'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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勝利数
11月18日時点1558勝
ルージュバック&ファントムライト 馴染みのコンビで土日重賞へ!
2016/3/11(金)
土日重賞 久々の勝利の美酒を
-:今週は中京、中山と転戦。土日にわたって重賞に騎乗されますので、その話題から伺いたいと思います。まず、有馬記念でもファン投票で上位に支持されたように、ファンが多いルージュバック(牝4、美浦・大竹厩舎)ですが、中山牝馬S(G3)で今年初戦を迎えますね。有馬記念は斤量も軽く、一発あるかと期待していたのですが……。とにかく勝ち星が待ち遠しいですね。
圭太:有馬記念は返し馬から良い感触を掴んでいましたし、エリザベス女王杯から久々を使った上積みも感じていました。しかし、いざ追い出してみると、伸びる気配もなくて……。なかなか敗因がつかめないですね。外を回らされたことがあるとはいえ、不可解な敗戦でした。
-:コースなのか、能力差なのか、というところですが、今回は牝馬同士。距離も短くなります。
圭太:あれだけのフットワークをしているので、中山の千八という、小回りでコーナー4つの競馬が向いているとは正直、言い難いです。しかし、早くからこれだけの能力をみせてくれていた馬。きさらぎ賞以来、勝ち星から遠ざかっていることも申し訳ないですし、何とか結果を残したい思いです。
-:ルージュバックとの快勝を願っている人も多いと思います。土曜日は中日新聞杯(G3)でファントムライト(牡7、栗東・藤原英厩舎)とのコンビになります。前走はケツァルテナンゴに惜敗し、2着でした。
圭太:道中は良いリズムだったのですが、直線で少し待たされるシーンがありましたからね。それでも、ここ最近の成績を見ての通り、大崩れはしないタイプですよ。
-:戸崎騎手とのコンビで1勝2着2回3着3回と馬券圏内を外していません。なおかつ力のいる中京の芝も合うと思います。
圭太:ええ。中京は下が緩いですからね。パンパンの時計勝負より、こういう馬場は歓迎のタイプです。
-:ハンデも55キロに収まりましたね。7歳ながら崩れていません。
圭太:福島記念の時も55ですし、ケツァルテナンゴと斤量差が逆転していますからね。勝ち味に遅い面は否めませんが、コースや条件は合っていますから、そこを活かしたいです。
-:特別戦から気になるところでは、土曜の納屋橋Sはノボバカラ(牡4、美浦・天間厩舎)に騎乗。2走前に手綱をとられ、連闘で小倉にも遠征をしましたね。
圭太:ここのところ気難しさを出していますからね。そこをどう上手く乗れるか。僕が前回乗った時は、気の悪さをみせて、最後はモタれて追えなかったほどでしたから。
-:そういう意味では、連闘で小倉に向かったのは正直、マイナスかもしれないと見ていました。
圭太:ただ、マジメに走りきらない分、ダメージそのものは軽いんでしょうね。そこはこの馬の良さでもあり、改善点でもあるといいますか(苦笑)。
-:そして、中京といえば前が残る馬場。そして、今の気性を考慮すると、距離が短くなることもプラスでしょうか。
圭太:テンはそれほどダッシュが速くないんですよね。不器用なところがあるので、そこでモマれなければ……。距離そのものは対応できるので、何とか前進をみせたいです。
-:当欄でも紹介してきた存在ですが、ここまで手綱をとってきたマッチレスヒーローを相手に回すことになります。
圭太:そうなんですよ~。これが手強い相手で、どちらにも乗りたかったです。
-:日曜の房総特別は久々にフルールシチー(牝5、栗東・西園厩舎)に騎乗にしますが、ここ最近も現級で安定していますね。
圭太:以前は前に行かないと競馬にならないところがあったのですが、僕が乗って4着だった時から、差す形も板についてきたようですね。どんな競馬もできるタイプで、2走前にはシルヴァーコードに先着を許していますが、こちらも大崩れは考えづらいですよ。
-:平場のレースから、日曜中山6Rのキャニオンロード(牡3、美浦・古賀慎厩舎)はいかがでしょうか。
圭太:ハミの取り方にキツいところがあるのですが、能力はあると思います。上手く乗りこなせれば前走以上の結果があってもと期待しています。マイルもデビュー戦以来ですが、問題ないでしょうからね。
桜花賞へ権利を手にしたラベンダーヴァレイ
-:先週は良い競馬をしても、前に馬がいることが多かった印象でした。まず、チューリップ賞(G3)のラベンダーヴァレイ(牝3、栗東・藤原英厩舎)は人気薄の立場を考慮すれば、見せ場十分のレースでしたね。
圭太:体重も戻っていたことは良かったと思いますし、追い切りでもトビの軽さを感じていましたからね。状態面の良さが繋がったレースだったと思います。それでも、先着した馬がいたのは悔しいところですが、権利をとれたことは良かったです。
-:「権利」ということは、桜花賞でも引き続き騎乗されるわけですね。
圭太:乗せていただきます。
-:同じく阪神からルミナスウォリアー(牡5、美浦・和田郎厩舎)は距離を短くして、変わり身をみせられましたね。
圭太:その通り良い決め手をみせてくれました。距離を短くしても良いという話は、以前に乗っていた柴山さんも言っていたのですが、期待通りでしたね。
-:ここ最近は重賞以外の話題も伺っていますが、何度か話題に出た馬が勝利に至るまでの流れを追えるところは嬉しい限りですね。弥生賞(G2)のイマジンザット(牡3、美浦・斎藤誠厩舎)は2走前に勝ち星を挙げた馬。リオンディーズ、マカヒキ、エアスピネルと戦前から相手が強いと見られていた中での一戦でした。
圭太:もともと非力な部分があったのですが、返し馬ではそんなところも徐々に良くなってきたと感じていました。レースそのものは流れに乗れましたし、内容としては良い競馬をできたと思うのですが、前の3頭とやりあうにはもう少し力をつけてほしいですね。
-:弥生賞のレース後もジョッキーは口々に上位馬が強いという声が聞こえてきました。
圭太:まあ、わかっていたことですけどね。今年は特にレベルが高いと思います。
-:それにしても、強かったですよね。サブライムカイザー(牡4、美浦・池上昌厩舎)は惜しい結果。しかし、クラスにメドも立ちました。
圭太:敗れはしましたが、自らの形に持ち込んで接戦を演じてくれましたからね。不器用な面があると、前回ここで話題にしたとは思いますが、そういう面を考慮しても、力を出し切れる競馬が出来てきていると思います。
-:クラスだけではなく、乗り方にもメドが立ってきたわけですね。さて、3週連続重賞でミルコ・デムーロ騎手とクリストフ・ルメール騎手のワンツーフィニッシュ、デムーロ騎手が5日間連続重賞制覇など外国人騎手の活躍が目立ちます。日本人騎手の威信に関わる結果ですが、やはり日本人トップの勝ち鞍を挙げている戸崎騎手に期待したいですね。
圭太:確かにやられっぱなしでは……と僕も思っています。僕だけのことではないとはいえ、悔しさは皆抱いているはずですからね。それは重賞だけに限らないことですが、どんなレースでも最善を尽くして頑張ります!
-:期待しています。次週は交流重賞での騎乗もありますが、引き続きよろしくお願いします。
圭太:ありがとうございます。
※次回は3月18日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。