'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月4日時点1555勝
3日間開催は東京と盛岡へ!南部杯ベストウォーリアに久々のタイトルを
2017/10/6(金)
3日間開催を迎える中央競馬だが、土日は東京競馬場、10/9(祝・月)は盛岡競馬場へ向かう戸崎圭太騎手。聞けば前開催の中山、先週のスプリンターズSと不完全燃焼だった口ぶりだけに、開催替わりで心機一転となればというところだろう。また、節目のJRA通算800勝も目前。闘いの場をメインステージに移し、奮闘を続ける戸崎騎手の勇姿をこの秋も目に焼き付けてほしい。
「ベストウォーリアのコース適性は高いですよね。これまでに負けている相手との再戦になるので、リベンジできたらと思います」
-:今週から東京開催ですが、まずは先週のスプリンターズS(G1)は今季初のG1でした。メラグラーナ(牝5、栗東・池添学厩舎)に騎乗されて7着でしたが、いかがでしたか?
圭太:う~ん、馬はこれまでにない程の素晴らしいデキでしたね。
-:少し歯切れの悪いトーンに聞こえますが(苦笑)、以前は状態が常に安定しているといったジャッジでしたが、今回はひと味違ったわけですね。ただし、展開が向かなかったですね。
圭太:ええ。それだけに「展開が」という敗因だけでは済まないなと。もう少ししっかり騎乗したかったですし、ポジション的についていく競馬もすべきだったのかなと思います……。
-:ただ、この馬の持ち味としては、前半を溜めて、後半で末脚を爆発させる、伸びていくような競馬が板についていたわけですよね。
圭太:そうですね。ただ、以前、中山で勝った時のようなポジションはとれないにしても、もう少し中団くらい……他の乗りようもあったのかもしれないと思っています。一方で、馬の個性を考えるとリズムがありますからね。G1でも正攻法でいって押し切るタイプではないにせよ、今回のペースや馬場だからこその乗り方があったのかもしれないし、この競馬が良かったのかもしれない。何が良かったのかは明言できませんが、勝たなくちゃ納得いかないし、勝っても納得いかないこともありますからね。競馬って繊細だから難しいのですが、それにしても反省するレースだったと思います。
-:2度と同じ状況がないのが競馬なわけで、その中で一発勝負を瞬時に判断しなくちゃいけないですもんね。
圭太:最善を尽くすのがジョッキーの仕事です。しかし、この馬のベストな走りができたかというと難しいところですね。応援してくれる人たちを思うと納得できない、してはいけないレースではありました……。
-:走りのタイプもありますが、当日はなかなか外差しがききづらい馬場だったりしましたからね。しかも、枠的にはスローになりそうだった。難しい決断ではありましたよね。
圭太:ええ、色々考えて、あの選択ではあったのですが……。
-:気を取り直して今週ですが、土日が東京、月曜が盛岡での騎乗ですね。南部杯(Jpn1)はベストウォーリア(牡7、栗東・石坂厩舎)で挑まれます!
圭太:成績を見てもわかると思いますが、コース適性は高いですよね。これまでに負けている相手との再戦になるので、リベンジできたらと思います。
-:春はかしわ記念、さきたま杯と成績を落としてしまいましたが、かしわ記念前の頓挫の影響があったわけですよね。
圭太:そうですね。順調さを欠いていなければ、あれだけ負ける馬じゃないので。何度も乗せてもらっている馬なので、タイトルをまたとらせてあげたい思いです。
-:聞けば、担当の方も春はやっぱりザ跖の影響があったとのこと。仕切り直してほしいです。中央の話題では、サウジアラビアロイヤルカップ(G3)ではルッジェーロ(牡2、美浦・鹿戸雄厩舎)に騎乗されますね。
圭太:東京替わりは良さそうですね。新馬でも新潟でいい勝ち方をしていましたし、前走のように出遅れさえなければ、もう少し巻き返せるかと。
-:金曜から雨予報です。道悪適性はどうですか?
圭太:いやぁ~わからないなあ。2歳だから、余計にジャッジしづらいですよね。ダートなら走れなくもないでしょうけど。そんな感触です。
-:毎日王冠(G2)はアストラエンブレム(牡4、美浦・小島茂厩舎)に騎乗。追い切りに乗られたそうですね。
圭太:状態は良さそうですね。ただ、色々なコメントにも残っている通り、他のジョッキーや陣営も口にしているように難しさのある印象。上手く走らせてあげられればと思います。
-:ちなみに、陣営は後方からの直線一気の策を明言されています。
圭太:そうですね。今までと同じことをしていては厳しいとのことで戦法を変えたいそうです。
▲アストラエンブレムの1週前追い切りに騎乗する戸崎騎手(中)
-:その他のレースでは、土曜2R(2歳未勝利)のムルシェラゴ(牡2、美浦・奥村武厩舎)はどうですか?
