'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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3日間開催は中山で騎乗!土曜メインはサトノグランと再コンビ!
2018/9/14(金)
キッカケを掴む3日間となるか。秋競馬開幕週となった先週は5度の2着はあったものの、残念ながら未勝利に終わってしまったが、今週は3日間開催で23鞍を予定。見せ場の多い一週間となりそうだ。今回は久しぶりの?余談も含め、たっぷりと語ってもらった。
-:今週は3日間開催。3日間いずれも中山での騎乗が続きますが、ジョッキーの皆さんにとっても久しぶりの中山開催はどうでしたか?
圭太:今週もよろしくお願いします。秋競馬が始まり、トライアルもあり、盛り上がってくるシーズンですよね。気持ちもいい意味でたかぶってくるものがありますね。夏競馬もそれぞれの良さはありますが。
-:開幕週の中山の芝のコンディションはどうでしたか?
圭太:いい状態ですよ。開幕週ですからね、硬さもなく程よいですね。前残りになるのだろうとは思っていましたが、強風の影響もあって差しがきまったのかもしれません。向正面は向かい風で、ゴール前は追い風ですけどね。
▲今週は栗東トレセンで調教に騎乗していた戸崎騎手
-:重賞を制したルメール騎手も風の影響を口にされていましたね。
圭太:どこまで影響するかわからないですが、影響はあるのだろうとは思いますね。特に土曜は強かったですから。
-:今週の騎乗馬では、まずは土曜の話題をお願いします。7R(3歳未勝利)のスールマカロン(牝3、美浦・池上和厩舎)はどうでしょうか?前走の福島、以前も中山のマイルで騎乗されて、いずれも4着でした。
圭太:福島より走りやすいんじゃないでしょうか。距離は1800のほうがよかったかもしれませんが、枠順や展開次第でチャンスはあるのではないでしょうか。決め手を活かせるような条件になってほしいですね。
-:古作特別のヴェルスパー(牝3、美浦・加藤征厩舎)は夏の福島で2着惜敗。少し間隔はひらきますが、常に間隔が空きつつ使われていますね。
圭太:前走もいい競馬をしてくれていますからね。あとは当日の落ち着きですね。
-:やっぱり精神面が影響して、ゲートにも反映しているのでしょうか。
圭太:正直にいえばゲートの中の雰囲気はよくない馬ですね。今回も遅れる可能性はあるかもしれませんね。
▲2走前の稲村ヶ崎特別を好時計勝ちしたサトノグラン
-:レインボーSのサトノグラン(牡4、栗東・矢作厩舎)は2走前の東京で勝たれましたね。前走は別の馬に乗って先着されていました。
圭太:前走もこのクラスで接戦していますから。中山に替わる点もどうかとは思いますが、イメージ的にはこなせるんじゃないかと思うんですよね。
-:阪神でこの馬が勝った際も他の馬に乗っていましたよね。
圭太:そうですね。東京で勝った時も時計こそかなり速かったですが、あんまり前が残ったりするような馬場じゃなければ、ここでもやってくれるんじゃないかと思います。
-:先週のレース回顧もお願いします。京成杯オータムハンデキャップ(G3)はワントゥワン(牝5、栗東・藤岡健厩舎)に騎乗。惜しくも2着で馬にとってはサマーシリーズ制覇となりませんでしたが、初騎乗の感触はいかがでしたか?
圭太:僕のイメージでは末脚がキレる印象。そこまでにどうもっていくか、気をつけて乗ろうと思っていました。先生(藤岡健調教師)からの指示も後ろからというより、ある程度の位置につけてほしいということ。今までなかなか差し届いていない結果が続いていましたからね。
僕も意識はしていたのですが、今までそうした競馬が続いていましたからね、どうしても行き脚がつかず後ろからのレースになりましたね。もうああなったらドンと構えて、末脚に懸ける競馬になりましたけどね。
-:現状のやれる力は出し切ったのかな、とは客観的にみていて思いました。
圭太:まあそうですかね…。ただ、自分で競馬を組み立てているレースではないので、なんとも判断し辛いところですけど。
-:夏場はかなり使い込んできましたが、状態はどうでしたか?
