'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
月曜は1日5勝の固め打ち&秋華賞はランドネとのコンビ!
2018/10/12(金)
年末までノンストップのG1(Jpn1)シリーズが開幕。今週の秋華賞を皮切りに、暮れのホープフルステークスまでG1シリーズが続く。今年の秋華賞はランドネとのコンビで挑む戸崎騎手だが、次週は菊花賞の騎乗も控えており、2週連続で京都に遠征することになる。また、先週は1日5勝の固め打ち。これまで幾度となくコンビを組んできたサンライズノヴァとも勝利を挙げ、次戦の武蔵野Sへ向け弾みをつけた。
-:それでは、今週もよろしくお願いします!まず、週末の騎乗馬の話題から伺っていきたいのですが、土曜東京4R(2歳新馬)のグランソヴァール(牡2、美浦・尾関厩舎)は追い切りに乗られたようですね。
圭太:いい雰囲気ですね。馬格もあって、少しトビは大きいのでそこを上手く競馬ができれば。それだけに、東京コースは合いそうですね。仕上がりとしても高いレベルだと思いますよ。除外で1週延びましたから。
-:7R(3歳上500万下)のパルクデラモール(牝3、美浦・鹿戸雄厩舎)は未勝利勝ちに導いた馬ですね。
圭太:レースの上手な馬で、昇級してやってくれそうですね。距離も結果的にはこれくらいでいいのではないでしょうか。昔は長めで走っていたようですが、僕が乗せてもらった時はハミとりもよくて、距離も縮めましょうか、という話はさせていただきました。
-:白秋ステークスのアッラサルーテ(牝5、美浦・手塚厩舎)はちょっと久々の騎乗ですね。
圭太:東京のこの条件も合いますし、持ち味を引き出せればいいですね。芝は差しもきいていますが、硬すぎず、クッションもきいています。時計は速いですね。
-:最終レース(3歳上1000万下)のセガールモチンモク(セ4、美浦・粕谷厩舎)は1400になりますね。距離短縮が気になるところです。
圭太:馬が落ち着いてきたというか、昔の切れ味が薄れてきた印象はあるのは本音です。東京の方がいいタイプなので、コース替わりで前進してほしいですね。若干短い気はありますけどね。
-:日曜は京都に向かいますね。紫菊賞のロジャーバローズ(牡2、栗東・中竹厩舎)はどうでしょうか?新馬戦は節目の勝利で、記念品クリアファイルのモデルになった馬でもあります。
圭太:記念の900勝を達成させてもらった馬ですね。新馬戦はいい勝ち方をできたと思いますが、2戦目でどう成長しているか、楽しみですね。
-:そして、秋華賞(G1)ではランドネ(牝3、栗東・中竹厩舎)に騎乗されます。
圭太:前目でしぶとい競馬が持ち味だと思っています。馬は立派で、牝馬ながら大きいですね。躍動感のある走りをしますし、今後も伸びしろのある馬だと思います。
-:調教はけっこう動いていた印象がありましたね。
圭太:そうですね。状態はいいのではないでしょうか。やっぱり先行して粘り込むような競馬がいいと思っています。枠もこの馬にはよさそうですからね。相手は強いですが、ベストを尽くしたいです。
-:先週といいますか、今週は3日競馬で月曜は5勝。中でも、これまで何度も話を伺っているサンライズノヴァ(牡4、栗東・音無厩舎)は連勝することができましたね。
圭太:返し馬も落ち着いていましたし、状態もよく感じました。ゲートに入ってからは普段から中での気配はよくないのですが、いつも以上にうるささはありましたね(苦笑)。思っていた以上に出遅れてしまいました。ただ、想定内ではありましたから、慌てず、いつもの終いを活かす競馬に徹しました。
-:落馬した馬がおり、外を出したいこの馬にとってはやり辛い状況になったなとリアルタイムでは観ていて思いました。
圭太:いや~あれは誤算でしたよね。空馬なので、動きも読めないですし、どうしようかと思っている間に内に閉じ込められて…。上手いこと進路も空いて、よかったですね。
-:あれは内に「行った」のではなく、閉じ込められたのですね。少し惜敗の多いキャラクターでもありますが、今回は勝ちきれましたね。
圭太:先行馬も揃っていましたし、流れもよかったですかね。斤量も普段より軽かったですし。
-:馬場はどうでしたか?以前は水分を含んでいたほうがいいとおっしゃっていましたよね。
圭太:多少水分も含んでいてちょうどいいのかなと。あまりパサパサだと前残りも多くなりますからね。
-:おそらくファンは乾いているほうが差しはきくと思っているはずです。
圭太:そうですか?まあ僕のイメージですけどね。
