'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
11月4日時点1555勝
得意の中山は砂の素質馬たちと再タッグ+中山記念は有力馬のスキを狙う!
2016/2/26(金)
実力馬復権となるか?ゴールデンバローズとの再コンビ!
-:まず、今回はフェブラリーS(G1)の回顧から伺いたいと思います。ベストウォーリア(牡6、栗東・石坂厩舎)とは昨年の同レース以来とのコンビでしたね。4着という結果でしたが、レースを振り返ってもらえますか?
圭太:馬の状態も良く、レースもスムーズに運べたと思います。しかし、結果的には時計が速いのは堪えたのかもしれませんね。
-:確かに同厩のモーニンと比較すると、軽い馬場はベストウォーリアのほうは分が悪いのでは、と感じていました。その懸念通りになってしまい残念でした。
圭太:そうですね。結果が出なかったことは申し訳ないのですが、衰えも感じるところはありませんでしたよ。
-:次走はかしわ記念(Jpn1)とのこと。モーニンも同じレースを目標にしているようですが、条件的にはベストウォーリアの方が向きそうですね。今週の話題に移ると、同じくダート路線の期待馬、ゴールデンバローズ(牡4、美浦・堀厩舎)と土曜の総武ステークスに臨みます。初の右回りや距離が気になるところではありますね。
圭太:ええ。まず、課題はそこが上がってきますよね。
-:ただし、距離については、昨年のUAEダービー(1900m)で掛かりながらも3着でした。それを考えればこなせますよね。
圭太:そうですね。若さや頼りないところがあって、順調に力を出し切れていない面もありましたが、ドバイでも勝ち馬も強かったのですが、この馬も負けて強しの内容だったように、能力は高いですからね。
-:去年のユニコーンS以来のコンビとはなりますが、当時から3連敗とらしくない競馬が続いています。
圭太:あの時は砂をかぶったり、帰国初戦の影響もあったのか。チグハグなレースになってしまいましたが、改めて能力はある馬ですからね。良いところを引き出したいです。
-:順調だったら、今年のフェブラリーSに出ていたかもしれない存在ですから、楽しみな一戦ですね。日曜はテン乗りですが、中山記念(G2)でフルーキー(牡6、栗東・角居厩舎)とのコンビになります。
圭太:コース形態を考えても内枠が欲しいところですね。金杯でも3着ながら良い走りはしていましたから楽しみですよ。
-:しかし、ドゥラメンテを筆頭に少数精鋭のメンバー構成です。
圭太:ただ、どの馬もここがメイチではありませんからね。その点、使ってきた強みを活かして、一矢報いたいですね。
▲新馬戦からの連勝を期すマイティーゴールド
-:その他のレースで注目処として、土曜最終(4歳上1000万下)のタッチシタイ(牡6、栗東・音無厩舎)、日曜4R(3歳500万下)のマイティーゴールド(牡3、美浦・尾関厩舎)らはいかがでしょうか。
圭太:タッチシタイは正直、この距離は忙しいのかな。序盤で良い位置につけられれば2走前のような競馬にはなると思いますが、常に忙しい雰囲気なので、力のいる馬場になった方がイイでしょうね。かといって、距離を延ばしたら、良いわけでもないと思うので、この条件で時計がかかってくれるとベストだと思います。マイティゴールドは追い切りにも乗せてもらいましたが、順調に来ていると感じています。前走時より少し気持ちも入ってきたとは思いますが、折り合いに苦労するようなものではなく、良い気合い乗りが見られました。前走で負かした相手も次戦で勝ち上がっているように、ここでも有望なはずです。
-:そして、気になる話題といえば、皐月賞(G1)&日本ダービー(G1)はハートレー(牡3、美浦・手塚厩舎)とのコンビを組むことになりましたね。
圭太:僕も乗っていませんし、旗から見ても前走の敗戦は原因がわかりませんが、デビュー、ホープフルSのパフォーマンスは素晴らしいですからね。楽しみです!
