'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
11月4日時点1555勝
狙えJBC初勝利!年間100勝まであと3勝!
2018/11/2(金)
ダートの祭典で一発なるか。戸崎騎手にとって、地方競馬在籍時代から意外にも縁のないタイトルの一つがJBC。過去にはあのフリオーソとのコンビで挑むも最高着順が2着に終わっている。今年はスプリント&クラシックの2戦に騎乗するが、一矢を報いたいところだ。また、年間100勝にもあと僅か。達成を期待したい。
-:今週は木曜が門別での騎乗、お疲れ様でした。日曜にはJBCも控えているだけに、そちらの話題を伺いたいところですが、天皇賞(秋)は残念ながら放馬のアクシデントでしたね。
圭太:馬場入りが思ったよりもうるさくて…。しかし、騎手としては乗っていないといけませんから、関係者やファンには申し訳ないという一言です。
-:パドックの序盤ではそこまでうるさい様子もなかったのですが。
圭太:そうですね。
-:どの辺から煩くなったのですか?
圭太:最後出しで、ちょっと待たされてから段々と雰囲気が変わってきましたね。
-:馬にはケガはなかったようですが、念のために、ジョッキーは大丈夫でしたか?
圭太:はい、それは問題ないです。
▲5年前、ネロの新馬戦に騎乗する戸崎騎手(2013年8月)
-:そして、週末は東京、京都での騎乗。JBCスプリント(Jpn1)にはネロ(牡7、栗東・森厩舎)で挑まれますね。
圭太:正直にいうと、この枠は少し危うさがあるかもしれないですね。モマれ弱さもないわけではないだけに、もう少し外が良かったなというところです。ただ、とはいっても、これだけのメンバーで前が速くなることは違いないですから。外過ぎてもロスはありますよね。
-:しかし、ここ最近は条件さえ整えば、安定はしていますね。
圭太:そうですね。浦和のオーバルスプリントでは距離、コーナー4つなどで力を出しきれなかったですが、前走も気の悪さをみせながらも惜しい競馬はみせてくれました。京都こそ久しぶりのようですが、対応してくれるんじゃないかと思います。
-:流れは速くなりそうなメンバーですね。
圭太:近くに速い馬もいますし、そことの兼ね合いになってきそうですね。ペースは速くなりそうですが、上手く対応できれば。どんな競馬場にいっても大崩れなく頑張ってくれているので。
-:JBCクラシック(Jpn1)ではマイネルバサラ(牡5、美浦・松山将厩舎)にテン乗りということですね。
圭太:追い切りに乗せていただいたのですが、ダートの馬ながら軽い走りをする印象です。どおりで不良馬場で2勝しているのだな、と。そういう意味では、地方よりも京都の馬場の方が合いそうですね。
▲マイネルバサラには先週、今週と騎乗
-:土曜の京王杯2歳ステークス(G2)ではココフィーユ(牝2、美浦・斎藤誠厩舎)に騎乗。追い切りには乗られていなかったようですね。
圭太:ええ、この馬が勝った前走では、2着馬に乗せていただいていて「いい脚をもっているな」という印象は受けましたね。少数精鋭のレースですが、いい結果を残したいですね。
-:土曜最終レース(3歳上1000万下)のダノンフォワード(牡3、栗東・藤原英厩舎)は中京で乗られていましたね。
圭太:力のある馬ですね。ただ、レースにいってアテにし辛いところがあるように、そんな面を出さないように意識したいです。
-:前走は一旦沈んだかと思ったところから盛り返す競馬。距離はどうですか?
圭太:距離というよりは自分のペース、展開に持ち込んで、気を抜かないか。そこが重要ですかね。
-:7R(3歳上500万下)のサンチェサピーク(牡4、美浦・加藤征厩舎)は前走で勝利も、かなりの久々ですね。
圭太:能力的にはこのクラスで上位です。ただ、追い切りに乗った感じでは、ちょっと太いかな…と思います。
-:4R(2歳未勝利)のエトワール(牝2、美浦・牧厩舎)、2Rのグランソヴァール(牡2、美浦・尾関厩舎)と初勝利が期待されますね。
圭太:エトワールは2度連続で不利を受けていますから、今回こそは、というところです。距離も問題ないと思いますよ。グランソヴァールも前走は内枠からで窮屈な競馬でした。新馬前の追い切りからいい感触がありましたし、改めて期待したいです。
-:先週のその他のレースでは、土曜最終(3歳以上500万下1着のフィスキオ)は休み明け2走目になりましたが、春より良くなっているのかなと思いました。
圭太:おそらく精神的に良くなっているんだと思いますね。ゲートでちょっとソワソワする馬ですけど、そこだけ気を付けて、普通に出てくれれば、という感じでした。良いレースが出来ましたね。
-:(2歳未勝利3着の)マイディアライフ(牡2、栗東・高橋忠厩舎)はやっぱりちょっと距離が短いのかなと思いました。追って、追ってという感じでスパッと切れる感じではなかったですね。
圭太:そうですね。もう少し長い方が良いかな…ということは伝えましたけどね。
-:(3歳以上500万下3着の)レーヌダンス(牝3、美浦・矢野英厩舎)はいかがでしたか?
