'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
祝・福島リーディング!新潟開幕週は昨年3着コンビでアイビスSDへ
2019/7/26(金)
いざ、勝ち盛りの新潟へ。4週間にわたって行われた福島開催では、JRA通算1000勝の金字塔を打ち立てた他、リーディングに輝き、実り多き夏競馬を過ごした戸崎騎手。次なるターゲットは新潟開催。札幌競馬での騎乗予定もあるが、こちらも福島に続き「2年ぶり」夏の新潟リーディング奪回となるか。注目いただきたい。(聞き手:競馬ラボ・小野田)
おめでとう!戸崎圭太騎手1000勝を祝して3大プロジェクト進行中!
-:先週で夏の福島開催も最後。夏の福島リーディングということでおめでとうございました!レース後は競馬場でインタビューも行われていましたが、2年ぶりのタイトルについて感じるところはありましたか。
圭太:最近は「リーディング」という言葉から離れていて、久々に聞くと、やっぱりいいものだなと思いました。週を重ねるごとに意識は強くなっていましたし、最終週を迎えるにあたり、どれだけの勝ち星なのか、把握していましたし、一時は(三浦)皇成が4連勝ということで危うく感じましたが…結局、目の前の一つ、一つのレースをしっかり乗ることでしか勝てないですからね。そこに集中するだけでした。土曜を終えて、勝ち星は並んでいて、日曜のレースは思うようにいかないところもありましたが、最終レースを勝って締めくくれたことも良かったと思います。
-:今年の福島は騎乗数こそ豊富でしたが、天候も安定せず、馬場状態も例年とは様変わり。一筋縄ではいかないと思っていましたし、僕もリーディングのチャンスはあるのではないかと思っていただけに良かったです。その中で勝利数も14勝と高い水準だったと思います。
圭太:ありがとうございます。最終週は特に意識はしていたので良かったです。
-:開催も替わり、今週から新潟開催。開幕週のアイビスサマーダッシュ(G3)ではナインテイルズに騎乗されます。昨年の3着馬ですね。
圭太:年齢も8歳とガラっと変わることはないかと思いますが、先生(長谷川浩大調教師)に会ったところ、馬は良くなっていると聞きました。昨年、好走しているようにコースの相性は悪くないでしょうからね。最善を尽くしたいです。
-:新潟の千直コースといえば、毎年話題にしていますが、日本ではここだけの直線競馬。ジョッキー自身は不得意なイメージはないと思いますし、好きなコースと聞くだけに、今年は久しぶり(2014年10月5日)の勝ち星も期待したいところです。
圭太:騎手の仕掛けどころや脚の使わせ方も問われるコースだと思うので面白いですね。やっぱりスタートが速い馬は有利だと思いますし、斤量の軽い馬は有利ですね。枠は内枠でもあんまり悪いイメージはないんですけどね…。ただ、外枠が沢山勝っているということは外の方がいいでしょうね。
▲昨年も7歳ながら3着に好走したナインテイルズ
-:土曜は3Rのシゲルグリンダイヤ、4Rのストイクス、6Rのスマートエリス、7Rのミケランジェロと3歳未勝利勢が気になるところです。
圭太:シゲルグリンダイヤは毎度、力を出してくれますし、あと一歩続き。正直、距離が延びるのはどうかというところはあるのですが、何とか勝たせたい馬ですね。ストイクスは小柄な牝馬ですが、2走前に3着もありますし、上手くハマれば一発があってもと思います。スマートエリスは前回の際に追い切りにも乗せてもらい、チャンスだと思っていましたが、こちらもあとひと押し。どうしても終いが甘そうですね。ミケランジェロは2走前に中山で乗せていただき、差しが決まる流れの中、よく踏ん張ってくれていますよね。しぶといイメージです。
-:土曜メインの佐渡ステークスはアクートに3年ぶりの騎乗になるようですね。
圭太:昔は硬さがある印象でしたね。ただ、このところはどこへいっても安定した成績を残していますね。
-:日曜の3R(2歳未勝利)のタイムマシンは前走で乗られていました。同じく2歳馬の6R(2歳新馬)のフォーテは追い切りに乗られたそうですね。
圭太:タイムマシンは一度使って良くなりそうな気配を感じました。フォーテはある程度、スピードもあり、力も兼ね備えていそうな印象でしたね。今週の栗東は馬場が水分を含んでいましたし、実戦にいってどう変わってくるか、楽しみです。
-:燕特別のヘブンリーデイズは3走前の東京で乗られ2着、最終レース(1勝クラス)のシゲルヒスイは前走で未勝利勝ちでしたね。
圭太:ヘブンリーデイズはキレるよりはしぶといイメージ。持ち味を発揮できたらいいですね。シゲルヒスイは未勝利の勝ちっぷりも良かったので、1勝クラスでも通用しそうな手応え。昇級して即といわれると楽ではないかもしれませんが、いいイメージで臨みたいです。
-:先週のレースでは、まず夏の福島最後のレースではサニーストームが圧勝でした。
圭太:スタートもすんなり決まり、二の脚も速かったです。新馬の時からレースセンスのいいイメージはありましたが、身のこなしなどは良くなっていましたね。この勝ちっぷりなら、昇級でも、と思います。
-:福島テレビオープンのベステンダンクは先行馬も差し馬も上位に来ていましたが、道中は中団からの競馬ながら、行きっぷりも良くなかったですね。
圭太:これは馬場がこたえましたね。綺麗な馬場でこそというタイプかと思います。
-:横手特別のシゲノブはテン乗りでしたが、5着。ハイペースの中、粘ってはいると思いますが。
