微妙な思いもありました……。ただ、それは終わってみて分かったことなのでね。
-:そうですね。元地方競馬出身の身としても、地方競馬の境遇でわかる部分は大きいですよね。
圭太:(地方競馬は)賞金も少ないですしね。とはいえ、手を抜く訳にもいかないので……。
-:僕もあの結果をみて、そう感じると思って観ていました。ちなみにあの週はモレイラ騎手が大活躍でしたが、感じさせられるところはありましたか?
圭太:もともと注目をしていましたし、一緒にレースに乗りましたが、素晴らしい騎乗でしたね。
-:同業者として、どういうところが素晴らしいのか、ファンに分かりやすくお伝えいただけますか?
圭太:言い表すのは難しいですね。強いていえば、ライアン(ムーア)もずっと褒めていて、それもあって、注目していたのです。ライアンは「バランスが良い、芯がブレない」と言っていて、僕が見ていても、そう感じますし、馬の力を余さないというところがすごいのかなと思います。
-:馬を走りきらせるという。
圭太:そうですね。
-:「得意の英語」を披露して、しゃべったりはされなかったですか?
圭太:していないです(笑)。
-:まだまだ英会話は実用的ではないと。
圭太:出しはしないです。まだ、使いこなせるには至っていませんからね。
-:一応、(英会話は)続けてはいらっしゃるのですね。
圭太:続けていますね。他にもターナー騎手は女性騎手とはいえ、達者だと思いましたよ。他にも57歳のラッセル・ベイズ騎手は(的場さんと同じぐらいの年齢で)すごいですよね。色々な刺激を受けながら終われましたけどね。また、刺激を受けたので、これを機に英語も競馬もモチベーションをあげて、頑張ろうかと思っています。
-:札幌から帰られたあとは体調を崩されたお話はありましたが、やっぱりビールかけの影響ですか?
圭太:そうですかね(笑)?ただ、初めてビールかけをやりましたが、面白いですね。
-:野球選手でもなければ、普通だったらやれる機会ないですもんね。
圭太:WSJSも出させてもらってきましたが、ビールかけは初めてのこと。このシリーズ、唯一の楽しい思い出かもしれません(笑)。
※次回は9月25日(金)に更新予定です。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。