'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月4日時点1555勝
WASJは惜敗2位タイ!夏競馬最終週は新潟でラストスパートを誓う
2017/9/1(金)
先週のWASJでは惜しくも2位タイに終わってしまった戸崎騎手。しかし、今年唯一の札幌競馬場での騎乗でも着実に対応。夏競馬オーラスの今週も、勢いよく新潟競馬へ臨めそうだ。昨年に続き、今年も夏男たる活躍をみせた夏競馬だが、今年も新潟リーディング奪取となるのか。現地ファンも、テレビ観戦ファンも、「日本代表」を経験したトップジョッキーの騎乗ぶりに注目いただきたい。
「ボクなんかもシャーガーに行って、“代表”なのかなと(ニヤリ)」
圭太:まずは、「おめでとうございます!」ですね。日本国民としてね。
-:ん?ああ、サッカーですか?
圭太:全部は観ていませんが、テレビで観ていました。最近、サッカーもちょくちょく目にする機会もあって。
-:サッカーのイメージがなかっただけに意外でした。誰か代表選手に注目しているとか、知り合いを応援しているとかでしょうか。
圭太:いや、そういうことではなく。「日本代表」ということで、日本国民が応援して、それに応える結果を残してくれるのは嬉しいことですよね。ボクなんかもシャーガー(カップ)に行って、一応「代表」なのかなと(ニヤリ)。
-:ハハハ、まあそうですね。
圭太:もっと日の丸に重きを置いて臨まないといけない、と昨日観て思いましたね。まあ、シャーガーCはヨーロッパチーム・イギリス&アイルランドチーム・女性チーム・世界選抜チームと、特殊なチーム構成でしたけどね。まあ……余談でした。
-:珍しい雑談ありがとうございました(笑)。競馬の話題に移らせてもらうと、新潟記念(G3)はハッピーモーメント(牡7、栗東・角居厩舎)とのコンビですね。以前、乗っていたことを少し忘れてしまうほど、久々のコンビといいますか、騎乗していたことを忘れていました(笑)。
圭太:確かに当時とは印象も違いますよね。長い距離で安定してきて、2000mでどうかという思いもあるのですが、先行力もありますし、いい走りを引き出せればと思います。前回も目黒記念で同じレースに乗っていたりはしていますし、印象はありますよ。
-:土曜新潟から、8R(3歳上500万下)のピアノイッチョウ(牝3、美浦・尾形充厩舎)は前回2着でしたね。
圭太:前走の雰囲気から、このクラスでも力は足りると思いましたし、チャンスはあるんじゃないかと思います。差し辛いコースでも差しがきいていましたからね。
-:土曜の騎乗馬では、燕特別のクイックモーション、長岡ステークスのハクサンルドルフも乗った経験のあるところですね。
圭太:クイックモーション(牝4、美浦・木村厩舎)は久々ですが、未勝利を勝った時は楽な勝ち方ができましたし、このクラスでもやれると思うんです。新潟なら外回りよりも、2200mなどの方が合うでしょうね。ハクサンルドルフ(牡4、栗東・西園厩舎)は2走前に乗せていただいて、敗れはしたのですが、凄まじい脚でしたよね。この新潟の外回りも合うんじゃないかと思います。
-:日曜の騎乗馬では、飯豊特別のサレンティーナ(牡3、美浦・萩原厩舎)はどうでしょう?
