'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
富士Sはヤングマンパワーで実績上位馬に挑戦!秋華賞のショックを振り払う活躍なるか
2016/10/21(金)
大きな手応えと期待を持って臨んだ秋華賞はビッシュの末脚が不発。ショッキングな敗戦となってしまった戸崎騎手だが、今週は東京に腰を据えての騎乗となる。ラインナップを見渡せば、これまでに勝利に導いてきたパートナーも多く、連勝への期待が膨らむところだ。G1のうっぷんを晴らせるほどの獅子奮迅の活躍となるか?見どころを語ってもらった。
1番人気でまさかの惨敗 秋華賞制覇は夢に潰えたビッシュ
-:個人的な話題からで恐縮ですが、先週は僕も京都競馬場で秋華賞(G1)を観戦。関西で戸崎さんのG1制覇をみられるのは貴重だな、と思っていたのですが……。
圭太:あぁ、そうですね。僕も返し馬ではビッシュ(牝3、美浦・鹿戸雄厩舎)のデキの良さを感じて、「ほぼ勝負は決まったかな」と思ったほど。馬体重もマイナス2キロですか。その発表を見た時も、“初めての関西圏での競馬の割に大した馬だな”と思ったほどでした。
-:ですが、結果は伸びるところもなく、10着に大敗。どうしてしまったのでしょうか。
圭太:結果的には輸送がこたえてしまったのか、正直、わからないですね。コーナーでも勝ち馬を観つつ運んでいたものの、そこからが伸びてくれなくて……。馬の力を出し切れなかったことは確かです。
-:僕も検量室前で他のマスコミの方とレース後のコメントは伺っていましたが、それは数日経った今でも見解には変わりなく?
圭太:ええ、今でも敗因がわからないほどです。
ここが試金石のヤングマンパワー 更なる高みを目指すための課題とは!?
-:紫苑Sではヴィブロスに不利があったとはいえ、それにヒケをとらぬ走りをしていたわけですからね。さて、今週は土日で東京。菊花賞にも騎乗されないということで、目玉は富士ステークス(G3)になりますね。ヤングマンパワー(牡4、美浦・手塚厩舎)とは東京、新潟と連勝中。ただ、ここまでとは相手が変わってきますね。相手関係はどう見ていられますか?
圭太:僕も現状でどこまでやれるか、ここが鍵だと思いますよ。相手はG1を窺うようなメンバーですからね。
-:この馬を観ていて、競走馬に乗ったことのない僕でも気になるのが、クビの高さ。ここはどう感じられますか?
圭太:そう、それが課題ですよね。普通ならばこんな走りをしていると、背中の使い方がイマイチだったり、トモの踏み込みが足りなかったりするものですが、この馬はそんなところがなく、クビの使い方だけが良くないのです。僕が乗っていてどうこう出来るわけではないと思いますし、背腰に力がついてくれば変わってくるのかもしれませんが、ここは良くなってほしいですね。珍しいタイプですよ。
-:これが変わりそうな可能性はありますか?
圭太:う~ん、どうでしょうかね。日々の調教などでどこまでケア出来るか……。
-:ただし、それでも勝っているわけで、能力の裏返しでもありますね。
圭太:それは言えると思います。こういうウィークポイントがあるから、平坦や速い馬場のほうが持ち味は活きるのかもしれません。まあ、天気予報を見る限り、馬場の心配はなさそうですね。
-:競馬自体は前走も外枠から押し切ったように、器用なタイプですね。
圭太:そうです。競馬の作り易さは持ち味ですね。課題のクビの使い方もクセともいえるのでしょうが、体のバランスは良いですし、フットワークも良いものを持っているのでね。決して能力がないわけではありません。いま、どこまでやれるか、試したいですね。
▲ヤングマンパワーの全4勝はいずれもマイルでのもの 力試しの一戦となりそうだ
-:楽しみにしています。同じく土曜には秋嶺ステークスにディアデルレイ(牡5、美浦・牧厩舎)が挑みます。前走は初ダートながら快勝しました。
圭太:ダートの走りは思っていた通り悪くないですね。砂をかぶってないので、そこがどうかと思いますが、このクラスでやれてもとは思っています。
-:前走も外枠からスンナリ行きましたものね。日曜に移りますと、ブラジルCにアポロケンタッキー(牡4、栗東・山内厩舎)が登場します。重賞でも3着と好走し、ハンデも57.5kgに留まった、と言って良いのかわかりませんが、好勝負が期待されます。
圭太:重賞でも3着の実績。このコースでは4戦して3勝ですか。東京も良いはず。人気も集めるとは思いますが、率直に勝ちたいですね。
-:くるみ賞のコウソクストレート(牡2、美浦・中舘厩舎)はどうですか?
