'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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阪神大賞典はシャケトラに騎乗!「初勝利」なるか?
2019/3/15(金)
「再度」の騎乗機会をモノにできるか。日曜に行われる阪神大賞典ではシャケトラとコンビを組む戸崎騎手。馬は前走のアメリカジョッキークラブカップでは長期休養明けを制す、劇的な復活を遂げたが、ご存知の通り、戸崎騎手は病気により、急遽の乗り替わりになった経緯がある。1週前追い切りは栗東トレセンに駆けつけ、感触は掴んでいるジョッキーは前走に続く騎乗依頼にこたえることができるのか。また、自身にとっても「マラソンレース」で初勝利となるか、注目の一戦を中心に語ってもらった。
-:今週は土曜日が中山で、日曜日が阪神となりますけど、注目は阪神大賞典(G2)のシャケトラ(牡6、栗東・角居厩舎)ですね。先週、追い切りに乗られたと思いますので、改めてその感触はいかがだったでしょうか。
戸崎圭太騎手:率直にいい馬でしたね。フットワークも良くて、全身で走っているような感じがすごく良かったですし、力も感じました。長期休養明けで(AJCCを)勝てたのはやっぱり能力かなと思いますね。状態も良さそうですので、いい雰囲気で臨めそうです。
-:やっぱりこれだけの実績を感じる走りだった訳ですね。
圭太:そうですね。
▲6日、シャケトラの追い切りに騎乗する戸崎騎手
-:3000mという距離になっての折り合いは、今のところ、心配には感じなかったですか。
圭太:ええ。というのも、追い切りは追い切りと馬も分かっていると思うので、すごく乗りやすかったですし、レースに行くとやっぱりテンションも上がるみたいなので、その辺はまた改めて感じたいと思いますし、気をつけて臨みたいです。
-:幸い今回のメンバーを見ると、割と先行馬もいるのかなという気は受けたのですが、いかがでしょうか?
圭太:そうですね。長い距離というのは行く馬がいるので、そんなにドスローというか、多少流れますよね。
-:去年のステイヤーズSのようなことはなさそうですね。ただ、前回のアメリカジョッキークラブカップはインフルエンザで乗れなかったにも関わらず、今回乗れるというところは意気に感じる部分もあるのでしょうか。
圭太:これはとても嬉しいことですし、こういう状況でも乗せていただいたので、結果を出すしかないなという感じはしますね。
-:悪いデータを教えて良いですか。3000m以上の距離では、人馬ともにまだ勝っていらっしゃらないんですよね。
圭太:ああ~そうか、そうですね。
-:と言っても、あまり乗っていなかったと思うので、今回初勝利となれば良いですね。
圭太:はい。あまり(3000m以上の長距離戦は)ないですからね。
-:確かに2013年からJRAに移籍されていますけど、まだ20回(17戦2度の2着)も乗っていらっしゃらなかったので、条件自体かなり少ないですからね。
圭太:多分、3000mを超えると、適性が出てくると思うのでね。そんな馬もなかなかいないと思うんですよね。
-:ここ最近はそういう傾向も強いのかなと。スピード寄りになりつつありますからね。
圭太:2400、2500mくらいだとまたちょっと違いますが、また(距離が)延びるので、そうなると2400で勝てる馬でも、3000mではまた違ったり、ということがあるのでしょね。
-:よりステイヤーというのが少なくなっている感じがありますが、その点この馬に関してはいかがですか。
圭太:やってみないと分からないですね。まずは適性がなければ、ちょっと何ともそこは分からないですね…。ただ、重賞を勝てるチャンスには間違いないですし、乗せていただく恩にこたえたいですね。
-:同じく日曜日の阪神最終R(4歳以上1000万下)のザクイーン(牝5、栗東・角居厩舎)は同じ角居厩舎といいますか、シャケトラの妹ですね。追い切りに乗っていらっしゃいましたね。
圭太:何か気難しさがありそうな感じですね。ここのところ二桁着順が続いているようですが、条件も変わるので、変わり身があればいいですね。
▲栗東坂路でザクイーンの追い切りに騎乗
-:但馬Sのレイズアベール(牝5、栗東・吉村厩舎)はいかがだったでしょうか。
圭太:こちらも追い切りに乗せていただいたのですが、レイズアベールはちょっと乗り難しい感じがありますね。
-:土曜日ですと、先週伺いましたが、未勝利戦のイデアノオモイ(牝3、美浦・柄崎厩舎)は前回の最後の脚は良かったですけど、もうちょっと競馬慣れが必要ですかね。
圭太:競馬慣れというか、付いていってあの脚が使えるかどうかですね。
-:2R(3歳未勝利)のエクリリストワール(牡3、美浦・田中博厩舎)という馬には新馬戦(2着)で乗られていますが、こちらはいかがですか。
圭太:能力はありますからね。ダートに関しては何とも未知数ですが…。
-:6R(3歳未勝利の)イサク(牡3、美浦・岩戸厩舎)はいかがだったでしょうか。
圭太:未勝利は勝てる素質はあると思いますけど、勝ち身に遅いタイプかなという気はしますね。追い切りの雰囲気なら順調にきているとは思いますよ。
-:レース回顧もよろしくお願いします。ダイオライト記念(Jpn2)のアポロケンタッキー(牡7、栗東・山内厩舎)は2着でしたが、いかがだったでしょうか。