圭太:モマれたり、砂をかぶるのが良くないタイプとのこと。その点、内枠でしたし、よく頑張ってはいるんですけどね。ただ、このクラスで十分やれるだけのものは感じましたよ。
-:3歳未勝利のウィローグラウスは1番人気に支持されるも5着でした。
圭太:結果的に勝ちに行き過ぎましたね。差し決着になってしまいましたから。
-:先週に限らずですが、芝のレースは内を大きく開ける競馬。ああなると、枠順も大いに影響しそうですね。
圭太:そうですね。内枠という時点で悪いところを走らされるので、その時点でマイナスだと思います。
-:土曜最終レースのシャインサンデーは快勝でした。
圭太:前走よりも状態が良かったですし、前走は負けたものの、力負けではなかったでしょうからね。土日とも最終レースで快勝できましたが、いずれも次も楽しみですね。
-:いわき特別のエイムアンドエンドは追い切りにも乗られたものの、やはり実戦と気配の差がありそうでしたね。
圭太:追い切りでは落ち着いていたものの、レース映像をみると、けっこう引っかかりそうだったので気をつけてはいましたが、やはりでした。道中でリズムを取り戻してくれたものの、そこからの粘りがなかったです。あれだけムキになってしまうと、距離も厳しいのかもしれませんね。なかなか難しいところですね…。
-:レッドイリーゼは前回、狭くなるようなところはありましたが、今回は巻き返しましたね。
圭太:展開もすごくこの馬向き。強さを発揮できましたし、いい勝ち方だったと思います。
-:新馬のヴォールヴィコント、オーシャンバローズとどうでしたか。
圭太:ヴォールヴィコントは攻め馬の動きから初戦という雰囲気。競馬でもその通り、走ってくれました。オーシャンバローズは追い切りの動きではどうかな…と思いましたが、この状態でこれだけ走れるなら良くなっていきそうですね。
-:モッシュピットは相手が悪かったですかね…。
圭太:初ダートもこなしてくれましたし、相手も強かったですね。ただ、チャンスはある馬だと思います。
-:アルジェンタータは前回の競馬を受けての今回だったと思いますが、惜しいですね。
圭太:外枠だったこともあり、いい位置につけられたのですが、そうなると、いつもの伸びがないのかなと。どうしても、色々噛み合わないと難しいですね。
-:今週も質問コーナーを取り上げたいと思います。まずは「競馬ファンになってから、ジョッキーの皆さんが格好良くスーツを着こなす姿に憧れました。お腹の出ていない30~40代になるという目標が出来ました。一般人にも出来るトレーニングを教えて下さい」という男性からの質問です。
圭太:腹が出ないのは、一番は腹筋じゃないですか。筋肉でやっぱり抑えられるからね。
-:そのままな意見でした(笑)。続いて「他の公営競技を観戦したり、購入したりすることはありますか?」という質問はどうでしょう。前にも聞いたかもしれませんね。
圭太:買わないけど、地方競馬はやっぱり観ますよね。特に南関東ですけど。休みの月曜はまず観ますし、レースを観ない時でも結果は見ちゃうし。
-:ちなみに、ここ最近で南関で気になる馬や騎手、挙げられるようなものはありますか?
圭太:あまりそうは見ていないけどなぁ。やっぱり最近は新人が出てきて、正直、分からない騎手が多くなって、顔が浮かばない騎手も増えましたよね。
-:でも、彼らからしたら、南関から羽ばたいた大先輩でしょうね。
圭太:もちろん交流で一緒に乗ることはあるだろうけど、もう近場にいないから。でも、どんな新人がいるのかな、というのは気にはなりますね。あとは今年の東京ダービーはまた例年と違う流れだったなと。そういうところで感じる部分はありますね。
-:これはハッキリと記憶はありませんが、「今でもレース当日はおにぎりを食べていらっしゃるのですか?」という質問は以前にもあったかどうか…ですが。
圭太:今は食べていないです。食べる時は梅干しが多かったかな。でも、もともとレースに乗っている間は食事を摂りたくないかなと。だけど、昔は糖質を摂るのにちょっと食べていたけど、今はそれも必要ない感じですね。
-:トレーニングに関しては、最近何か変わったことはないですか?
圭太:ないですね。色々トレーナーが考えてくれて、メニューはいつも違うのでね。先週と今週でやることは違いますから。
-:今でも厳しいのですか?
圭太:いや、段々キツくなってきていますね。でも、疲れというか、必要なことなので、良いんですけどね。
-:体重は変わらずということですよね。
圭太:いや、筋肉量は上がっていますよ。だから、51キロが今は乗れないですね。昔はそのまま乗れましたけどね。
-:年齢を考えれば、すごいですね。
圭太:今は体脂肪率も半分以下だからね。前が正確に分からないけど、6%だったから。
-:確かイチローさんもそんな感じじゃないですか?僕も昔は7だか8でしたが…。
圭太:もともと13~4くらいはあったので、別に気にもしていなかったので。それで、何十年振りにたまたま測ったら。
-:その効果というのはやっぱり感じますね。
圭太:もう…ありますね。
-:ということで、今週はこの辺りでとなりますが、次週はレパードステークス(G3)でヴァイトブリックに騎乗予定ということですね。読者の皆さんには1000勝記念サイトも注目いただきたいと思います。今週もありがとうございます。
圭太:ありがとうございました。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。