'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
11月18日時点1558勝
戸崎騎手もホレ込むスマートオーディンといざ、ダービーへ!
2016/5/25(水)
「確認」が出来た前走の京都新聞杯
-:さあ日本ダービー(G1)にはスマートオーディン(牡3、栗東・松田国厩舎)と挑むことになりますが、レースを今週末に控え、いまの率直な心境としてはどう感じていますか?
戸崎圭太騎手:(キッパリと)楽しみですね。
-:ズバリ、チャンスはあるということですか?
圭太:う~ん、まあ、どの馬にもチャンスはあると思うんですけどね。ただ、良い形で2戦乗ってきて、僕も手応えというか、馬の感じも分かって乗れますから。そもそも今年は好メンバーですし、レベルも高く、随分盛り上がると思うのですが、その中で、良いイメージで臨めるというのもすごく幸せかなという感じですね。
-:毎日杯、京都新聞杯と乗られて来ましたが、前走まではワンターンの競馬であったり、限定された距離で使われてきました。前走(京都新聞杯)はいくらか条件が変わって、確認することも多かったと思うのですが、前走で得られた収穫というか、そこら辺を教えていただけますか?
圭太:4つのコーナーと距離が延びること、折り合い、色々な課題はあったと思うのですが、難なくクリアできたかと。それも不安要素から取り除かれて、「いざ、ダービーだな」という思いですね。
-:正直に言えば、前走はここまで戦ってきた相手と比較しても、多少メンバーレベルは落ちる印象でした。その中でも、折り合いを克服して、さすがに力が違う印象を受けました。戸崎ジョッキーとしては珍しく大外を回ったあたり、だいぶロスのある競馬でしたが、それだけ力が違ったと。地力の違いは再確認できたということですか?
圭太:まあ、力関係はやってみないと分からないですけどね。ただ、皐月賞組は本当に強いですよ。
-:そこは未知数ですし、本当にやってみないと分からないところです。それに、他馬の消耗度の兼ね合いもあるかもしれないですが、毎日杯と比較して前回の状態はいかがでしたか?
圭太:ええ、状態は良い感じで来ていると思いますね。そこは自信を持って挑めそうです。
スマートオーディンは好きなタイプ この縁を形に
-:今回に関しては、多くのファンが馬券を買うレースだけに、初めてスマートオーディンのことを知る人もいると思うのですが、そのセールスポイントを教えていただけますか?
圭太:何せ、走ることに関しては真面目ですよね。だからこそ、折り合いが重視されるというか。でも、そこらを踏まえながら乗ってきて、良い形で来ているので、良い脚を気持ち良く発揮できたら。そう思っています。
-:そして、脚質的にはどうでしょうか?
圭太:末脚、瞬発力はいいモノを持っていますよね!
-:逆に折り合い面というのは、2戦乗ってきて、前回は距離が延びてもこなしてきましたし、ある程度目途が付いてきているかなという気はするのですが、この2戦で変化はありますか?
圭太:いえ、正直言えばないですね。ただ、慣れは見込めるはずですよ。
-:慣れがあるのかなと信じたいです。当日はどういう馬場が理想でしょうか?
圭太:まあ、良い馬場でやりたいですかね。金曜日が雨とは聞きますが。あとは、枠にも良くも悪くも理想はないです。
-:あとは(展開が)嵌まるかどうか……。
圭太:はい。僕は、基本的に好きな馬なんですよ。すごく好きなタイプというか、だから余計に楽しみというかね。もともとは毎日杯のみ、基本的にワンポイントの騎乗依頼だったのが、縁があって重賞を連勝させてもらって、こうして挑めるのがね。結果に繋がってくれればなお良いですね。
-:ジョッキーとしても、こういうタイプは合うはずですよね。
圭太:ええ、ズブい馬と引っ掛かる馬、どっちが好きと言われたら、引っ掛かる方が好きですね。なだめて、なだめて、という感じですか。
-:尚且つスローになれば理想でしょうか?
圭太:どちらかと言ったら、流れない方が良いですね。
-:究極の瞬発力勝負のようなレースになれば……。そして、今年は春のG1は1勝されました。運は向いてきそうですか?
