'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
さあサマーシリーズ制覇へ&新潟開催リーディング奪取だ!
2016/9/2(金)
WASJシリーズでは芳しい結果を残すことが出来なかったが、キーンランドCをブランボヌールで制覇と一矢報いてみせた戸崎騎手。週中はストレイトガールの引退も正式発表されるなど、周囲が落ち着くことはないが、夏の新潟は最後の騎乗。気持よく節目を飾れるのか、意気込みを伺った。
モレイラ大活躍に刺激を受けたWASJ
-:先週は月曜にノーザンホースパークのイベント出演、水木は川崎、浦和での騎乗。そして、週末が札幌と大忙しの一週間だったかと思います。WASJは残念な結果ではありましたが、キーンランドC(G3)をブランボヌール(牝3、栗東・中竹厩舎)で快勝。おめでとうございました!レース写真でも見ての通り、表情が普段よりも出ていましたね。
圭太:そうですね。そこまでも土日で一勝も出来ていなくて……。勝つと勝たないとでは大違い。とにかく嬉しかったですよ。枠は大外でしたが、レースぶりを見ていると、やはり洋芝の千ニが合っているイメージ。そこは期待をして臨みました。
-:ただ、久々のスプリント戦、大幅なプラス体重増とありましたし、枠の不安も感じていました。
圭太:体重は気にならなかったですね。とにかくチャンスはあると思って臨んでいたので、一矢報いれば、と思っていたのですが、上手くハマってくれました。もちろん斤量差も大きかったですね。
-:それでも、2番人気の支持ではありましたが、人気ほどの楽なレースではなかったと思います。お見事でした!
圭太:ええ、良かったです。そこまで勝てていなかったのもありましたが、モレイラの活躍を見ていると、改めて刺激になりましたし、もし、また乗る機会があれば、少しでも追いついた姿をみせたいです。
-:日本のトップジョッキーが集まっていた中でも、モレイラ騎手はスゴい活躍。さすがに気になったワケですね……。戸崎騎手といえば、「ライアン・ムーア(騎手)が一番!」と常日頃から標榜されていましたが、その思いも揺らぐほどでしたか?
圭太:う~ん、まあタイプが違うのでね。モレイラはどこか基本に忠実というか、ムーアは少し特異というか。説明はし辛いですけどね。モレイラの一体感やレースぶりはとにかくスゴいですよ。もちろん日本にいるルメールなども素晴らしいのですが、自分も上手くならなくては、と気が引き締まりました。
-:一緒に乗るためには来日を待つのも一つの手段ですが、今年は香港で乗る機会は……?
圭太:去年、招待していただいた招待競走は出られて不思議ではないはずなのでね。いつ話が来るかはわかりませんが、またそれも楽しみですね。
-:あのレースなら、平日に乗れますし、いいチャンスですね。
圭太:そうですね。あと、モレイラが広いコースでどんな乗り方をするか、それも一度観てみたいですよ。また、日本に来てほしいですね。
目指すはサマーシリーズ制覇!
-:他にも話題はあるのですが、では、今週の騎乗馬についてお聞かせください!新潟記念(G3)は七夕賞に続いて、アルバートドック(牡4、栗東・須貝尚厩舎)とのコンビで挑みます。
圭太:結果次第では、サマーシリーズが見えてくる一戦。シリーズ制覇を狙いたいですね。
-:あとは条件替わりが気になりますね。
圭太:確かに戦歴を見ると、左回りや大きなコースで結果が出ていないのは気になりますね。それをどうカバー出来るか、頑張りたいです。
-:飯豊特別のダイワダッチェス(牝3、美浦・菊沢厩舎)は前走が鮮やかでしたね。
圭太:僕がイメージしていたよりも、相当乗りやすかったですね。乗り味も素晴らしかったですし、これは楽しみだな、と。テンション的にも距離短縮も良かったでしょうし、新潟の馬場も気にならないですよ。
-:惜敗続きがウソのような勝ちっぷりでしたものね。土曜の長岡ステークスはアーバンキッド(牡3、美浦・斎藤誠厩舎)と久々のコンビですね。
圭太:前走は僕が乗っていませんでしたが、いい走りをしていましたよね。新馬を勝った時も鮮やかでしたし、今後、伸びてきそうな雰囲気を感じていたのでね。
-:前走もハンデ差と通った場所を考えれば、勝ち負けに等しい、と言っても過言ではないほどですよね。土曜8R(3歳上500万下)のレーヌドオリエント(牝4、美浦・尾関厩舎)はどうでしょうか?
