'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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ダービーはあと一歩の2着!アエロリットと挑む安田記念は前走のリベンジなるか?
2018/6/1(金)
栄冠まで半馬身差。皐月賞馬エポカドーロと挑んだ日本ダービーだったが、周囲の意表を突く!?逃げをみせた戸崎圭太騎手。戦前はクラシック1冠目の内容をフロック視する声もあったが、敗れはしたものの、力を再確認させたはずだ。今週の目玉レースは春のマイル頂上決戦・安田記念。ヴィクトリアマイルに続き、アエロリットとのコンビとなるが、巻き返しなるか。
-:今週もよろしくお願いします!まずは、先週の日本ダービー(G1)の話題からになってしまいますが、エポカドーロ(牡3、栗東・藤原英厩舎)と挑まれたクラシック2冠目は半馬身差の惜しくも2着でした。振り返っていかがでしたか。
圭太:2冠を獲ることができず、馬とオーナーに対しては、あそこまで行っておきながら申し訳ない思いもありますが、馬も本当に頑張ってくれました。(藤原英昭)先生との作戦の中でも、良い選択が出来たと思いますので、勝ったワグネリアンを称えたいなと思いますね。
▲12番枠から逃げて2着 ダービーでは07年以来となる逃げ馬の連対となった
-:木曜に枠順が発表されました。直前まで色々伺いましたが、(12番)枠を見られての印象はいかがでしたか。
圭太:出来れば、もっと内が良かったなと思っていましたね。
-:その中でも色々と戦法というか、作戦があった中で、あのような形をとったということなので、現状、あの枠の中では出来ることは出来たという解釈でよろしいですか。
圭太:そうですね。負けてしまったので悔しい思いはありますが、がんばってくれたと思います。
-:エポカドーロはパドックに出てこず、レース前に待機していた方からすると、気性も知っていただけに“今日はダメかもな……”と心配になったのですが、そのアクシデントはいつ頃知られましたか?
圭太:いや……出てこなかったというのは、レースが終わってからだったかな。「装鞍ところですごくうるさくて」と聞いていましたし、入ってきても誘導馬が脇にいたので。ただ「馬がいたら落ち着いた」ということは聞いたので。
-:そんなアクシデントも経て、実際乗られてからは問題なかったですか。
圭太:問題なかったですね。状態も皐月賞の時も良かったですからね。それを維持出来ている感じでしたね。
「(今年を終えて)ダービージョッキーになりたいと強く思いましたね」
-:長距離輸送の競馬も年明けはたくさんこなしてきました。人馬共に頑張っての2着だったのかなと思うのですが、ダービー2着という結果で終えられて、また新たに気持ちが強くなったようなところはありますか。
圭太:ありましたね。ダービージョッキーになりたいと強く思いましたね。
-:それは、負けたことに対しての悔しさなのか、ダービーの光景や勝った人馬を見てそう思ったのか、どこら辺なのですか。
圭太:両方でしょうね。今まではそんなに強く思うことはなかったんですけど、今年はちょっと違う経験をさせていただいたかなというのはありますね。
-:乗っているジョッキーから見た景色からしても、やっぱり直線の盛り上がり方は格別なのですか。
圭太:そうですね、お客さんは入っていますしね。でも、直線はそんなに冷静に見ていないですけどね(笑)。それは、レース前半の方が感じられるかなと。
-:直線の半ばでは、勝ったと思った瞬間はあったのですか?
圭太:いやいや……僕はG1って特にゴールするまで分からないと思っているので。ハイレベルな馬の争いですから。
-:どのレースもそうですけど、1年に1回しかないですから、またそういうチャンスが巡ってくると良いですね。詳しいことに関しては、またイベントの時にでも回顧してもらいたいなと思います。
圭太:そうですね。
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-:そして、今週は安田記念(G1)ですね。アエロリット(牝4、美浦・菊沢厩舎)とヴィクトリアマイルに続いてのコンビとなります。まだ枠は出ていませんが、前回を踏まえていかがでしょうか?
圭太:落鉄をして、悔いが残るレースになってしまいましたね。その辺は気を付けたいという思いもありますし、同じ舞台であり、実績のあるコースでもありますからね。リベンジできればと思います。
-:中間の状態に関しては、先生(調教師)からは聞いたりしていますか?
圭太:ええ、「順調で、元気。前回よりも素軽くなった」ということは聞いていましたね。追い切りもみましたが、調子は良さそうに感じましたね。
-:前回乗られた感じでは、馬場に関してはいかがでしたか?