圭太:正直、前走の千二はどうかと思っていましたが、強いパフォーマンスをみせてくれましたね。あのレースをしてくれるなら、今回もチャンスがあっていいはずです。一つ気になるならば、仕上げが難しいタイプじゃないかと思いますね。何となく感じる部分ですし、仕上げに携わっていないので未知数ですけどね。毎回、いい状態をキープするのに、スタッフの方々も大変かもしれません。
▲前走、初めての千二でガラリ一変のサレンティーナ
-:夏の新潟リーディングも懸かる今週。いい形で締めくくれたら最高ですね。そして、先週のワールドオールスタージョッキーズシリーズ。惜しかったですねえ~。
圭太:ホントですね……。ただ、初日トップでも、騎乗馬のランク分けがあるじゃないですか?初日で上位ランクの馬が確実に走ってくれれば、自ずと上位に来るわけですし、2日目はBとDランクだったので、決して楽観視はしていなかったですよ。確実に行けるとは。
-:えてして、こういったシリーズは前半トップで折り返しても、逆転されるケースが多いものですよね。
圭太:そうそう。3戦目終わって、まだトップだったので、これなら大丈夫なのかな、とは思いました。最後も2番人気になっていましたからね。
-:ただ、向こう正面で不利が……。
圭太:う~ん、まあ挟まれてはいるのですが、挟まれる位置にいないよう乗るべきだったかなと。もっとポイントを意識していれば、違った結果だったかもしれません。そこも、引いて乗ることが良いかどうかはわかりませんが、スムーズな競馬ではなかったので、下げていかなくてはいけなかっただろうし、行くなら自分から主張していくような競馬にすべきでした。勝利があったかどうかはわかりませんが……。
-:あと、3ポイントでしたか。
圭太:そうです。悔いが残るなぁと。
▲WASJを総合優勝のダシルヴァ騎手、2位タイの福永騎手と表彰式にて
-:今年のシリーズ全般を振り返っていかがでしたか?
圭太:例年通り、騎手たちも楽しんで乗っている印象ですね。マカヴォイ騎手とは、シャーガーカップ以来、2週間ぶりの再会でしたが、良い関係になった印象はありましたよ。
-:恒例のビールかけも。
圭太:楽しいですね。やろうと思っても、なかなか出来ないことですから。それにしても、終わったらビールくさいですよ(笑)。
-:ビールをかけるだけなら出来ると思いますが、何かお祝い事がないとやりづらいですよね(笑)。シリーズ2戦目のクロコスミア(牝4、栗東・西浦厩舎)は先行馬もいる中で、主張していっての逃げ切り勝ち。レースを振り返っていかがでしたか?
圭太:内の先行馬もいましたので、2~3番手になるのかと思ったのですが、こちらの二の脚も速かったですし、先に行く馬がヨーロッパの経験が豊富なマカヴォイ騎手(豪州)だったので、そこまでは主張してこないんだなと思いましたね。ケンホファヴァルトは僕も乗ったことがあって、ハイペースであろうが、行ったほうがいい馬だと思いますが、あの辺りは普段の環境が出ていると思いましたよ。他のレースではそういったことを感じませんでしたが、あのレースに関しては、僕も特徴をわかっていた馬ですし、感じる部分はありましたね。
-:過去のシリーズを通して、そう感じるところはあったりしましたか?
圭太:やっぱりペースは遅くなりますよね。自分もヨーロッパで乗って、余計に感じるところではあるのですが、あんなには出していかないだろうと。
-:クロコスミアは以前より状態も良かったのではないですか。
圭太:福島のときも悪いとは思いませんでしたが、当時は使い詰めでもありましたからね。持ち味としては、逃げたほうがパフォーマンスは上がるのかとは思いますね。
-:キーンランドC(G3)のモンドキャンノ(牡3、栗東・安田隆厩舎)は残念ながら、という結果に終わってしまいました。
圭太:位置取りはいい位置につけられて、スムーズに走らせてあげられたのですが、上がっていく時に内の馬を避けるように外に張ってしまいました。ラストも伸びているというよりは惰性で来てしまった感はありますね。
-:多少、条件も選ぶのかもしれないですね。コーカス(牡3、栗東・藤原英厩舎)は芝でも走りましたね。
圭太:芝でも良いのかとは思いましたが、休み明けの分なのか、右にモタれるようなところがありました。一度、叩いての上積みがあれば、ですね。むしろ芝でもいいのかもしれませんよ。あと、若さがあるので、もう少し成長してくれたらですね。
-:ちなみに、札幌の芝はいかがでしたか?今週で最終週です。
圭太:良いんじゃないですか?内は多少悪いですが、そこまで影響するほどではなく、展開次第で逃げ残ったり、差しがきいたりくらいの状態かと思いますね。
-:今週は新潟に戻るわけですが、次週は土曜が中山(紫苑Sのルヴォワールなど)、日曜が阪神(セントウルSのメラグラーナなど)とのこと。引き続き楽しみにしております。関西のファンもお待ちあれ。
圭太:ありがとうございます。頑張ります。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は9月8日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。