'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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反撃の秋競馬へ!京成杯AHはワントゥワンと初コンビ!
2018/9/7(金)
振り返ってみれば、8月はJRA移籍以降ワーストタイとなる月間4勝。決して好調とはいえないが、今週から中山&阪神開催が開幕。舞台も替わり、心機一転といきたいところだ。早速、開幕週を彩る京成杯オータムハンデキャップ(G3)にはワントゥワンとのコンビで参戦。追い切りも含めて、初めての騎乗だが、実績とハンデを思えばチャンスの感も。レース回顧も含め、今週も語ってもらった。
-:今週から競馬の暦の上では秋競馬。今週は中山での騎乗ということで、京成杯オータムハンデキャップ(G3)はワントゥワン(牝5、栗東・藤岡健厩舎)、紫苑ステークス(G3)はフィニフティが急遽回避ということで、アヴィオール(牝3、美浦・堀厩舎)と土日ともに重賞レースに騎乗されますね。いずれもテン乗りだけに未知数な部分は大きいところですが、開幕週でもあり、注目を集めると思います。
圭太:ワントゥワンは他の馬に騎乗して同じレースにも乗せていただいていたので、ある程度、印象はありますが、この馬の武器は末脚ですよね。持ち味のキレ味を活かした競馬ができればと思います。ただ、開幕週ですからね。最近はエアレーションの効果もあったりして、一概に開幕週だからといって前が止まらない馬場になるわけではありませんが、展開が向いてほしいところです。ただ、メンバーを見ると、比較的主張したい馬は多いのかな。そんな印象は受けます。
-:紫苑Sのフィニフティは残念ながらローズS(G2)に向かうそうですね。レースではコンビを組まれたことはありませんが、この馬は先日、乗られたそうですが、参考にどんな印象でしたか?
圭太:追い切りに以前乗せていただいたのですが、身のこなしなんかは素質を感じました。ただ、小柄な馬でもあり、どことなく成長の遅さなんかも感じましたね。同じ頃、お兄さんのステファノスなんかよりもそんな印象は受けました。
-:重賞はいずれもテン乗りですが、日曜の木更津特別のヨシノザクラ(牝5、美浦・萩原厩舎)はどうでしょうか?東京で乗られて2着がありましたね。
圭太:勝ちにいく競馬をすると、どうしても終いが甘くなってしまう面はありますが、僕はいいイメージのある馬なんです。どちらかといえば、中山よりも東京というタイプとみていますが、勝ち味に遅い反面、安定感がありますよね。
-:ちなみに、距離はどうでしょうか。
圭太:中山だったらマイルはちょうどよさそうですね。東京なら1400mでもよさそうですし。
-:土曜の鋸山特別にはセガールモチンモク(セ4、美浦・粕谷厩舎)がおります。ここ2走は乗られていませんでしたが、春は再三乗られましたね。
圭太:春はブリンカーをつけて良くなりましたからね。本質的に東京のほうがいいと思っていますが、ブリンカーをつけた上で、中山でどんな競馬をしてくれるか、楽しみです。
-:先週のレースでは、新潟記念(G3)のグリュイエール(牡6、栗東・藤原英厩舎)はレース映像、パトロール映像も観させていただくと、やはりレース前に懸念されていた課題を露呈してしまいましたか…?
圭太:そうですね…。折り合いを欠きましたし、僕はセダブリランテスの後ろの位置がいいところかと思っていましたが、予想以上にあの馬が溜めて乗っていましたからね。その動きで4角もカットされましたし、新潟の2000はだいたい遅くなるところ、あの馬は溜めていたのが意外でした。
-:やはり乗ったことのある馬とレースをすることはメリットでもあったり、デメリットでもあったりするのですか?
圭太:う~ん、人それぞれの感性もあるので、思うようにいかないのは当たり前ですが、今回は想定外でしたね。ただ、それにしても、折り合い面の課題は感じましたし、今回は失敗してしまったレースでした。
-:ちなみに、馬場はどうでしたか?土曜は金曜の大雨の影響も受けていたように思えますが、日曜はすっかり好天でしたね。
圭太:日曜はけっこう乾いていたと思います。こなせる馬にはこなせる程度だったかと。
▲戦前から折り合いを課題に挙げていたグリュイエール
-:たしかに10Rなんかは逃げて、インから押し切ってしまっていましたよね。その10Rのラベンダーヴァレイ(牝5、栗東・藤原英厩舎)はどうでしたか?
圭太:外枠で壁を作れず、折り合いを欠いてしまいましたし、馬場も普通なら外枠のほうがいい場所を選べそうなものですが、そんな状態でもなかったですからね。
-:前日のミュージアムヒル(牝3、美浦・古賀慎厩舎)は前回勝利に導き、昇級戦で3着でしたね。
圭太:馬場の影響はおそらくあったと思います。前回のほうが並ばれてからのもうひと踏ん張りがありましたが、昇級でもありましたからね。
-:キャンディケイン(牝3、美浦・鹿戸雄厩舎)もミュージアムヒルと同じく3歳牝馬でしたが、距離もこたえましたか?
圭太:それはありそうですね。レース前はこなせると思っていましたが、馬場もこたえたかもしれません。
-:それにしても、タンタフエルサ(牡3、美浦・国枝厩舎)は不可解でしたね。あそこまでレースに参加できないとは思いませんでした。
圭太:まだ3戦目なので未知数ですが、う~ん、馬に気持ちが乗っていなかったですね…。
-:僕としては、サラーブ(牝3、美浦・木村厩舎)がダートであれだけ走るとは意外でした。
圭太:芝が決してダメというわけではないのですが、クラスが上がるにつれてスピードで見劣りそうなイメージがありました。そういう意味では馬場が向きましたね。
-:3歳未勝利のレヴァンテ(牡3、美浦・萩原厩舎)は前走の結果を思うと、まさかのレースでした。
圭太:う~ん、まだ体力がつききってないのか、時計が速いのか、最後は苦しくなってしまいました。
-:オルフェーヴル産駒だけに気性的なものもありましたか?
圭太:乗っている分にはそういうところは感じられなかったですけどね……。
-:ひとまず、今週から開催場も替わります。意気込みといいますか、中山開催へ向けてのコメントもいただけますか?
圭太:夏競馬は結果を出せていなかったですからね…。秋競馬は話題的にも盛り上がっていきますし、そこに食い込んでいきたいです。やっぱり騎手にとって、勝つことが一番の目標ですから。前を向いて、一つ一つのレースに取り組んでいきたいです。
▲1週前撮影(美浦トレセン)
-:正直、JRAでリーディングをとられてからは、なかなかこれだけ苦戦したシーズンも珍しいと思います。
圭太:そうですね。その分、早く週末がやってこないかな、という思いが最近は余計にありますが、チャンスはいただいているのに勝てていないですから。そこをしっかり修正しないといけません。
-:ここ最近、これは高い確率で勝てそうだな、というレベルの馬とのめぐり合わせがなかなかない気もしますが…。故に致し方ない部分もあるのかと。
圭太:いやいや、いい馬に乗せてもらっていますから。しっかり結果を出さないといけないですね。
-:わかりました。何とか9月は挽回したいところですね。競馬とは関係ないところですが、今週は大変な一週間でしたね。
圭太:そうですね。今週も本来ならば、栗東で追い切りに乗せてもらおうと思っていたのですが、台風の影響でいけませんでした。結果、美浦では乗っていたんですけどね。そして、今日も北海道で地震があったり、これ以上被害が広がらないことを祈るばかりです。
-:次週は3日間開催。引き続きよろしくお願いします。
圭太:よろしくお願いします。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は9月14日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。