'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
4ヶ月ぶりエポカドーロは5着&今週は土日中山で14鞍に騎乗!
2019/3/1(金)
エポカドーロと挑んだ中山記念。初めての年長馬との対戦で能力差が鍵にはなったが、5着。同世代の馬たちに先着を許したものの、決して得意とはいえない高速馬場を思えば、大阪杯へ向けて一定のメドはたったといえそうだ。残念ながら今週は重賞での乗り鞍がないが、土日いずれも中山での騎乗。奮闘を期待したい。
-:先週はエポカドーロ(牡4、栗東・藤原英厩舎)と中山記念(G2)に挑まれました。5着という結果でしたが、感じられた部分があれば教えてください。
圭太:まず、状態はよかったですね。先生ともレース前には話をして、競馬のプランを考えましたが、イメージどおりには運べたと思います。結果はあの着順でしたが、速い時計、馬場への対応力がもう一つ差があったかなというのが本音ですね。
-:前にいて先着された馬はかなり軽い斤量でしたし、馬場が速いとはいえ、勝ちタイムも速い決着でしたね。
圭太:そうですね。土曜から速いと思いましたし、硬さも感じたほどです。ただ、昨年の秋よりは状態も持ち直していると思いましたし、条件次第では巻き返せると思います。
-:前にいた馬たちの大半は上がり33秒台の脚を使っていましたし、その中でも健闘したレースではないかと思います。今週は重賞の騎乗予定馬が除外だったり、ということで土日ともにメインレースでの騎乗はありませんが、土曜の上総ステークスではベディヴィア(牡5、栗東・野中厩舎)に騎乗されます。昇級初戦ですね。
圭太:前走はいい競馬でしたね。ペースは速くなかったのですが、後ろからの競馬でハマってくれました。今回もペースは流れない方がいいんじゃないかと思いますし、条件はつきまといますが、やれてもいいんじゃないかと思います。
-:日曜は7Rのアークカンパネラ(牡4、美浦・矢野英厩舎)、4Rのジュンアサヒダケ(牡3、美浦・高柳瑞厩舎)あたりが直近で乗られていますね。
圭太:アークカンパネラは前走、久々に乗せてもらって成長も感じました。この条件で改めて見直したいですね。ジュンアサヒダケは前走で余裕のある勝ち方をしてくれたように、能力はあると思います。精神面の課題はある中で、どれだけ対応してくれるか、ですね。
-:先週のその他のレースでは、ルッジェーロ(牡4、美浦・鹿戸雄厩舎)はこの条件で乗るのは2度めでしたが、結果、大荒れのレースでしたね。
圭太:ちょっと出負けして、追いかける形になってしまったのが痛かったですね。そこで最後の脚を使ってしまいましたし、出負けした分、イメージしていた進路もとれなかったです。
-:エトワール(牝3、美浦・牧厩舎)は昇級して3着。福島でも走ってはいましたが、中山にも対応しましたね。
圭太:コースは大丈夫でした。ただ、一度、使った方が良さそうな走りには感じましたね。次はいいんじゃないかと思います。
-:パルクデラモール(牝4、美浦・鹿戸雄厩舎)は距離を短縮しましたが、4着でした。
圭太:もう少しテンに出していきたかったですね。ただ、大外枠でしたし、あまり外を回されるのもどうかというところ。中山の1800mですからね。やはり枠に尽きます。
-:ボスジラ(牡3、美浦・国枝厩舎)は5着でした。上位勢は差してきてはいるものの、それを上回る勢いではなかったですね。
圭太:最後を伸ばすイメージで乗りました。ただ、勝負どころで差してきたというよりはバテた馬を交わしている感じで、思ったほどの脚を使えなかったですね。
-:ブライティアセルバ(牝3、美浦・武井厩舎)は2着でしたが、勝ち馬も強かったですね。
圭太:乗りやすかったですし、身体のこなしもいいですね。少しチャカつくところがあるので、落ち着きはほしいですが、4コーナーでは勝ったかなと思ったほど。勝ち馬は遊びながら走っていたくらいでしたね。
-:ジャパンスウェプト(牡3、美浦・古賀慎厩舎)は新馬に続いての連勝となりました。