-:他にも毎日杯(G3)のスマートオーディン(牡3、栗東・松田国厩舎)、阪神牝馬S(G2)のストレイトガール(牝7、栗東・藤原英厩舎)、高松宮記念(G1)のウリウリ(牝6、栗東・藤原英厩舎)と有力馬の騎乗が相次ぎますね。当コラムとしては話題に富んでありがたいです(笑)。来週はチューリップ賞(G3)で関西に遠征されますね。
圭太:そうですね。ラベンダーヴァレイ(牝3、栗東・藤原英厩舎)に乗ります。身が引き締まる馬ばかりですから、引き続き頑張ります。
JRA騎手として3年 その変化とは
-:先週のレース回顧もお願いしたいのですが、まず、京都牝馬S(G3)のディープジュエリー(牝4、美浦・国枝厩舎)は直線で伸びがなく、11着に終わってしまいました。
圭太:返し馬では良い雰囲気を感じていたのですが、あの日の馬場は悪かったですねえ。結果的には馬場も堪えたのか、最後は脚がなかったです。
-:今年から1400mになったレースですが、決め手が活きるかもというお話でしたが、むしろ見せ場なく終わってしまいました。
圭太:う~ん、距離にも戸惑ったのかもしれません。
-:同じく京都からウィッシュハピネス(牝4、栗東・沖厩舎)は見せ場ある4着でした。休み明けながら頑張りましたね。
圭太:良い雰囲気で運べたのですが、理想を言えば、もう少し楽に逃げられればというところ。その分、もうひと押しに欠けましたね。
-:過去には交流重賞を勝っているとはいえ、古馬になっても十分に太刀打ちできることにも驚きました。
圭太:そうですか?良いスピードがある馬なんですよね。だから、軽い馬場で先行力を活かせれば、まだまだやれると思いますよ。
▲人馬のコンビで初勝利となったマッチレスヒーロー
-:マッチレスヒーロー(牡5、美浦・金成厩舎)は惜敗続きにピリオドを打ちましたね。
圭太:前走は仕上がりももう一つだったようなのですが、今回は今までで一番の状態というほど、ガラっと変わってくれましたね。レースも上手く運べました。
-:インからスムーズに外に出しての押し切りでした。ゴール直後は馬をなでるようなシーンもあったのですが、入線直後にやるのも珍しいかと思います。期する思いもあったのですか?
圭太:いや、よくやりますよ。そんなイメージでしたか?
-:そうですか?重賞でもなかったので、よほど嬉しい一勝だったのかと思いました。偶然ということですね(笑)。そして、2月も終わりを迎えますが、ジョッキーもJRAに移籍して、丸3年が経過することになりますね。
圭太:そうですね。当時は「いよいよだな」という思いでドキドキ、ワクワクしていたことを思い出します。
-:地方競馬時代にも輝かしい実績は残されていましたが、ここまでの大活躍とは、正直、驚かされるばかりです。ご自身としては改めていかがですか?
圭太:もちろん僕もここまでやれるとは思っていませんでした。ただ、単に中央へ行っただけではなく、大井の看板、地方競馬を背負っていくわけですからね。しっかりとした結果を残さないといけないとは今でも思い出します。
-:確かに戸崎騎手のみならず、アンカツさんや内田博幸騎手ら地方競馬出身の人が活躍することによって、地方競馬のジョッキーにも脚光が浴びたり、地方はハイレベルな環境だとは誰しもが思いますよね。ちなみに、ここまで3年やってこられて、大きく変わったものとはどんなところだと思いますか?
圭太:考え方や乗り方ですね。特に考え方、レースの組み立てなどは地方にいただけではわからなかったことなので、そこは成長出来たと感じています。
-:具体的なお話は改めて伺いたいと思いますが、確かに移籍当時とは位置取りにせよ、違いますよね。
圭太:ええ、違うと思います。
-:その成果を今週の競馬でもお見せいただけたらと思います。今週も健闘を祈ります。
圭太:ありがとうございます。
※次回は3月4日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。