圭太:前走よりも調子の良さを感じましたね。レース振りもここ最近では、一番良い内容だったと思いますよ。ただ、相手(チュウワウィザード)が強かったので、負けはしましたけど…。
-:距離的にもやっぱりこれくらいあった方が、コーナーのキツい川崎よりも船橋の方が、という感じですかね。
圭太:別に、今回の状態だったら走れたと思うんですけどね。
▲水曜の船橋では乗り替わりで騎乗となった交流競走で勝利
-:先週のレースですと、日曜日から振り返るとアネモネSのレッドアステル(牝3、美浦・国枝厩舎)は2着でしたけど「成長途上かな」と言っていた通り、追い切り映像なんかを観ても、かなり小柄な馬のような気がしたのですが。
圭太:そうですね。やっぱりカイバをちょっと食べないというか、食が細いみたいなので、よく食べて成長してくれれば、本当に良い感じになると思いますよ。
-:やっぱりこういう瞬発力タイプというか、そういう馬はやっぱり好きなのですか。
圭太:う~ん、みんな好きじゃないですかね。ズブい馬が好きな人はあまりいないんじゃないかなぁ。
-:権利は獲りましたが、現状まだまだ成長して欲しいというか、食いが良くなって欲しいという感じですかね。でも、素質はけっこう感じていらっしゃるのかなと感じたのですが。
圭太:感じますよ。
-:東風Sで9着のヴェネト(牡7、栗東・藤原英厩舎)は勝ち馬の後ろにいたものの、最後は離されてしまいました。
圭太:以前は中山でも走ってはいましたけど、コーナーでモタれたり、コースの相性がどうなのかな、という気はしましたね。
-:馬場も先週の状態ではあまり合わない感じですか。
圭太:良い方がいいですね。
-:館山特別で7着のモクレレ(牡5、美浦・国枝厩舎)はスムーズだったらどうだったでしょうか。
圭太:いや、痛かったですね。ただ、勝ち馬は同じようなところにいて、あれだけの脚色だったので、強さを感じましたね。
-:3歳500万下で3着のヴァンランディ(牡3、美浦・藤沢和厩舎)はいかがだったですか。
圭太:後ろからになってしまったので、届かず、でしたけど、雰囲気があって良い馬ですね。まだ緩さも感じるので、この馬も良くなるのは先かな、という感じですね。まだ良くなりそうなムードですね。
-:3歳未勝利で3着のブライティアセルバ(牝3、美浦・武井厩舎)は勝ったのかなと思ったんですけど、その後ろからという感じでしたが、いかがでしたか。
圭太:上手に走ってくれて、頑張ってはくれているんですけど、勝ち馬(スマイル)が強かったですね。
-:4歳上1000万下1着のジュンスターホース(牡5、美浦・高柳瑞厩舎)は鼻出血があったようなのですが、最後はすごい脚で突っ込んできましたね。
圭太:そうですね。あまり出来ないレースというか、前半は全然付いていけなかったので、もう少し楽に行けるように、その辺を覚えてくれば良いかなと思いますね。
-:やっぱり精神面での課題が残っている感じなのですか。
圭太:まあ、そうですね。でも、良い方に考えれば、最後の脚はすごいのでね。
-:上がりのタイムを見ても、他の馬よりも相当上回っていたので。中山牝馬S(G3)で13着のランドネ(牝4、栗東・角居厩舎)は、スムーズだったらどうだったのかなという感じでしたが、いかがでしたか。
圭太:ここで行くしかないというタイミングで行ってしまったので…。十分な間隔がなかったので、そこも失敗しましたし、もう少し我慢していれば、外が空いたんですけど、それはそれで踏み遅れかなという気もするし…とはいえ、失敗は失敗ですからね。
-:結局、内にいた馬は割と難しい競馬になったのかな、という印象も受けたのですが。
圭太:ペースは流れていましたし、そこからまたちょっと来られたので、前は止まるし、内は難しかったですね。
-:ハイペースではないにせよ、流れているようでゴチャつく感じの展開だったかなという感じですかね。先週土日を通しての馬場の芝の状態はいかがだったですか。
圭太:外が良いのかなと思いますけど、展開次第ですよね。土曜の方が水分を含んでいる感じはありましたよ。
-:4歳上500万下で14着のプリメラビスタ(牝4、美浦・田中博厩舎)はいかがだったでしょうか。
圭太:とても良い感じだったんですけどね。追い切りも乗っていましたし、ゲートを出ればスンナリと良い勝負が出来るかと思ったのですが、芝の方が良いのかなという気がしますね。
-:3歳500万で3着のヴォイスオブジョイ(牝3、美浦・水野厩舎)もよく走っているんですけど、やっぱり序盤でああいうことがなければという感じでしたかね。勝ち馬(ホープフルサイン)も楽な競馬をしていた感じはしましたけどね。
圭太:そうですね。スタートでちょっと挟まれたのが痛かったんですけどね。スムーズなら、という感じですね。
-:3歳未勝利(1着の)イッツリット(牡3、美浦・和田郎厩舎)は、僕は3着馬(ドンヒューズ)が強いのかなと思っていましたけど、これはある程度、前々でという競馬を意識されていたのですか。
圭太:なかなか力を出し切れていない印象だったので、スムーズな競馬を心がけようとは思いましたけど、1800の方が向いている感じですね。
-:次週は中山での騎乗となるようですが、2週後には大阪杯も控えており、いよいよG1シーズンですね。引き続きよろしくお願いします。
圭太:よろしくお願いします。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は3月22日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。