圭太:先週も話したとおり、テンションが心配でしたが、落ち着いていていい雰囲気でしたよ。スタートはにぶかったですが、能力を感じていたのでじっくりといきました。
-:しかし、中山ダート1200m戦に使うほどにしては小柄な馬ですね。
圭太:そうですね。でも、パワーもあって馬体重を感じさせないところはありますよ。
-:エンプレス杯(Jpn2)はミッシングリンク(牝5、美浦・斎藤誠厩舎)で4着。休み明けでもありましたね。
圭太:休養期間も長かったですからね。それに小回りではありますが、距離も若干長いイメージです。昨年は外を回らされる形でしたが、内で上手く競馬はしてくれているので、頑張ってくれたと思いますよ。
-:今週は重賞での騎乗や騎乗経験のある馬も少ないので、読者からの質問も最後に織り交ぜていきたいと思います。まず、「今週から女性騎手の減量ルールが適用されますが、斤量の差は大きいですか?」とのことです。
圭太:平場の3kgは大きいですね~。1kgだったら大差はないと思いますが、3kgだったらどんな条件でも差があると思いますよ。
-:ちなみに、女性騎手に限らず、斤量の差を感じさせる条件ってありますか?短距離、長距離…僕は逃げ・先行馬は余計に差がでると思っています。
圭太:前を行く馬には有利でしょうね。軽さを馬が感じるはずです。乗っている方も、ね。繰り返しになりますが、条件は3kgならどこでも、でしょうね。今後、女性騎手が増えてきたら、活躍の場が増えてきそうですね。
-:「レース前、平日に下調べしたり、新聞を読むこともあると思います。どんなところに注目されますか?」という質問はどうでしょうか?
圭太:長年やらせてもらってきているので、大体どんな馬かは把握できていますが、特に乗ったことのない馬ならチェックはしますね。どんな走りのタイプか、競馬の組み立てはどうすべきか。新聞ではどの馬が人気を集めそうか、大体の展開のイメージですからね。そこらへんはファンの皆さんとそこまで大差はないかもしれません。レースの復習はグリーンチャンネルでパトロールビデオがまとめて放送される番組が出てから、改めてやりますね。全体的にどんな流れだったか、他の馬はどういう進路取りをしていたか、などでしょうか。もちろんレース直後も調教師の方などとレース映像を見ながら振り返りますけどね。
-:ちなみに、フィスキオ(牡5、美浦・栗田徹厩舎)の2走前の時は普段よりパトロールビデオを見直している姿が印象的でした。理由はありますか?
圭太:あれは最終レースでその後の時間があったからです(笑)。
-:そんなことでしたか(笑)。「フリオーソ産駒がここのところ活躍しています。父と比較して似ている部分はありますか?」とのことです。
圭太:う~ん、わからないですね。というのもあまり乗っていないんですよね。
-:確かに活躍しているフリオーソ産駒は関西馬が多いですね(苦笑)。最後に、直近の遠征情報があれば教えてください。
圭太:シャケトラ(牡6、栗東・角居厩舎)の阪神大賞典(G2)ですね。それくらいかな…。交流なら遠征ではないですが、アポロケンタッキー(牡7、栗東・山内厩舎)のダイオライト記念(Jpn2)ですね。
-:今週は2日続けて交流での騎乗もありました。今後も重賞以外の交流競走での騎乗はありそうですか?
圭太:あると思います。ただ、枠に入るかどうかもあるので、未知数ですね。
-:「ここ最近は平日も忙しい」との話しでしたが、交流があるとより忙しくなりそうですね。
圭太:ただ、そこは騎手という職業なので、レースで乗ることが本業ですからね。バランスとりながらやっていくだけです。
-:次週もよろしくお願いします!
圭太:ありがとうございました。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は3月8日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。