'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
勝利数
12月16日時点1567勝
課題と決意の夏競馬スタート!ラジオNIKKEI賞は期待馬ゼーヴィントと臨む!
2016/7/1(金)
思惑通りの競馬も……宝塚記念は完敗5着
-:まず、先週は日曜が阪神へ遠征。ステファノス(牡5、栗東・藤原英厩舎)に騎乗された宝塚記念(G1)は見せ場タップリの5着でした。振り返っていただけますか?
圭太:4コーナーまではずいぶん良い雰囲気で運べましたね。オオッ!と思うところがあったのですが、思っていた以上に周りもオオッ!という手応えだったのでしょうね。結果的にはラスト200mのところでパタっと止まってしまいました。
-:距離には一抹の不安も抱いてはいたのですが、天皇賞(秋)でも善戦していたので、大丈夫だろうと思っていました。しかし、あのレースぶりを見ると、距離もあったのかなと思わざるをえないレースでしたね。
圭太:まあ、馬場状態も違えば、そうならなかったのかもしれませんが、幾らか長いのかな、という印象は受けました。こなせるんじゃないかと思っていたのですが。
-:古い話にはなりますが、マイルでも勝ち鞍があるくらいですものね。
圭太:ええ。ただ、トビのゆったりしたタイプ。単純に距離を短くすればいい訳でもなく、ある程度、走る条件は絞られそうですね。しかし、勝ち馬のマリアライト(牝5、美浦・久保田厩舎)はもともとああいう馬場も合うんじゃないかと思っていましたが、それにしても強かったです。
-:ステファノスやラブリーデイ(牡6、栗東・池江寿厩舎)が良い手応えで進出する中、追っつけ気味に大外を回って、押し切られましたもんね。
圭太:いや~そうですね。結果的にみれば、ステファノスもそこまで渋った馬場も良いとはいえないのかもしれません。適性の差は出ましたよね。しかし、ドゥラメンテ(牡4、美浦・堀厩舎)もあんなアクシデントにあってしまうとは、ライバルとして乗る立場でしたが、残念でした。
今年こそ納得のいく福島開催に!
-:そして、今週から夏競馬もいよいよ本番といったところ。福島、新潟と挑むにあたって、意識されるところはありますか?
圭太:まず、夏はやはり暑さとの戦いですよね。どうしても、暑さで集中力を欠いてしまう面があるので、そこは気をつけたいと思っています。
-:と言っても、競馬場の検量室はずいぶん冷えているイメージです。職員の方は背広を常に着ているような。レースの合間でリフレッシュとはならないものですか?
圭太:いや~身体に熱がこもりますからね。そこは焼け石に水ですよ。ある意味、熱中症のような。もう中央で夏競馬をむかえるのは4年目ですから、課題を克服したいです。
-:今週はまだ暑さも一息かとおもいきや、けっこう気温が上がりそうですね(苦笑)。ラジオNIKKEI賞(G3)にはゼーヴィント(牡3、美浦・木村厩舎)と挑まれますね。
圭太:ええ、2走前に乗せてもらった際、能力の高さを感じましたね。良いイメージを持っています。前走こそ勝ち切れませんでしたが、先々は楽しみな存在だと思いますよ。
-:2連勝で臨んだプリンシパルSは3着。敗れはしましたが、能力はみせていましたね。
圭太:子供っぽさも残っていて、ゲートが不安定ですからね。そこは今回も気をつけたいところですが、前回の敗因もゲートじゃないかと思います。
-:ちなみに、土曜は曇のち雨、日曜も曇り時々雨なんて予報です。血統的には母父ブライアンズタイムが入っていて、道悪もこなせるのかな、と思いましたが。余談ですが、振り返れば、皐月賞の週に中山芝2000m戦を勝ちましたが、父ディープインパクト×母父ブライアンズタイムと同じ血統のディーマジェスティ(牡3、美浦・二ノ宮厩舎)が皐月賞を勝ったんですね。
圭太:えっ本当ですか?天気はまだ気にしていなかったですが、決してそこまで降ってほしくはないタイプですね。ちょっとならこなせるでしょうが……。例えるならば、ディーマジェスティよりステファノスに似たようなタイプといいますか。
-:あくまで予報なので、変わる可能性は大いにありそうですね。同じく日曜福島から、6R(芝1200m)のバリンジャー(牡2、美浦・奥村武厩舎)とさくらんぼ特別のエリーティアラ(牝4、美浦・武市厩舎)はどうでしょうか?
