'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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【皐月賞】相棒・ダノンキングリーと頂点目指し、第一冠へ
2019/4/12(金)
無敗馬対決を制し戴冠へ。昨年10月の2歳新馬戦からコンビを組み続けてきているダノンキングリーと戸崎圭太騎手。初戦は着差こそ僅かだったが、2戦目のひいらぎ賞を超高速決着の中、圧勝。年明け初戦、前走の共同通信杯では朝日杯勝ちの2歳王者を降し、着実に歩みを進めてきた。そして、いよいよ迎えるクラシック一冠目・皐月賞。今回はこれまで以上の相手が揃うが、世代の頂点に立つことができるのか。ジョッキー自身にとっては連覇の懸かる舞台。思いの丈をタップリと語ってもらった。
-:今週は待ちに待ったというファンも多いのではないかと思います。皐月賞(G1)ということで、かなり注目度の高い一戦ですが、今週のダノンキングリーの追い切りに乗られての感触はいかがだったでしょうか。
戸崎圭太騎手:ええ、最後の追い切りは馬を気持ち良く走らせる感じで、単走でフットワークを確かめる感じでしたけど、良い感じで仕上がって、雰囲気もとても良い感じですね。
-:ポリトラックということで、比較的、動きが良く見えやすく映る、そんなイメージがあります。
圭太:そうですね。その中でも、乗った感触も実際にいいと思いましたね。
-:それにしても、先週も伺いましたけど、先週はゲート練習にも乗られていたのですね。その前の2週前追い切りにも乗られていて、ということで、同じ馬にそこまで乗られているというのは、僕の記憶にはなかったんですけど、中央に来てから、今までそういうことはありましたか?
圭太:3週連続はなかったですかね。あっても、大体1週前と本追い切りの2回かな。
-:やっぱり珍しいですよね。2週前はウッドで追われていたと思いますけど、この馬に関して、ウッドでの追い切りに乗るというのは、デビュー戦の前以来でしたね。やっぱりウッドの方が負荷は掛かるというか、重たい馬場だと思いますが、そこら辺でも違いを感じられる部分はあったのでしょうか。
圭太:はい。でも、どうですかねぇ。時期が違うので、何とも比較しがたいですけど、2週前だったので、緩さもあったのでね。ただ、前を追っ掛ける感じで、引っ張りきれないくらいの手応えでしたけどね。
-:厩舎スタッフの方も、この馬に乗られていると思うんですけど、周りのスタッフの方々の評価の変化というのは、やっぱりデビュー当初とは全然違うものなのですか。
圭太:まあ、そうですよね。そんなに詳しくは聞いていないですけど、すごいということは感じていますよね。
-:心配な部分で言えば、精神的な危うさもある感じを受けたのですが、そこら辺はいかがでしょうか。
1週前追い切りは厩舎スタッフが騎乗
圭太:ねえ、その辺も、ここに来てドッシリしてきた感じがあって、成長したかなという感じは見受けられますよね。
-:ジョッキー自身は「馬が馬場に入ってから乗るようにしている」というケアというか、対策をされているのですね。
圭太:ケアというか、何というか、それは僕が志願したことなんですけどね。単なる僕の考えです。
-:でも、以前に比べて、そういう心配も今はそんなには、ということですか。
圭太:そういうドッシリ感も出てきたんですよね。
-:体の面での変化というのはどうでしょうか。
圭太:デビューから前走ぐらいまでは、一段とガツンと上がってくるような感じでしたけど、今回は…。今までがすごい成長の仕方だったので。
-:大きな上積みという点では、そこまでということですね。
圭太:そうですね。逆に精神面の方がドッシリとしたなという感じですね。
-:先ほどの話に戻ると、ウッドでもシッカリ追ってくるようなら、もっと良くなってくるのかな、という感は受けるのですが、そこは今後の楽しみですね。
圭太:ええ。
-:前回は共同通信杯ということで、上がりの速い決着だったと思います。改めてレースを振り返っていただくと、いかがだったでしょうか。
圭太:頭数も少なかったですし、特に動きもなく、淡々と進んだ感じで、本当に瞬発力勝負になりましたね。この馬の良さというのも、そこにあるのかなというのもあって、強い勝ち方が出来ましたね。