圭太:前走は僕も道中で「ここから突き抜けるのかな」と思っていたところが、そこからの反応がありませんでした。ひと叩きして、もう一度、という思いです。
-:やはり間隔が開いた分かもしれませんね。5Rの新馬戦、コーラルプリンセス(牝2、美浦・高橋裕厩舎)は追い切りに乗られたそうですね。
圭太:素質は感じました。オットリとしたところがあって、促さないと反応がないんじゃないか、と思うほど。新馬戦向きの気配ではないかもしれませんが、イイ馬だと思いますよ。
-:そして、戸崎騎手大好きの新潟千直は、日曜最終のワラッチャオ(牝4、美浦・高橋祥厩舎)が今年最後の騎乗となりそうですね。
圭太:そうなんですよね。馬自体は戦歴からも夏の疲れが気になりますね。コースはやはりリズムが重要というか、騎手の技量が問われると思うので、本当に楽しいですよ。
ストレイトガール、レッドリヴェールと思い出深い牝馬たちが引退
-:そして、スプリント路線で新たな?パートナーも出てきたばかりですが、ストレイトガール(牝7、栗東・藤原英厩舎)の引退が表明されましたね。
圭太:もともと昨年の時点で引退のプランがあったほど。いつ、こうなってもおかしくはないと僕自身、心構えは出来ていました。でも、寂しくはなりますね……。
-:ヴィクトリアマイル連覇、そして、スプリンターズSを制覇と素晴らしい活躍でしたよね。
圭太:そうですね。もう少し走れていれれば、スプリンターズSの連覇も狙えたかもしれませんが、ラストランとなったヴィクトリアマイルも本当に強かったですからね。スゴい馬だと思います。
-:ラストランでベストパフォーマンスをみせる牡馬はオルフェーヴルなどもいましたが、牝馬ではなかなかないですよね。引退といえば、レッドリヴェール(牝5、栗東・須貝尚厩舎)もゆかりのあった馬ですよね。
圭太:2歳から3歳にかけて乗せていただき、G1も獲らせてもらい、お世話になりましたね。ここ最近はイイ頃の走りを見せられなくなっていましたが、繁殖入りするとのことで、良い仔を残してほしいです。
-:阪神ジュベナイルFを制されたのは、応援している身としても、嬉しかった記憶はありますが、ダービーでは乗り替わりとなり、「任せてもらえる騎手にならなくては」とコメントされたことが記憶に残っています。
圭太:そうでしたね。悔しかったですが、自分が上手くならなくては、と思ったと思います。
-:そして、その通りに成長されているのが素晴らしいですよね。
圭太:ん?まあ、それはビミョーですけどね(笑)。
▲ストレイトガールとG1・3勝 まさしく名コンビだった
▼ハープスターとしのぎを削ったレッドリヴェール
-:まあまあ……当時を思えば、着実に成績を上げられたことは素晴らしいですよね(笑)。さて、今週も読者の皆さんから質問が来ております!いけしゅんさんからで「フジテレビのトークショーで生徒会長をしていたとのこと。その時に成績が悪かった、とはどれくらいひどかったのでしょうか?」という質問です。
圭太:酷いというか……、う~ん、順位とかは言えないっすね(笑)。
-:通信簿で言えば?
圭太:通信簿は3とかですか?でも、通信簿って人柄も採点に影響されるじゃないですか?
-:じゃあ、実質、2とか……。そういう意味では、よくぞ、JRAの一次試験を受かりましたよね。
圭太:だから、周りもそれにビックリしていましたよ。皆、受かるワケない、って感じでしたから。勉強を手伝ってもらった熊野さん(マネージャー)もここまで覚えるとは驚いた、と当時、言っていましたから。人間、やろうと思えば、やれるものだということで。
-:そうですね。続いて、モガミのしゃけさんより、「他の騎手の皆さんからのアダ名はありますか?人馬一体という言葉がありますが、直近でそれを強く感じた、意識した時はありますか?」とのことです。
圭太:アダ名というか、圭太としか呼ばれないですね。でも、中央では苗字が多いかな。それと、人馬一体ですか?う~ん、最近ならばストレイトガールですかね。道中のコンタクトもしっかりとれましたし、良いレースができたと思います。
-:今週も多岐にわたる質問にお答えいただきましたが、来週からは開催替わり。京成杯AH(G3)はカフェブリリアント(牝6、美浦・堀厩舎)に騎乗とのことですが、リーディングを狙う身として、残り1/3のラストスパートも頑張ってください!
圭太:ありがとうございます!
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は9月9日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。