圭太:僕は軽い方が良いと思っています。今週も雨は降りましたが、馬場はいいと思いますから。硬くはないんだけれど、時計はでますからね。
-:そこら辺のジャッジは、僕も観ていてよく分からなくなってきたので。明日は晴れて何とか乾きますし、先週の感じだと速い馬場になるのかなという気がするのですが。前走は直前に雨もあって、個人的にはいいのかと思っていましたが、ジョッキーの皆さんの声を聞く限り、けれど時計は出る馬場でしたね。
圭太:位置はイメージしていた通りでしたが、スタートのモタつきもあり、そこで多少脚をつかいましたね。レースぶりもしぶとさがある印象でしたし、そこを活かせたらいいですね。
-:宝塚記念もありますが、東京のG1は秋まで行われません。意気込みをお願いします。
圭太:ヴィクトリアマイルが悔いの残るレースだったので、この馬の力を出せるようなレースが出来たら良いなと思っていますね。
-:前回に関しては、落鉄は序盤のアクシデントという可能性が高いというですね。
圭太:スタートじゃないかなと思うんですけどね。モタついたところでミスステップもしているので。
▲最終追い切りを行うアエロリット 菊沢調教師が騎乗
-:その他のところでは、日曜日の三浦特別、シルバーポジー(牝5、栗東・池江寿厩舎)はちょっと久々の騎乗になりますね。昨年の春の東京で勝たれた記憶があります。
圭太:堅実に走ってくれるイメージですね。東京もあいそうですから。
-:同じく日曜では、(3歳未勝利の)サクラボヌール(牝3、美浦・田島俊厩舎)は前回がこの馬にとって初出走でしたね。
圭太:良い感じで走ってくれましたね。どちらかといえば、使ってよくなるよりは、逆にテンションが上がらなければ良いな、というタイプですね。
-:土曜日の(3歳以上500万下の)アルミレーナ(牝4、美浦・国枝厩舎)は降級になりますが、4走前以来の騎乗ですね。
圭太:勝った時は強かったですけどね。ゲートなど色々と課題はあるので、上手く行けたらいいなと思います。
-:先週のレース回顧もお願いしたいところですが、上位争いが多かったですね。目黒記念(G2)で6着のゼーヴィント(牡5、美浦・木村厩舎)はどうだったでしょうか。
圭太:やっぱり良い時と比べると、少し物足りなさは感じたのは事実ですね。それでも、ここまで走れているので、良くなってきた時ならもっと楽しみですね。
-:薫風ステークスで2着のイーグルフェザー(牡5、美浦・小笠厩舎)はテン乗りで2着。勝ったと思いましたよ。
圭太:初めて乗せていただいたんですけど、気難しさがある馬だなと思ったので、あんまり余計なことをせずに、というイメージ。一旦は先頭に出たのですが、相手が渋太かったですね。
-:青嵐賞4着のスマートルビー(牝5、美浦・尾関厩舎)は距離が延びましたが、いかがでしたか?
圭太:上手に走ってくれましたけど、最後の伸びは距離が堪えているかなというところがありましたね。それでも頑張ってくれているので、幅広くレースが出来る馬ですね。
-:欅ステークスのサンライズノヴァ(牡4、栗東・音無厩舎)は2着。またしても賞金加算とはなりませんでした。
圭太:ゲートで待たされて、いつもよりも遅れが大きかったのですけど、そんなに行くつもりもなかったので、あとはリズム良く。いつもなりの形で負けているので、何とも言えないですけど、力は上だなという感じですね。
-:やっぱり+10キロというのもありましたか。
圭太:どうだろうなぁ。走ってくれていますからね。
-:葉山特別のシンギュラリティ(牡4、栗東・松田国厩舎)は3着。こちらもテン乗りでしたね。
圭太:悪くはないものの、全体的にちょっと距離が短いのかなという感じはしましたね。
-:富嶽賞のキタサンガンバ(牡5、美浦・小笠厩舎)は4着。もうひと伸びがなかったですね。
圭太:前半でちょっと狭くなって、リズムを崩してはいるんですけど、使い込んでギリギリなところもあるのかなという感じで、少し間を空けるみたいですからね。
-:間隔もありますし、遠征もあってタイトでしたもんね。(4歳以上500万下1着の)フィスキオ(牡4、美浦・栗田徹厩舎)は追い切りに乗られていたのですね。見事勝利されました。
圭太:ええ、追い切りに乗りました。ゲートの出が悪いというか、中で行儀が良くないのでね。そんな中でスタートも出て、ペースも良い感じで、良いところに付けられたので、走ってくれましたけどね。
-:(3歳500万1着の)ジャスパーウィン(牡3、栗東・森厩舎)も勝利されました。
圭太:乗りやすい馬で、良い形でレースも運べたのでね。ちょっとギリギリのところがありましたけど、並んでから渋太かったですね。
-:昨日のさきたま杯(Jpn2)のベストウォーリア(牡8、栗東・石坂正厩舎)はいかがでしたか。
圭太:ちょっと全体的に忙しいレースになってしまった感じですね。成績的にもここ最近順調さを欠いてしまっていますが、それだけにもっとじっくり運べればよかったです。
-:ベストウォーリアとはJRA移籍以来のコンビになりますが、約6年目の今年、ダービーは2着という実績までこられましたね。今週から2歳戦も始まりますので、また引き続きというか、心機一転というか、来年のダービーに向けて、というところもありますね。
圭太:そうですね。本当は2歳戦にも乗りたかったですけれど。
-:また、来週に期待しております!ありがとうございました。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は6月8日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。