'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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1月27日時点1583勝
【祝】全日本2歳優駿を制覇!リーディングへラストスパート!
2015/12/19(土)
意外にも全日本2歳優駿を初勝利!
-:早速、海外初騎乗となった香港の話題から振り返りたいところですが、それは次回に温めて……昨日(12/16)の全日本2歳優駿(Jpn1)のサウンドスカイ(牡2、栗東・佐藤正厩舎)からお願いします。戦前は距離を懸念されていましたが、快勝でしたね。
圭太:ええ、(戦前は)距離もどうかと思っていましたが、終えてから、改めて力があると思いましたね。レースぶり自体はもともと上手な馬なので、心配はしていなかったのですが。
-:それに、初めのナイターでしたが、これまでとの違いは感じられましたか?
圭太:ナイターが原因で戸惑ったのかどうか分からないですが、スタートは上手く出てくれたものの、二の脚が全然つかなくて……。本当にスイッチが入っちゃうと一生懸命になってしまうので、そこが心配でしたね。しかし、なかなか勢いがつかないので、少し促したらやっぱりスイッチが入って、1コーナーでちょっと苦しかったですね。
-:それは、現場にいないと、レース映像を観ていても分からないところでしたね。
圭太:そう、映っていないところじゃないですか。それに距離なのか、コースなのか分からないですが、ちょっとフラつく部分もありますよね。
-:今回の枠順は良かったですか?
圭太:そうですね。あの馬は、外枠より内目の方が良いかなという感じの馬なので。
▲4連勝で2歳ダート王に輝いたサウンドスカイ
-:馬群の中にいて、こういう展開も良いのかなと思って観ていました。
圭太:まあ、力もありましたけどね。随分、先行馬が揃っていたので、競馬はやりやすいなと思っていたのです。
-:「来年はいったん芝に戻る」という話もあったと思いますが、今後の展望について、来年に向けての課題とか、こうなってきそうだと感じる部分はありますか?
圭太:まだ、スイッチが入るまでのオンとオフの差が激しいところがありますね。精神的な部分でまだ幼さがあるので、そういうところをクリアしていければ良いかなと思います。
-:しかし、終わってみても、距離はこれ以上延びると難しそうですか?
圭太:対応はするでしょうが、切れ味は鈍っていくのかなと。現状は1400がベストかなという気はしますね。
-:3歳になると、それ以上の条件も出てきますからね。そこはちょっと課題ですね。ご自身は全日本2歳優駿、初勝利です。
圭太:初ですね。これからも東京大賞典や南関東の大きいレースを勝てたらとは思っています。
戸崎騎手の「神様」ライアンは騎乗停止に!
-:そして、話題は今週のレースですが、クリスマスCのサザナミ(牝3、美浦・堀厩舎)はいかがですか?
圭太:競馬は本当に上手ですね。新馬も乗せていただいたのですが、新馬の時から素質は感じていて、良いモノを持っているなというイメージはありました。クラスも上がって順調に来ていると思いますし、競馬も上手で中山コースも問題ないというか、勝っていますからね。どんなレースができるか楽しみですね。
-:ひいらぎ賞のアーバンキッド(牡2、美浦・斎藤誠厩舎)はいかがですか?
圭太:これは、新馬戦から大人びた競馬をできましたね。2戦目なので何とも分からないですが、新馬勝ちのレースぶりはここでも、という思いですね。
-:続いて、先週のJRAの話題も。ラピスラズリSのネロ(牡4、栗東・森厩舎)を振り返っていただけますか?
圭太:僕は久々に乗せていただいたのですが、前走も強い勝ち方をしてくれていましたね。新馬の時から素質は感じていたのですが、それにしても、随分ビックリするくらいの勝ち方で、ああいう勝ち方が出来たので、今回も無事に走ってくれれば結果は付いてくるかなというレースでした。
-:京都の時は、この馬にとって馬場が渋ったのも良かったですか?
