毎日王冠の戦前は色気タップリのムードだったものの、期待に反して7着に敗退してしまったステファノスと戸崎騎手。トーンが高かっただけに、巻き返しには大きな変わり身が求められそうだが、そこは秋のG1第一弾のスプリンターズSを思い出したいところ。ストレイトガールと同じジョッキー＆厩舎のコンビによる、前哨戦敗退からの逆転劇に期待したい。直近に迫ったJBCの展望も含め、鞍上に直撃した。

ひと叩き上昇なるかステファノス

－：今週は天皇賞・秋(G1)ですね。ステファノス(牡4、栗東・藤原英厩舎)とは前回の毎日王冠で2回目のコンビも、着順が芳しくなかったのですが、ここはひと叩きしての上積みが期待されるところです。ジョッキーから見ての見立てはいかがでしょうか？

圭太：そうですね。スプリンターズSのストレイトガールの時もガラッと馬が変わってきましたが、同じ厩舎ですからね。前走は本番に向けての仕上げだと思いますので、その辺にも期待したいと思っています。

－：前回を圧勝したわけではないので、ある程度、巻き返すための条件も必要かと思います。状態面の上積みはまず一つあるとして、それ以外の要素で考えられる部分はありますか？

圭太：距離は延びても大丈夫かと思いますし、枠順は内の方が良いですね。ロスなく良い位置を取りたいです。なおかつペースも流れてくれるといいですね。

－：まさかの大外になったらどうしましょうか？

圭太：ハハハ、(藤原英昭)先生に聞きます。

－：耳にしたことがありますが、藤原先生はある程度「作戦」といいますか、事前の打ち合わせを細かくされる方と聞きました。

圭太：ええ、だから、楽しいですよ。

戸崎圭太

藤原英師とレース直前に打ち合わせ中？(写真は毎日王冠時)


－：その「楽しい」ミーティングはレース直前にされるのですか？

圭太：そうですね。騎手にも意見を聞いてくれますね。「どう思ってる？」みたいに毎回確認してくれるので。

－：あくまで自分の意思一択だけじゃなくて、ちゃんと意見を汲み取ってやってくれると。

圭太：ハイ。まあ、大体(意見は)一致していますけどね。

－：今回も一致なその作戦ですが、想定される形はどうなりそうですか？

圭太：いや、それを言ったら先生に怒られちゃうから、秘密にしておきましょう。フフフ。

－：それがどういうものだったか、レース後また聞かせて下さい。

圭太：ええ、と言っても、枠順によるでしょうからね。枠順が出ないと(作戦が)立てられないのでね。

－：なおかつ、その結果が良い形になれば良いですね。前回がスローで0.5秒差。人気は落とすでしょうが、可能性はあると思って期待して観ています。

圭太：そうですね。エイシンヒカリ、ラブリーデイらが人気するのでしょうが、今年は抜けた馬がいないと思っていますから、食らいついていきたいです。

－：ちなみに、ご自身の見立てとして、今回はどんな展開になると思いますか？

圭太：まあ、(枠順の)並びを見てみないと分からないですよね。そこは、どのレースもそうです。G1になると余計に。ただ、その中でもエイシンヒカリは行くのでしょうからね。

－：それに騎乗された経験のあるラブリーデイが続くと。

圭太：ラブリーデイは競馬が上手なので、ある程度良いところで。ペースはそんなに速くなるとは思わないですが。繰り返しますが、ストレイトガールのようにしっかり仕上げてもらえるので、その変わり身に期待します！

戸崎圭太

－：天皇賞から2日後、JBCは大井での開催になりますが、JBCレディスクラシック(Jpn1)にはトロワボヌール(牝5、美浦・畠山吉厩舎)はお馴染みのコンビで向かいますね。

圭太：前走は右回りをちょっと懸念していたのですが、上手に走ってくれました。2着でしたが、次に繋がる良いレースだったと思いますし、強いサンビスタがいますが、負かしに行きたいなと思います。

－：サンビスタを負かせる具体的なイメージはありますか？

圭太：いやあ、サンビスタは強いですよ。ただ、レースは何が起こるか分からないのでね。チャンスのある一頭ですから、期待を持って臨みます。

－：JBCスプリント(Jpn1)のレーザーバレット(牡7、美浦・萩原厩舎)は、こちらもライバルは強敵ですが、前哨戦を勝っての臨戦です。

圭太：そうですね。いずれにせよ、後ろからの競馬になると思うので、展開もありますし、運が向いてくれれば良いかな、と。ただ、乗りやすくて力もあるので、楽しみは持っていますよ。