-:気になっている点の一つは、この馬本来の持ち味というか、突き詰めるとやっぱりそういう瞬発力という部分になるのですか。
圭太:そこは一つの武器というか、良さですね。
-:2戦目もマイルではありましたけど、けっこう速い時計で、持ったままで突き抜けているので、持ち時計という面でもちゃんと裏打ちがあるのかなという感じはするのですが。
圭太:そうですね。
-:前回の共同通信杯もよくよく振り返ってみると、2着馬(アドマイヤマーズ)とか他の馬と上がりタイムは随分違うタイムを叩き出しているんだなと感じはするのですが。
圭太:前回のレースを終えて、やっぱり手応えも増してきましたからね。
-:今週末の天気が分からない部分はありますけど、去年の年末の中山とはまた違った馬場になっているかなと思いますが、現状の状態での距離適性であったり、馬場はいかがでしょうか。
圭太:やっぱり、綺麗な馬場で走らせたいですかね。距離は前回の競馬でメドは立ったのでね。
-:2枠4番という枠順に関してはいかがでしょうか。
圭太:良かったと思いますね。大外や外枠は、競馬の組み立てが難しいかな、避けたいなとは思っていましたからね。
-:外目から先行というのは、以前も経験されていますし、この枠だったら、別に行きたい馬がいれば、行かせられるでしょうし、馬場は分からないですけど、レースはしやすい枠かなという感じはしますけどね。
圭太:常識的に考えれば、理想の枠だと思いますね。
-:ディープインパクト×ストームキャットという血統なんですけど、以前にも似た組み合わせの血統馬に乗られたことがあると思いますけど、似た部分というのはありますか。
圭太:う~ん、サトノアラジンやリアルスティールですよね。それともまた違うかなという感じはしますね。
-:この馬のセールスポイントというのは、改めてどういったところになるのですか。
圭太:やっぱり瞬発力ですね。先生も「スピード」というコメントしていましたけど、そういう器用さというのもあるんじゃないかと思いますけどね。
-:なるべく日曜まで良い天気で、レースを迎えられれば良いかなという感じですかね。
圭太:そうですね。
-:会見のコメントとかを見ていましたけども、なかなか今までの馬とは違った感じで臨む皐月賞、G1レースになるのかなという感じを受けましたが、そこらはいかがでしょうか。
圭太:ずっと乗せてきてもらっていますし、着実に成長も感じながら、一つ一つ課題もクリアしているので、僕自身にも自信を付けてくれているので、この「相棒」と一緒に…という思いではありますね。
-:去年のダービーの時も色々話を伺いましたけど、ああやってダービー(2着)を経験して、今年またクラシックに挑むというのも、また違った感じですか。
圭太:そうですね。ダービーへの思いというのもやっぱり強くなった部分もありますので。
-:ホープフルSでも同じレースに乗られていたライバル(サートゥルナーリア)が、おそらく1番人気になるのかなと思いますが、あの馬の強さとか、そこら辺は感じる部分はありましたか。
圭太:強いですね。同じレースに乗って強さは感じましたし、手強く思いますね。
ホープフルSのゴール前 戸崎騎手は写真奥のコスモカレンドゥラに騎乗
-:改めて皐月賞は連覇の懸かる立場だと思いますが、意気込みがあれば、まとめの言葉をいただけますか。
圭太:デビュー戦から乗せていただいて、さっきも言いましたけど、ドンドン成長してくれて、ドンドン楽しみにさせてくれる馬なので、そういう馬でG1に臨めるというのも嬉しいことですし、僕だけのことになりますけど、連覇も目指したいですし、そういう目指せるような馬に乗れていることも嬉しいことなので、ダノンキングリーと共に楽しんできたいなという感じですね。
-:ライバルも枠はスンナリとしたところに入っちゃったので、なかなかどうなのかという感じはしますけど、皐月賞は時として、けっこう速い馬場になりがちな感じもするので、そこは、ここまでの戦歴を見ていると強みなのかなという感じはしているのですが、何とか良い結果を、ということで。
圭太:そうですね。何とか勝つことだけを意識してレースをしたいと思います。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。