'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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運命の初コンビ!?リアルスティールと中山記念へ 残念!フェブラリーSは2着
2017/2/24(金)
今年初のG1・フェブラリーSは惜しくも2着。久しぶりのG1制覇はおあずけになった戸崎圭太騎手。しかし、終わってみれば、人気以上の結果。それに応えた馬だけでなく、鞍上の騎乗も光ったといえるだろう。また、今週はリアルスティールとの初コンビで中山記念へ。実はデビュー戦にも騎乗するプランが一時はあったほどで、待望のタッグ結成となる。結果次第では、今後の騎乗機会にもつながりかねないとは想像するが、今年初のJRA重賞制覇も懸かるところ。引き続き中山開催も戸崎騎手の奮闘に期待したい。
リアルスティールと待望のタッグ結成!
-:先週のフェブラリーS(G1)はベストウォーリア(牡7、栗東・石坂厩舎)で2着!いや~惜しかったですね!
圭太:そうですね。最終的には勝ち馬に流れが向いてしまいましたが、いい競馬はみせてくれました。僕も乗ったことのあるモーニンやコパノリッキーらに先着してのものですし、去年から本当に崩れなくきていますからね。立派なものです。
-:今年はカフジテイクが1番人気でしたし、前走で敗れてもいました。道中ではインに潜り込むような競馬でしたが、あれはある程度、後方を意識しつつ、山を張った乗り方だったのでしょうか?
圭太:いや、もちろんカフジテイクが強いのもわかってはいましたが、前にも強力な先行馬がいますからね。あれは流れを見て、道中の判断であんな競馬になりました。
-:直線では上手くスペースも出来て、抜け出し。勝ったと思った瞬間はありましたか?僕は道中を観て、“勝てるかもな”なんて思っていました。直線では、一旦は先頭に出たようにも見えたのですが。
圭太:いや、一度もコッチは出ていないんですよ。やっぱりそれはカメラの角度もありますからね。僕も映像で観れば、出たようには映っているのは納得ですが、乗った方からすれば、全く出ていないんです。
-:それは乗り手の感覚の方が正しいですよね。リレーや陸上競技でも、競り合っている人たちが一番わかるといえば、たとえになりますが。
圭太:そうそう。ただ、今年は過去3度、フェブラリーSに乗った中で状態は一番よく感じましたよ。前走も良かったですし、レース前は「使っても使わなくても変わらないんじゃないか」なんて話はしましたが、抜け出す反応が本当に良くて、“コレはやったか!? ”と思ったほどです。結果的には勝ち馬も外で遊んでいて、そこに食らいついたら、向こうが盛り返してしまったのでね。交わせると思ったんですけどね。
-:7歳でこのパフォーマンス。展開もあるのでしょうが、同世代のコパノリッキーなどにも先着するのですから、スゴイですよね。
圭太:ええ。本当に頭が下がる思いです。だからこそ、中央のG1タイトルを獲らせてやらないと、という思いもあるのですが。先生も悔しがっていましたし、勝たせてあげたかったです。
-:ひとまずはかしわ記念(Jpn1)でのリベンジを、というところですね。さて、今週の中山記念(G2)にはリアルスティール(牡5、栗東・矢作厩舎)と共に臨まれますね。
圭太:こういう形で乗せていただくのも、一つの縁かなと思いますし、こんな馬に指名していただいて有難く思いますし、楽しみですね。
-:そもそもデビュー前の追い切りにも騎乗されましたし、他のメディアさんの記事ですが、矢作先生も以前から乗って欲しかったなんてコメントを残されていましたね。
圭太:そうらしいですね。その思いに応えられれば、というところですし、レースはどんな流れにも注文のつかないイメージ。昨年とは斤量や条件も違いますが、中山記念も3着でしたし、枠順が出てから、またイメージを膨らませたいです。
-:そういえば、ライアン・ムーア騎手がオーストラリアでの騎乗により、騎乗を引き継ぐ形。ムーア騎手の来日期間にお話はされましたか?「リーディングおめでとう」とか。
圭太:いや、無いですね(苦笑)。僕もそんな英語は喋れませんし、自分から聞きにいくのもね……(ゴニョゴニョと)。
-:それは残念でした(笑)。続いて、土曜6Rの新馬にはエリティエール(牝3、美浦・大竹厩舎)に騎乗されます。2週連続の除外で待望のデビュー。御存知の通り、ルージュバックの半妹ですね。
圭太:以前、追い切りには乗せていただきました。当時は「まだスイッチが入ってなくて、モサモサしてる」なんて話を聞いていたのですが、最後までしっかり反応してくれましたし、ピリっとしてきていた印象でしたよ。
-:その過程を考慮すると、除外になったのもプラスになりそうですね。血統はお姉さんがマンハッタンカフェ、こちらはディープインパクトですね。
圭太:さすがにお姉さんの実績は簡単に追いつけるものではないと思いますが、こちらもいいモノは持っていますよ。
-:水仙賞のムーンザムーン(牝3、美浦・上原厩舎)は未勝利勝ちを決められたコンビになりますね。
圭太:最後までしっかり末脚を使ってくれる印象。当時より距離が延びるのも問題ないはずですよ。中山替わりもプラスではないでしょうか。
-:最終レース(4歳上1000万下)のタケルラグーン(牡5、美浦・池上弘厩舎)は昇級初戦になりますが、末脚は堅実ですね。
圭太:昇級しても通用しそうですよね。イイ脚は持っていますし、この形を崩したくない思いもあります。ただ、ペースが上がる分、末脚の破壊力は鈍るのは否めないと思います。そこでどう対応していくかですね。
-:願わくば、流れが向いてくれる展開が理想ですね。日曜は1頭、4R(3歳500万下)のバスカヴィル(牡3、美浦・二ノ宮厩舎)は前走があまりに案外な結果でした。もっとやれておかしくないと思うのですが。
圭太:やはり休み明けが響いたかもしれませんね。ひと叩きの変わり身に期待したいです。
東京最終週の見どころ&読者からの質問にもお答えします!