圭太:これは将来性を含めて、かなり楽しみといいますか、どこまで成長してくれているか確かめたいですね。適性としてはクラシックの距離は厳しそうな面もあるので、こういう短いところになるかもしれませんが、新馬の走りから楽しみですよ。
-:その口ぶりからも、新馬の時も良い評価をしているとは感じていましたが、僕が思っていた以上の手応えのようですね。正直、びっくりです。
圭太:そうかもしれませんね。1度使ってテンションも変な方にいくことはなさそうですし、楽しみにしています。
▲戸崎騎手も高評価のコウソクストレート!新馬戦同様、芝1400m戦で連勝を目指す
-:ここまでお馴染みのメンツが揃いますが、コチラもそう。最終レース(3歳上1000万下)のワンブレスアウェイ(牝3、美浦・古賀慎厩舎)は続けて乗ってこられて、昇級初戦になりますね。
圭太:千四でもどかしい面もあったのですが、距離が延びていいと思っていたようにハマってくれました。強い勝ち方でしたし、ここでも期待しています。
-:昔は折り合いが懸念されていましたが、そんな雰囲気も微塵とも感じませんでしたからね。2歳新馬のロジブリランテ(牡2、美浦・国枝厩舎)は先週、追い切りに騎乗。ダノンプラチナと併せたようですね。
圭太:雰囲気は良い馬ですよ。ただ、追ってからのギアの入り方がモタモタしている面があるので、それがレースにいってどうなるか、ですね。
いよいよ次週は天皇賞!当日はストレイトガールの引退式も
-:その他の話題もお願いします。ウィッシュハピネス(牝4、栗東・沖厩舎)は秋華賞ショックが冷めやらぬ中、ここは勝つんじゃないか、と思っていたところ、まさかの失速でした。
圭太:どうも今回は気難しさを出していましたね。ゲートでガチャガチャしていたり……。仕上がりとかは気にならなかったのですが。
-:まさか、アッサリ失速してしまうとは意外でした。ロイヤルストリート(牝4、栗東・藤原英厩舎)はいかがでしたか?
圭太:先生とも打ち合わせて、ペースはもう少し落ち着くと思っていただけに、先行策を予定していたのです。それが結果、思ったよりも流れてしまって。それに、何にせよ外枠も痛かったですね。内に潜らせたかったのが叶いませんでしたから。
-:ただ、条件さえあえば、ここでもやれそうな手応えですね。
圭太:そう思います。
▲次位に1秒も速い上がりで差し切りを決めたレッドサバス
-:レッドサバス(牡4、栗東・松田国厩舎)は鮮やかでしたね~!
圭太:以前、僕が乗せてもらった時は気難しさを感じたのですが、リズム良く運べたら、ああいう脚を使ってくれると実感できました。上にいっても通用すると思いますよ。
-:いやあ、良い末脚に目が覚めました。そして、次週は天皇賞(秋)。ルージュバック(牝4、美浦・大竹厩舎)はいつも通り、中間は天栄さんでの調整ということで木曜に帰厩するので、具体的な話は次週になると思います。ただ、天皇賞当日はストレイトガールの引退式。戸崎騎手か藤原英先生が勝てば、タイミングが良くなりますね。
圭太:あぁ、そうですね(笑)。競馬にはドラマがありますから、それは期待したいところです。
-:ストレイトガール(牝7、栗東・藤原英厩舎)もトレセンに入って、調整しているようです。
圭太:そうかそうか。必要ですものね。
-:それと、密かに製作していた、JRA通算600勝記念グッズも遂に完成間近です。
圭太:おぉ、今回も楽しみにしています。
-:こちらも天皇賞デーにタイミング良くお披露目になるといいですね。また、次週もよろしくお願いします!
圭太:ありがとうございます。
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は10月28日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。