'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月18日時点1558勝
悲願のダービージョッキーへ!初コンビのペルシアンナイトと頂点狙う
2017/5/26(金)
さあ日本ダービー。我らが戸崎圭太騎手はペルシアンナイトとのコンビで競馬の祭典に臨むことになったが、追い切りも含め、全くのテン乗り。馬についてのジャッジはあくまで客観的な印象のみとはなるが、皐月賞2着馬ということもあり、馬券的な注目は集めることだろう。当欄でも常々、「どんなレースでも勝ちたい」と貪欲な姿勢をみせてきた3年連続リーディングジョッキーの心境に迫った。
やはり、ダービーに乗れることが幸せだと思いますし、そこも感じながら悔いの残らない戦いにしたいと思います。
-:日本ダービー(G1)もいよいよ明後日に迫りましたね。それでは、今週もよろしくお願いします!ペルシアンナイトについては、追い切りにも乗ることはなかったので、レースで初コンタクトになりますね。
圭太:そうですね。1週前の時点で、先生の方からも「追い切りはこちらでやっておくので」ということでしたからね。まあ、「乗りやすいし、イメージ通りに乗ってくれたら」というコメントもいただいていますし、僕自身、テン乗りも嫌いではないですから。実は今週、ステファノスの1週前追い切りを頼まれていて、乗り終わった直後にペルシアンナイトを見かけたんですよね。一瞬だったので、どんな様子なのかわかるほど見ていませんが(笑)。
-:前回の皐月賞自体は同じレースに乗っていらっしゃって、割と序盤は近い位置にいました。もちろんその馬(ペルシアンナイト)を見ている訳じゃないでしょうけど、比較的近いポジションにはいたと思うので、あのレース振りというのはいかがでしたか?
圭太:内に突っ込んでいきましたもんね。あの日の馬場は比較的インを通りたくないような状態の中で、結果的には皐月賞は内を通った馬が上位を占めていましたね。
-:結果的にはインを通れたことも大きかったのかもしれませんが、内がかなり悪かった状態でしたし、よく踏ん張っていたと思います。枠は6枠11番に決まりましたが、どう感じられましたか?
圭太:決して悪いところではないですが、内にいけるのであれば、もっと内でも良かったなというところは本音ですね。でも、ここで戦うわけですからね。意を決して闘いたいですね。
-:やはり先週の傾向を見ると……ですね。
圭太:ええ、内が有利ですよね。オークスこそ外ではありましたが、勝ち馬が外にいったのもその原因はありそうですから。今週もコースは替わるけれども、結果より内有利になるんじゃないかと思いますから。
-:しかも、ここまで色々と馬場傾向について伺っていると、馬場が緩いのに時計が速い馬場。さすがに時計が出ると、あまり外は回りたくないですよね。
圭太:そうですね。しかも、どうも雨が降っていなくても、土曜よりも日曜の方が緩いんですよね。なぜかはわかりませんが。それでも、内は有利ですが、そういう雰囲気はありますね。
-:今年はそんな傾向もあるようですが、そもそもダービー週はコース替わりで例年はイン有利ですよね。
圭太:そうそう。今年もメンバーを見ると、ペースは平均的からやや速いかな、といった雰囲気ですし、あまりこれが行くというほどでもないですからね。全体的に言い訳の出来ない、平均した歓迎出来るペースになるのかもしれませんね。
-:まだ、ダービーの現場に来たことがない人もいらっしゃると思いますし、ダービーの当日の雰囲気というのは、ファンの方々は中を見られないので、教えていただけますか?
圭太:騎手だけじゃなく、周りのJRAの職員さんやスタッフさんたちから、本当にピリピリした異様なムードだなといつも感じています。スタンドのお客もそういう風になっているのかなと。それこそ東京競馬場の上からヘリコプターかで覗いてみたら、異様なオーラが出ているのかなと思うほど。そういうところに飲まれず、いつもの自分を出せるようにしていきたいなと思います。
-:これまでのダービーに乗られてきて、特に記憶に残るというか、そういう年はありますか?
圭太:やっぱり最初に乗せていただいたトゥザグローリー(7着)ですかね。あの時はいまだに覚えています。
-:一瞬、上位に来るのかなと。
圭太:よくよく考えたら、あんな乗り方をしていたらダメですよ(笑)。いくら何でも思いっきり過ぎるだろうみたいな……。今じゃ到底できない乗り方ですよね。
2010年の日本ダービーにて(当時は大井競馬所属)
-:今はじっくり乗られることが多くなりましたが、逆に思いっきりが良かったということは、良いことではないですか?
圭太:どっちもどっちですよね。昔だったら、ああやって思いっきり乗れていたのだろうと思うし、かと言って、あれじゃ勝てないだろうな、とも思います。馬場状態がどうこうという見立てもないだろうし……。だから、思いっきりの良さも良いとは思うんですけど……、という感じですね。
-:確かにそうですね(笑)。その思いっきりと冷静さがあれば、ベストだと思いますが、あの年(2010)のメンバーは後々すごい活躍をした馬ばっかりでしたね。メンバー的に今年は見ていていかがですか?
圭太:本当に横一線ですよね。馬のちょっとした状態で変わってくるだろうし、枠順だったり、馬場だったり、本当に繊細なレースになるなという感じですね。逆に面白いですね。今年は晴れそうな予報ですが、雨が降る年もありますし、そういった条件、つまり運は自分で掴むものだと思いますので、そこを引き寄せていきたいなと思います。
-:この1年の努力がそういうところで実れば。
圭太:そうですね。
-:テン乗りのダービーではありますが、意気込みを聞かせてください。
圭太:有力馬に乗せていただけることを光栄に思いますし、混戦ムードなので、より手腕が問われる印象です。テン乗りではありますが、跨る時のファーストコンタクトを大事にして、レースに臨みたいですね。
-:ダービー当日の最終レース、目黒記念(G2)はヴォルシェーブとのコンビですね。
圭太:前走にしろ、アルゼンチン共和国杯にしろ、一緒のレースに乗せていただいておりますが、力はありますよね。上手く力を引き出せればと思います。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。