圭太:状態も良さそうで、良いスタートが切れて、リズム良く行けたんですけど、久々もあったのか…。でも、良い走りが出来ましたね。
-:(国立特別4着の)アイスフィヨルド(牡3、美浦・武藤厩舎)はいかがでしたか?内枠でしたが、今回は差す形に。
圭太:1400だとああいう形でも良いのかな、という感じはしたんですけどね。1400なら溜めても伸ばせますね。1600だと来られるとは思うんですけど、ああいう形の方が決め手は活きてくると思うので、あと一押しですね。
-:馬場的にはあまり内外の差はなかったですか?
圭太:内は荒れているけど、大きな差はないと思いますね。その前の週は全然差しが決まらなかったので、そこからイーブンになったといいますか。
-:そう言っていましたね。今週は割と差しもありましたからね。(神無月S5着の)クライシス(牡5、栗東・鮫島厩舎)はどうでしたか?
圭太:ちょっと行きたがるところを見せていましたけど、昇級緒戦でちょっと外を回りながらも頑張ってくれた気はしますね。
-:(2歳未勝利2着の)サピアウォーフ(牝2、美浦・斎藤誠厩舎)はあとちょっとでしたね。
圭太:もう少しですよね…。でも、前走よりも気持ちも入って、ゲートもスムーズに出てくれて、良い感じで来ているので。
-:(3歳以上500万下3着の)タイキメサイア(牡3、美浦・高橋祥厩舎)は東京替わりでしたが…。
圭太:良い感じでは行けているので、もう一息というところでしたけど、ちょっと距離がキツいのかもしれないですね。それか、東京だったら、出遅れて後ろから行っても。結果的には中山の方が良いかもしれません。
-:(紅葉S5着の)サトノグラン(牡4、栗東・矢作厩舎)の今回はマイル戦でしたね。
圭太:前走も前々走もちょっとピリッとしたところがなくて、最後に脚を使わせたいと思いました。溜めて内を狙っていきましたけど、シッカリ反応して伸びてくれたので、次は良い感じで伸びてくるんじゃないかと思います。距離起用に関しては、なぜマイルだったか分からないですけど、今回のレースが次へ活きてくれれば。
-:今のレース(三峰山特別5着のダイワインパルス)はいかがでしたか?
圭太:昔はゲートの位置取りが悪くなって、という感じだったんですけど、ゲートもスムーズに出てくれて、良い感じで行けました。ただ、前の馬がバテて、ちょっと外に出したら、内を空けるような走りをしていて、外を回るような形になっちゃって、それが痛かったですね。
-:先週は結果こそ神のみぞ知る、ですが、天皇賞は残念な結果でした。
圭太:発走出来なかったというのは、迷惑を掛けてしまい、残念でした…。
-:最後に伺いたいのが、この前、ベストウォーリア(牡8、栗東・石坂正厩舎)が引退したと思うんですけど、沢山乗ってこられた馬なので、一言いただければと思います。
圭太:たくさん乗せていただいて、思い入れのある馬ですね。どこかで中央のG1を勝たせたかったなという気持ちがずっとありましたし、それも惜しいところまで来ていたので、悔いが残るところですね。本当に歳をとっても、しっかり走ってくれる馬で、乗りやすかったですし、僕はお世話になりましたね。
-:去年は7歳でもフェブラリーSで走りましたからね。
圭太:自分の得意なコースでは安定して走ってくれる真面目な馬でした。
-:来週は福島でも騎乗とのこと。引き続き頑張ってください!
圭太:ありがとうございます。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は11月9日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。