圭太:良かったですね。ただ、ピッチ走法というほど小刻みな走りのタイプではありませんし、あんまり馬場が緩いとどうなのかな、という感じは受けますね。その京都もそこまで馬場が悪いわけではなかったですからね。
-:ちなみに、新潟の1000mは良さそうですか?
圭太:良いんじゃないですかね~。
▲戸崎騎手とは3戦3勝と手の合うネロ
-:それ以前のレースも振り返っていただきたいのですが、ステイヤーズS(G2)のファタモルガーナ(セ7、栗東・荒川厩舎)はいかがでしたか?
圭太:まあ、休み明けの部分が少しありましたね。勝負所で鈍い部分も受けました……。いつもよりも休みが長いじゃないですか。
-:しかし、入れ替わりの激しいレースでしたね。それにしても、勝ち馬(アルバート)があんなに強いのにビックリしました。
圭太:強かったですね。僕も前、お話したように馬は良くなっているのですよ。あとは、ライアンの騎乗は素晴らしいですよね。ロスなくあの競馬をすると、ああいう走りをできるかなと。
-:周りの出入りが激しい中で、あれだけジッとしていられたというのが、あの着差に繋がっている訳ですか?
圭太:そうですね。
「(ライアン・ムーア騎手は)ただ、もう僕にとって神ですね。それに近付けるように……」
-:あの人は、レース中、常に冷静なのですか?
圭太:冷静ですね。自分と比べても雲泥の差ですね。
-:そんなことはないんじゃないですか?
圭太:いや、ありますよ。僕はライアンが大好きですからね。
-:マイルCS後、引き上げで握手をしにいく笑顔の姿が競馬場で映っていました(笑)。まるでファンのようでした。
圭太:フフフ。
-:でも、(騎乗停止のため)当分は逢わないですね。
圭太:本当ですよ~。残念です。ハッピーバレーの方はまあ……しょうがないのかな。でも、香港は本当に制裁に厳しいので。それにしても、ハッピーバレーの騎乗は珍しいなと。
-:香港マイルのモーリスでも制裁を受けられましたね。
戸崎騎手マネージャー:外からエイブルフレンドを被せて、モレイラとその後ろの蛯名さんも煽りを受けていましたからね。
-:じゃあ、エイブルフレンドマークで行っていたと。
圭太:元々、ラフなヤツではないですよ。本当に紳士的なので。ちょっと怒りっぽいところもありますが、ハッピーバレーの方は何かあったのかな?というレース振りでしたけどね。日曜日のシャティンの方は、マークしていた馬でしょうからね。ある程度は、とは思いますけど。ただ、もう僕にとって神ですね。それに近付けるように。
▲京成杯でも引き続きコンビを組むことになるメートルダール
-:ハハハ。神に近づくとしたら、どんな形容をしたら良いのか……。葉牡丹賞のメートルダール(牡2、美浦・戸田厩舎)はなかなか強い内容だったと思います。
圭太:そうですね。後ろの位置取りから伸びてきたのは1頭だけでしたからね。まだまだ、体も精神的にも幼い部分があるのですが、なかなか良いモノを持っているので、楽しみですね。
-:次はどんなメンバー構成、結果になるかはわかりませんが、もうちょっと長い目で診ていった方が良いでしょうか。
圭太:そうですね。ユックリな成長の仕方をするタイプの馬かという感じがするのでね。(騎乗予定の)京成杯も楽しみですが。
-:それにしても、今年の騎乗も残り2週ですね。リーディングも懸かっていると思うので、ラストスパートということですね。
圭太:まあ、気を抜かず一戦一戦大事にという感じですね。
-:ケガとかにも気を付けて下さい。
圭太:はい。
-:次回は香港の話題もじっくり振り返ってもらいますが、ありがとうございました。
圭太:ありがとうございました。
※次回は12月20日(日)に更新予定です。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。