圭太:初めて乗ったので比較はありませんが、疲れているような素振りはみえなかったですね。
-:中山のマイルなので一般的には外枠は不利といわれますが…。
圭太:前から言っている通り、馬によりけりですけど、マイルの外枠は不利だと思っていないのでね。むしろ競馬はしやすいくらいですよ。
-:先週の日曜最終のアグネスエーデル(牡6、栗東・小崎厩舎)は惜しくも2着でしたね。
圭太:先生からも「スタートは抜群にいいけど、先にいってしまうと最後が甘くなってしまう」と聞いていました。「届かないくらいの感覚で中団くらいから競馬をしてくれれば」ということも言われていましたし、そんなイメージで乗りましたね。前を西田さんの馬(ソルプレーサ)が粘っていたので、これを交わせれば、と思ったものの、後ろからモアニケアラに勢いのいい脚で差されてしまいました。
-:指示どおりといいますか、思い描いていた通りの競馬も、勝ち馬がその上にいかれてしまいましたかね。
圭太:もう少し下げたら、もっといい脚を使えたかもしれません。そこはやってみないとわからないところですけどね。
-:ヨシノザクラ(牝5、美浦・萩原厩舎)は2着でしたが、堅実ですね。
圭太:勝ちにいくと甘くなってしまうタイプですが、状態もよかったですし、前回乗せていただいた時よりよかったくらい。勝つことはできませんでしたが、軽ハンデも好材料でしたね。
-:テンワールドレイナ(牝3、美浦・矢野英厩舎)も中山マイルで2着。先週は中山マイルで外枠も多かったし、惜しい競馬も多かったです。
圭太:そう言われてみればそうですね。馬自身はなかなかいい馬だなと思いましたね。東京のようなコースよりも中山が合っている印象は受けましたよ。
-:未勝利戦ではいい勝ち方をして、その後、個人的に注目していたのですが、なかなか力を出しきれないレースが続いていました。テン乗りですが、その理由はわかりますか?
圭太:中山を走らなかったからでしょうね。やっぱり東京だと甘くなってしまうかもしれないですね。コース適性でしょう。
-:紫苑ステークス(G3)のアヴィオール(牝3、美浦・堀厩舎)もテン乗りでしたね。少し力んでいながら6着ということを考えても能力をみせてくれたのかなと思います。
圭太:ええ、フットワークが軽く、身のこなしもいい乗り味の馬でしたね。前走がある程度、前につけて最後は甘くなってしまった、といったことも聞いていたので、前に行くよりはどこかで溜めを作りたいと思っていました。いい形になったかと思いましたが、1~2コーナーで外の馬にぶつけられる感じで、馬も気が入りながら走ってしまいました。最後もその分も影響したのかと思いますけど…。そんな中でも我慢はきいていたので、頑張ってくれたと思いますよ。
-:前回は札幌で使われて、同世代の馬が強い勝ち方をしている一方、少し見劣る結果だったと思います。それを考慮したら、力のあるところを再確認できるレースだったとは思いました。
圭太:能力はありますね。ただ、距離がもう少し短いほうが決め手は活きてくるかもしれませんね。
-:セガールモチンモク(セ4、美浦・粕谷厩舎)はどうでしたか?ひと叩きして上がってくると思ったのですが。
圭太:もともと気性が難しくて、馬場入りもうるさい面もあるのですが、ちょっと今回は大人しいんですよね。聞けば前走もそうだったみたいで、それがいい方に出ているのかは何とも(わからない)…ですけど。直線まではいい形で運びながらも弾けっぷりがもう一つなんですよね。それが距離なのか、落ち着きがあったからなのかわかりませんが、いい頃に比べると物足りなさはありましたね。
-:この馬にあんまり乗られていない時代、中山は得意な印象だったんですけどね。
圭太:僕も中山で乗っていますし、安定はしているんですけどね。結局、東京の1600のほうがいいなと思いますし、次もう一度みてみたいところですね。
-:もともと使いつつといいますか、使ってもへこたれない馬でもありますよね。
圭太:そうですね。ずっと使っても元気な馬ですし、使いつつなのかもしれません。
-:アポロキングダム産駒自体、休み明けがもう一つという傾向があるようですね。今回は休み明けじゃないですけど。
圭太:徐々にスイッチが入ってくるのかも、ですね。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※日曜、月曜の話題は9月15日(土)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。