圭太:けっこう大きな馬ですからね。ひと叩きの効果がありそうです。それに、東京替わりは良さそうですよ。
-:同じく土曜の西湖特別からシルバーポジー(牝4、栗東・池江寿厩舎)は春に勝たれた馬ですね。
圭太:勝たせてもらった時はレースが上手でしたね。久々の分、どうかというところもありますが、勝って同条件なのでね。
-:日曜3R(2歳未勝利)のキミワテンマ、2歳新馬のキャルファースト、スワーヴアラミスと続きますね。
圭太:キミワテンマ(牡2、美浦・武藤厩舎)は折り合いが難しい馬ですが、結果的に前回は千直が合わなかった感がありますね。持っている能力はありますし、1000mでは忙しすぎたので改めて見直したいです。キャルファースト(牡2、美浦・萩原厩舎)はセンスの良さそうな馬。馬場的には少し軽くなって欲しいです。スワーヴアラミス(牡2、栗東・須貝尚厩舎)は先々の馬という印象もあります。モタモタしそうな雰囲気もあるのですが、仕上がりは悪くないですし、能力はありそうですよ。
-:鷹巣山特別のアルミレーナ、テレビ静岡賞のコロマンデルとどうですか?
圭太:アルミレーナ(牝3、美浦・国枝厩舎)は前走がいい勝ち方でしたよね。コロマンデル(牡5、栗東・安田隆厩舎)はゲートの課題などもあるので、能力を引き出せるような走りを心がけたいですね。
「(繁田健一騎手の勝利に)まあ、自分が勝つよりも嬉しかったですね(笑)」
-:先週の話題にまた戻らせてください。クインズサン(牡4、美浦・和田道厩舎)は中山がどうかと思っていましたが、惜しくも2着でした。
圭太:確かにコースがどうか……と思っていた通りでした。結果、勝てなくて悔しいところですが、どうしてもテンに置かれてしまう分、広いコースがいいですね。力は証明できているのですが。
-:一方、ヴェロニカグレースは強かったですね。リフトトゥヘヴンも未勝利を脱出できました。
圭太:ヴェロニカグレース(牝2、美浦・武市厩舎)は映像で観ても、終いがしっかりしていた印象。動けずジッとせざるをえない展開でしたが、この走りなら上のクラスでも楽しみですよ。リフトトゥヘヴン(牡3、美浦・加藤征厩舎)は前回より良くなっていましたよ。
-:ディアバビアナ(牝2、美浦・高橋裕厩舎)は1.8倍の人気でしたが、砂をかぶったのがこたえましたか?
圭太:砂をかぶるのは問題ないタイプなのです。ただ、夏からもけっこう使っていたのでそれが厳しかったですかね……。
-:ヴェネト(牡5、栗東・藤原英厩舎)は少し伸びあぐねているように見えましたが、坂がこたえましたか?
圭太:いや、そんなことはないですよ。先着された2頭が強かったですし、昇級初戦を思えば評価できるレースだったと思います。
-:ミッシングリンク(牝3、美浦・斎藤誠厩舎)はいかがでしたか?
圭太:う~ん、少し終いが甘いタイプで、そこを考慮してペースを落としたのですが、逆にマクられてしまって……。もったいない面はありました。
-:コルコバード(牝4、美浦・木村厩舎)はコースがどうかと思っていましたが、惜しくも2着。強い競馬はしているのですが。
圭太:中山でどういう競馬をするか考えて、道中も押し上げていっているんですけどね……。形としても良かったとは思いますが、勝ち馬は重賞にも出ていたような馬ですし、内々で上手く立ち回られてしまいました。その差ですね。
-:東京盃(Jpn2)のショコラブラン(牡5、栗東・浅見厩舎)はいかがでしたか?
圭太:内枠から上手く立ち回ってくれましたが、もう少し前の着順に食い込めると思いました。少しハミのとり方も良すぎたし、最後はジリジリとした脚。馬場ももう少し軽くていいですね。
-:ちなみに、元南関東の同僚であり同い年、教養センターも半期遅れとほぼ同期の繁田健一さんが勝たれましたね!そこに関してはいかがでしたか?
圭太:まあ、自分が勝つよりも嬉しかったですね(笑)。
-:正式に確かめたわけではないのですが、交流重賞は勝たれているイメージはありませんでした。それにしてもひょうひょうとされている姿が印象的でしたよ。
圭太:そういうヤツなんでね。騎手としても上手いですし、馬のクセを活かした乗り方をしてくるんですよね。思い切った競馬ができますし。
-:噂では仲がイイなんて聞いたことがあったので、ぜひ繁田さんのことも聞かねばと思っていたのです。しかし、どの陣営も頑張っているとはいえ、地方勢が勝つと活気づきますよね。
圭太:そうですね。今年は地方がよく勝っていますし、切磋琢磨できればと思います。
-:最後に、前開催の中山を総括してもらえますか?
圭太:率直に、勝ちきれていないですよね。
-:芝が2勝でダートが10勝。勝ちあぐねていた気もしますし、馬券を買う立場としてしっかり予想するとこれは人気先行かなと思う馬もいたり、評価が難しいところですが……。
圭太:芝の状態が良かったですよね。その中で力はあるけれど、前にいけないタイプだったり、外を回した方がいい馬が多かったり……。言い訳はしたくないのですが、馬のリズムを優先すべきなのか、もっと馬場に合わせるべきなのか、考えさせられました。
-:確かに内々でこすく乗れるようなタイプが少なかったような。それは言えますね。
圭太:そうなんですよね。内をすくっていけるタイプも少なかったのも事実。ただ、ドンと構えて詰まる恐れ知らずの競馬ができない技術のなさも事実です。
-:いやいや、今回は巡り合わせもあったと思います。昔よりも大胆に動くことも増えていると思いますし、暮れの中山で活かせればいいですね。
圭太:本当にそうです。頑張りたいです。
-:今週もありがとうございました!
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は10月13日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。