－：ちなみに、JBCは何回勝っていましたか。

圭太：JBCは勝っていないですよ。地方馬で勝ったのはフジノウェーブ(御神本訓史騎手騎乗)だけでしょう。フリオーソだって勝っていませんし、僕自身、東京大賞典ですら勝っていませんからね。

－：言われてみればそうですが、意外ですよね。しかし、地元大井なので、ジョッキーの強みを活かしてください。楽しみにしています。

圭太：ええ、ありがとうございます。

落ち着きが欲しいマッサビエル

－：先週の話題に移りまして、マッサビエル(牡3、美浦・小笠厩舎)の菊花賞(G1)から振り返っていただけますか。一瞬、直線を向いたところでは、上位もあるのかな、と思ったのですが、最後は力尽きた結果でした。着順自体は少し上がった程度ですが、前走と比較してのレース振りはいかがだったでしょうか？

圭太：気合い乗りも良く、1回使った上積みはあったかなという雰囲気はありましたね。

－：課題としていたゲートも今回は問題なくスムーズに見えました。

圭太：まあ、良いタイミングで出られたところはありました。

－：気配自体の変化はありましたか？

圭太：厩舎側も(ゲート)練習をしてくれて、そういう成果もあったのだと思います。前にも言ったように、変なテンションの高さがある感じなので……。上手く説明出来ないのですが、その辺が落ち着いてくれたら。レースにいってからは一生懸命走りますし、そんなに影響はありませんが、課題として挙げれば、それくらいかなと……。

－：菊花賞自体、特別な条件といいますか、長距離戦を乗る上の楽しさはありますか？

圭太：そうですね。長ければ、道中の動きがあるので、その面白味はありますね。人によるものですが、僕は長いほうが好きですよ。

戸崎圭太

一周目は後方からレースを進めたマッサビエル


－：富士S(G3)のシェルビー(牡6、栗東・笹田厩舎)はテン乗りでしたが、いかがでしたか？

圭太：レース前から「非常に乗りやすい馬だ」ということを厩務員さんに言われていたので、そのようなイメージで乗ったのですが、話通り返し馬からすごく乗りやすく、力は感じましたね。

－：惜しかったですが、まだまだやれそうな感じですね。

圭太：そうですね。乗りやすい分、競馬がしやすいんではないですかね。

－：ちなみに3週経過しましたが、東京の芝の状態というのは何か変化はありますか？

圭太：途中悪い時もありましたが、さほど傷みは少ないかなという気はしますね。別に、内がダメかというとそうでもないでしょう。

－：基本的に、多少レース展開次第でもあるでしょうが、ある程度(内外は)イーブンと考えて大丈夫ですね。

圭太：そうですね。そして、今週はコース替わりでもあるので、その違いもチェックしておきたいですね。

－：僕が気になったのは、新馬戦で2着だったフェイズベロシティ(牝2、美浦・萩原厩舎)です。

圭太：ええ、良いフットワークで軽い走りをしていますね。

－：伸びてくるまではササったり、そういうところもあったと思いますが、次に改善出来そうな範疇ではありますか？

圭太：まあ、改善しないといけないですね。最後は良い脚で上がりは来ているので、楽しみですね。

マイルCSはレッツゴードンキとの再タッグ！

－：そして、少し先の話題ですが、ルージュバック(牝3、美浦・大竹厩舎)がエリザベス女王杯(G1)での復帰を視野、ということですね。中間の話などは伺ったりしていますか？

圭太：詳しくは聞いていませんが、「大きくなって帰って来た」みたいには聞きました。だいぶレース間隔は開きましたが、その分、成長があるかどうか、楽しみにはしていますよ。

－：そして、マイルCS(G1)の予定も入ったそうですね。

圭太：ええ、レッツゴードンキ(牝3、栗東・梅田智厩舎)ですね。

－：おお～、それは意外なところですね。

圭太：ハイ、すごく楽しみですよ。

－：レース後に岩田さんと安藤勝己さんがしゃべっているのを聞いていたんですが「全然制御が利かなかった」と言っていました。

圭太：そうみたいですね。ボクも聞きました。どんなものかと楽しみですが、新馬は乗せてもらっていますからね。成長があるのか、楽しみですよね。

－：年末まで続くG1も着々と予定が入ってきて楽しみです。引き続きお話をお聞かせください。

圭太：ハイ、よろしくお願いします。

※次回は11月6日(金)に更新予定です。

戸崎圭太

デビュー戦以来のコンビとなるレッツゴードンキ