▲グリーンチャンネルCのプレゼンターを務めた筧美和子さんと記念撮影
-:ルックトゥワイス(牡5、栗東・藤原英厩舎)は惜しくも2着でしたね…。
圭太:返し馬では今までで一番と感じたほど。気合い乗りがよくて、これなら、とは思いましたが、その分、ゲートで出てしまいましたね。もともとゲートではうるさかったのが、ここ最近は大人しくなっていたんですけどね。ゲートで遅れたのは痛いですね。
-:コース的に東京の2400mはやりやすそうでしたけどね…。イストワールファム(牝4、美浦・古賀慎厩舎)は勝利されました。
圭太:以前、乗せていただいた時も安定して、レースもしやすくなっている雰囲気は感じました。手応えも十分でしたよ。
-:テン乗りのインシュラー(セ4、美浦・宗像厩舎)でも勝たれました。
圭太:初めて乗せていただいて、レース映像を事前に観たところ、掛かるといいますか、ハミに乗ってくるようなところを受けました。その点、折り合いには注意して乗りました。スタートはよくて、リズムよく前々でいけたので、最後もしぶとく押し切れましたね。
-:新馬のダノンキングリー(牡2、美浦・萩原厩舎)は追い切りにも乗られていたようですね。
圭太:正直、走ってみないとわからないところはあったのですが、レースも上手で芝にいって良さがでましたね。先々はどんなタイプは未知数ですが、まだ緩さもあるので、そこは成長次第ですかね。
-:アントリューズ(牡2、美浦・栗田徹厩舎)は新馬から一変しましたね。
圭太:追い切りから動きもよかったですし、違うレースをしてくるだろうと思っていた通りでした。気になっていたノドも問題なかったですし、新馬戦当時は身体も重たかったですからね。
-:サトノアーサー(牡4、栗東・池江寿厩舎)と挑んだ毎日王冠(G2)はどうでしたか?今回は良馬場でのレースとなりましたね。
圭太:スタートがね…。二の脚もつかず、思っていたよりも後ろからの競馬になってしまいました。休み明けの分もあるのか、伸びあぐねた感はありましたね。
-:イーグルフェザー(牡5、美浦・小笠厩舎)は強い相手もいて、正直ビックリしました。
圭太:久しぶりのほうがレースっぷりがいいと聞いていました。休み明けで乗るのは初めてなので、そのあたりは何ともわからなかったのですが、スタートから位置取りもよかったですね。そこが勝因かと思います。
-:確かに使っていっていいイメージはありませんでした。距離は結果的にどう感じられますか?
圭太:この行きっぷりなら1400でも問題ないですね。状態も少なからず左右しそうなタイプですね。
-:フィスキオ(牡4、美浦・栗田徹厩舎)は休み明けがどうかと思っていましたが、降級とはいえ、2着に食い込みましたね。
圭太:まあ前回がハマったのかと思いましたが、よかったですね。ただ、叩いたほうがいいタイプなのはいえそうです。巻き返してくると思いますよ。
-:ウインレフィナード(牡2、美浦・畠山吉厩舎)は常にやられてしまうところもありますが…。
圭太:今回は使ってきている分、いくらか反動もみられました。ただ、毎回崩れずにしっかり走ってくれますからね。立派な馬だと思います。
-:アモーレミオ(牝3、美浦・勢司厩舎)は快勝でしたね。
圭太:内枠もあって、位置取りがポイントになりました。いつも後ろからでしたが、前目のいいところでした。折り合いも許容範囲内であり、いい脚で伸びてくれましたよ。状態は常にいいレベルを維持してくれますが、今回は落ち着きもあって、そこがよかったと思いますよ。
-:ちなみに先週は凱旋門賞も行われましたね。
圭太:日本からはクリンチャーも出ていていたわけですから、がんばってほしい思いはありました。他には、エネイブルは連覇が懸かっていましたし、ライアン(・ムーア)の姿もあって、そのあたりは注目していました。エネイブルのデットーリは自信をもって乗っているのでしょうけど、完璧に乗ってこられますね。僕も現場にいったことがないので、何ともわかりかねるところはあるのですが、いつか乗る機会があれば、と思います。
-:沢山勝たれている分、矢継ぎ早な内容でしたが、今週もありがとうございました!次週は交流重賞もあれば、菊花賞もあります。引き続きよろしくお願いします!
圭太:よろしくお願いします。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は10月19日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。