圭太:バリンジャーは追い切りに一度乗せてもらいましたが、若い馬としてはクセもなく、安定して走れそうなタイプですね。エリーティアラは去年、福島で勝たせてもらいましたよね。これもスタートがカギになりそうです。小回りだから、というところもあるのでしょうが、特にこの馬は先行出来ないと走れないイメージですね。
-:土曜の雄国沼特別のナイアガラモンロー(牝4、美浦・堀井厩舎)は相性がいいですね。
圭太:良い時に乗せてもらっているだけですよ(キッパリ)。馬自体は福島も合いますよね。それに東京でも勝っているように力はありますから、これは楽しみなんじゃないですか。
-:猪苗代特別のタマノブリュネット(牝4、美浦・高柳厩舎)は重賞でも3着の実績はありますが、前走はふるいませんでした。
圭太:この中間、追い切りに乗せてもらいましたが、少しズブさが出てきていますね。降級ですし、実績からも力は上位でしょうが、気をつけて乗りたいところです。
-:最後に、テレビユー福島賞のドラゴンストリート(牡5、栗東・藤原英厩舎)はずいぶん前にレースで乗られましたね。
圭太:そうですね。それに、この前、追い切りに乗せてもらったのですが、初めての距離を克服してくれるかどうか、ですね。
-:福島といえば、ここまでの通算成績を調べたのですが(281戦29勝)、どんなイメージですか?
圭太:とにかく成績自体もいま一つですが、攻略しきれていないと言いますか、結果以上に内容がともなっていないですよね。いい馬に乗せてもらっているので、数字は残るのでしょうが、納得いかないところです。
-:例年、苦戦している開催でもありますよね。ただ、今年の勢いならば、と思うところもあります。
圭太:まあ、そうですね。何とか今年こそは納得のいく騎乗をしたいと思っています。
-:ちなみに、北海道なら魚介類、中京ならば鰻など、ご当地を楽しまれる季節でもあると思います。福島は何かありますか?
圭太:他のところよりはそんなにないのですが、強いて挙げるならば、焼き鳥がおいしい店がありましたね。コースもそうですが、食事も攻略したいところです(笑)。ただ、基本は冒険するよりは同じところに行くタイプです。
-:言われてみれば、人柄が出ていますね(笑)。最後に、先週のその他の話題についてもよろしくお願いします!ギモーヴ(牝3、栗東・池添学厩舎)は新馬戦以来のコンビでしたが、快勝でしたね。
圭太:前残りの傾向もあったので、行ってしまえ、といったところはありましたが、幅も出ていて成長を感じましたね。あんな馬場も上手くこなしてくれましたよ。
-:やはり宝塚記念当日の馬場は悪かったですか?
圭太:最終的には良になったのかな?稍重ですか?といっても、いや~緩いですね。
-:スノーモンキー(牡6、美浦・相沢厩舎)はおっしゃられていた通りの競馬はされていましたね。
圭太:外をスムーズに走るより、モマれたほうがいいタイプですからね。最後も脚を使ってくれていましたよ。
-:先週土曜のワンブレスアウェイ(牝3、美浦・古賀慎厩舎)、ハウメア(牝2、美浦・藤沢和厩舎)はどうでしたか?
圭太:ワンブレスアウェイは集中していて、いい雰囲気を感じていたのですが、成績通りもうワンパンチ足りないんですかねえ。ハウメアは返し馬では素晴らしい雰囲気を感じましたよ。ただ、テンションが高かったり、息も少し重たかったのかなと思います。
-:期待馬として注目を集めていましたが、ひと叩きして変わってほしいですね。
圭太:変わってくれると思います。今回は走り切れていない印象ですし、使って良くなるタイプじゃないかと思うので。
-:次週は七夕賞(G3)で アルバートドック(牡4、栗東・須貝尚厩舎)に騎乗とのこと。体調には気をつけつつ、引き続きよろしくお願いします!
圭太:ありがとうございます。
※次回は7月8日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。