圭太:あとは、これからの行い次第じゃないですか(ニヤリ)。願掛けなんかは特にしませんし、いつも通りの生活を心がけるだけですが、こういう時って普段の行いが出ると信じてますから(笑)。
-:現時点で水曜日の最終追い切りは騎乗されるか、されないかわからないようですが、ダービーに向けての意気込みを聞かせて下さい。
圭太:クラシックでは、オークスでチャンスのある馬に乗せていただいて、結果2着と負けてしまいました。クラシックをまだ獲れていないですし、日本ダービーということで、クラシックの中で一番獲りたいレースでもあります。良いムードでこの馬と巡り合えて臨めるという感じなので、いつも通り楽しんで来たいなと思いますね。それで、良い結果が出たら最高です。
-:クラシック未勝利は意外でしたが、JRA移籍後の牡馬でのG1勝ちも待たれますね。
圭太:ああ、そうですね。
-:ただ、以前の感じだと「ダービーにそんなに思い入れはない」みたいな話をされていましたね。
圭太:そうですね。正直、格別な思い入れはないですけどね。なぜなら、どんなレースだって勝ちたいですから(笑)。でも、有馬記念を勝たせていただいてから、やっぱり日本ダービーは違うなと感じていますし、勝ちたいなと。
-:有馬記念を勝った後の周囲の反応というのは全然違うものですか?
圭太:違いますね。もし、ダービーを勝てたら、どんな景色になるのかわかりませんが、是非勝ってみたいですね。頑張ります!
悔いが残ったオークス2着 テン乗りが裏目に
-:昨日のオークス(G1)も振り返っていただきたのですが、チェッキーノ(牝3、美浦・藤沢和厩舎)はテン乗りだったので、未知数な部分があったと思いますが、いかがでしたか?
圭太:1日経って、もう少し前で競馬ができたら良かったなという感じですかね。
-:レースが終わってからも、そのような形のコメントをされていたので、やっぱりそういう思いはあったのかと。終わってからもそうですし、冷静に見直してもそうだという感じですか?
圭太:はい。もう少し前なら、もっとスムーズだったかなという感じなので。
-:昨日、観ている段階では、ああいう結果であの着差ですし、しょうがないのかなと思いながら僕は観ていたのですが、やっぱり外の馬(ビッシュ)が先に前に行っているのを見ると、結果的に考えるとそこは、ポジションというのは言い訳にはならなかったのかなという感じがするのですが、馬の状態とか、そこら辺はいかがでしたか?
圭太:ええ。まあ、良かったんじゃないですかね。すごく落ち着いていましたしね。
-:追い切りの反応も懸念されていましたが、レースに行ったら、またそこは違った感じですか?
圭太:いくらか、まだスイッチの入りが遅いというか、その辺は鈍さもあるのですが、その辺は今後良くなってくる感じでしょうかね。
-:さっき言っていたポジションというのは、それを分かった上でもう1回レースに乗るとしたら、ある程度もうちょっと前の位置というのは取れるような感じですか?
圭太:そうですね……。取れるかなと思いますけどね。ただ、「スイッチが入った時にけっこうな感じで行く」というイメージというか、そういう話もあったんで、少し思い切り乗れない部分もあったのかなという感じはありますかね。そこを怖がって乗っていたというのもありますね。
-:もともと血統的にもあまり2400を走るイメージもないですし、お兄さんも結構難しそうなタイプでしたし、前に乗っていた柴山さんも「もっとスイッチが入ったら、距離が心配かも……」みたいな話をされていたので。
圭太:そういうのが、俺の中に染み込み過ぎていた感じですかね。
-:ある程度先入感があって、少し怖さというか、不安を感じつつ乗ってしまったという感じですか?
圭太:そだから、1回乗って、スタートと二の脚とどれだけの感じで行くというのが分かっていれば、また違ったかなという感じはありますね。1回乗って、大体感覚的に掴めたので、その辺は悔いが残るというか、情けない部分でもあるんですけど……。
-:そういうレースでの思いっきりというのは、やっぱりご自身の中で、今後も課題になってきそうですか?
圭太:ああ~、そうですね。
-:でも、そこまで正直に言っていただけるとは。一瞬の判断の中で、迷うか迷わないかというのを、どっちか決めないといけないですね。
圭太:ただ、感覚というのは、1回乗るか乗らないかで全然変わってくるのがあるので。
-:結構テン乗りで実績を挙げられていて、重賞を勝つ時とかもテン乗りで勝つことも多いですけど、今回に関しては、ある程度乗った方が良かったかもしれないということですね。
圭太:そうですね。また追い切りとは違うんです。位置取りは、スタートからの二の脚とダッシュと、どういう感覚で抜けるかもあるので、そこは追い切りとはまた別なのでね。
-:その借りを返せるダービーになるといいですね。オークス、ダービーと語っていただきましたが、週末にまたダービーについて伺いたいと思います!
圭太:ハイ、よろしくお願いします!
※今週は「ダービーSP増刊号」として5月27日(金)にも更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。