-:未勝利戦で負かした相手は、500万を既に制し、ヒヤシンスSでも5着でしたもんね。先週のレースについてもよろしくお願いします!ラベンダーヴァレイ(牝4、栗東・藤原英厩舎)は久々の騎乗でしたが、1000万下を制しましたね。
圭太:前に乗せていただいた時は身体も伸び切ってしまうところがありましたが、少しずつ良くなっていますね。以前よりも身体が使える様になっていますし、目方は変わりませんが、当時とは中身も変わってきています。
-:馬体重の面でいえば、プレストウィック(牡6、美浦・武藤厩舎)は馬体重も増えていました。
圭太:結果的には差のない競馬が出来ているので、そんなに影響はなかったと思います。ただ、プラスにならなくても良かったかな。レースそのものは、力むようなところがあって、反省ですね。
-:インを意識して競馬をされましたか?
圭太:そうですね。位置を取りにいった分、力むところがありましたね。前走は上手く折り合いもつけられたのですが、前の馬に乗りかかるようなところもありましたからね……。
-:結果的には中山のほうが良さそうなタイプでもありますね。レッドサバス(牡5、栗東・松田国厩舎)は敗れたものの、やはりこのコースでは堅実ですね。
圭太:直線で捌きづらいところはあったのですが、このコースは合いますね。クラスが上がった分、直線一気は厳しいかと思いましたし、かといって出して行くと甘くなるでしょう。そういう意味でも、この枠も少し良くなかったですね。
-:トリコロールブルー(牡3、栗東・友道厩舎)はテン乗りでしたが、2勝目を挙げられましたね。
圭太:まだ緩さはありますが、いいフットワークをしていますね。距離はまだ延びても対応できそうです。
-:新馬のサーヒューストン(牡3、栗東・藤原英厩舎)は道中の手応えをみると、厳しそうに見えましたが、抜け出してからは危なげなかったですね。
圭太:まあ、新馬ですからね。モマれたり、砂を被ったりとありましたから。
-:そして、読者からの質問が来ております。「例えば、1Rでジョッキーが怪我をしてその日の乗鞍が全部乗り替わりになることもあるかと思います。そんな時、突然手綱を任されたジョッキーの心境はどういうものなのでしょうか?」とのことです。
圭太:それはもう、シンプルにベストを尽くすしかないですよね。
-:また「急な乗り替わり時に気を付けていることなどあれば教えてほしいです」とのことですが。
圭太:そういう場合は特に調べようもないですからね。調教師や厩務員さんに話を聞くこともあれば、記憶や印象を基にするか、あとはフィーリングで乗る感じですね。
-:質問は続々来ておりますが、それはまた次週に。今週から2回中山開催。引き続き頑張ってください。
圭太:クラシックも始まりますからね。頑張ります。
ここで競馬ラボからのお知らせです。3年連続JRAリーディングを獲得した戸崎圭太騎手への質問・応援メッセージを久々に募集いたします!特定のレースや馬の話題や趣味と自称されている「ゴルフや英会話」の話題など何でも質問内容は問いません。
もちろん、複数質問もOK!応募は以下のアドレスに「戸崎騎手質問係」と記して、お名前(ペンネーム)、質問内容をお書き添えの上、メールでお送りください。
質問を採用させていただいた方の中から抽選で3名に編集担当の競馬ラボ・小野田チョイスの戸崎騎手グッズをプレゼントいたしますよ。たくさんのメールをお待ちしております。締め切りは2017年2月26日(日)まで。
keita_tosaki@keibalab.jp
(当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます)
(聞き手:競馬ラボ・小野田学)
※次回は3月3日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。