'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
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シリーズ・戸崎圭太を知る男たち ~同じ誕生日、血液型 気心知れた後輩ジョッキー~
2019/8/15(木)
大井時代の僚友が明かす、先輩ジョッキーの姿。戸崎騎手とは3歳差も、同じ7月8日生まれ、血液型はB型と共通項が多く、早くから不思議と馬が合ったというのが大井競馬の真島大輔騎手。2013年にJRA移籍以降も縁があるという、真島騎手からみた戸崎騎手のジョッキー像や素顔とは?また、中央から移籍してきたG1馬・ノンコノユメとの活躍や、初めてメディアに明かすという、自身の将来のプランまで語ってくれた。(聞き手:競馬ラボ・小野田)
戸崎騎手の1000勝達成記念パーティー・前売りチケットがいよいよ発売!
-:ご存知の通り、昔は大井競馬に在籍していた戸崎騎手とは3つ歳が違う真島騎手ですが、度々、会話の中で真島さんの名を耳にしていたので、いつかお話を聞ければと思っていました。現在、戸崎騎手とは、同じジムに通われているそうですね。
真:よろしくお願いします。ジムだけではなく、トレーナーも一緒ですよ。僕が先に通っていて、圭太さんは他のジムでもトレーニングをやっていたようでしたが、身体の調子が悪い時があって、「僕のところでやってもらった方がいいよ」と勧めて、治療から始まったんですよね。僕だけじゃなく、繁田(健一騎手)さんも行っていて、繁田さんからも「今のトレーナーの先生はすごいから、治してもらった方が良いよ」という推薦もあったようで、通い始めた結果、すぐに良くなったんですよね。
-:真島さんと戸崎騎手が同じ時間帯にトレーニングをすることはないですよね。
真:トレーニングでは一切ないですね。自分が行くのは土曜だったりするので。でも、今はトレーナーの先生と相談しながらやっているみたいですね。それが今はシックリきているとは少し聞いたことがありますね。
ジョッキーとしては大柄な真島騎手
減量の厳しさもありながら戸崎騎手の影響でグルテンフリーにも挑戦したという
-:そもそも今回は戸崎騎手が節目の1000勝をされましたし、久しぶりに戸崎騎手をよく知る人に話を伺えればと思っていたんです。戸崎騎手が大井時代の数年前にお二人の対談をやらせてもらったことがあるのですが、当時の内容は僕もあまり記憶になくて…(笑)、こうしてJRAに移籍されてからも、やり取りがあるわけですね。
真:そうですね。圭太さんがやっているグルテンフリーも去年の夏に自分も3カ月ほど試してみましたが、やれば確かに楽だったけど、食べるものがなくなります(笑)。圭太さんは「まだやっている」と言っていましたし、今でこそ(グルテンを含むものを)少しは食べるようですが、「家では全部グルテンフリー」と言っていましたら、奥さんも大変でしょうね。
-:食費もより掛かれば、食材を選ぶ手間も掛かりますよね。
真:そうですね。けっこう掛かるはずです。僕がやった時は、それこそ麺類も食べられないし、醤油もダメ。あれもこれも(NG)だからキリがないですね。醤油がダメになってくると、料理の作りようがないと思いました。でも、「体が違う」とよく言っていましたよ。
-:しかし、それを聞いてビックリしました。真島さんの大きな体格と騎乗スケジュールで、3カ月とはいえ、やられたというのはかなり大変だったんじゃないですか。
真:体はすごく楽になるけど、ストレスがすごいですね。金曜日に競馬が終わって、さあ食べようかなと思っても、気にしながら食べなきゃいけない…。僕はそんなに酒は飲まないから、ビールが飲めないことなどは苦にならなかったけど、食べ物はパンを一つ買うのも、グルテンフリーの米粉パンがある店に探しにいったり…。ある意味、そういうことにはハマりましたけど、大変です。
-:良い意味でスッキリとした感覚はどんな時に感じましたか?
真:やっている時は疲れなかったですね。その点、やっぱり今年の方が疲れているかな。この夏、一緒に福島競馬に行きましたけど、「夏場でキツくないの?」と聞いたら「全然キツくない。まだまだ乗れる」と言っていましたよ。それくらい違うみたいですね。
-:戸崎騎手とはずいぶんと長い付き合いですよね。
真:デビューしてから長いし、騎手の中では一番、仲良くしてもらっているかもしれないですね。中央に行ってからもずっと付き合いがあるし、色々なことを喋れますね。包み隠さずに話せるといえば、そうなのかな。
-:ある意味、「分かりやすい人」ですからね。
真:そうですね。だから、僕も一緒なんですよ。血液型もB型で一緒だし、生まれた日(7月8日)も一緒ですよ。歳が3つしか変わらないだけで、親近感もありますし、デビューしてちょっとしたら、すごく色々なことを喋ったりするようになって。ストイックという面ではあそこまでなかなかやれないですけどね。
夏の福島で久々にJRAでも騎乗
-:真島さんはデビュー当初、体重で苦労されたそうですね。
真:体重はキツかったですね。体重に関しては、ストイックじゃないと乗れないし、シビアにしないと乗れないし。
-:今は平均でどれくらいですか。
真:サウナで1.5キロくらい落とすし、重い時は2キロ落とすから、やっぱり53~54.5キロはありますね。レースに近くなれば、もっと抑えるけど、普段、抑えた生活をしてそれだから、普段からまともに食べられない感じですね。圭太さんは軽いですからね。逆にそれをやり出してから、また軽くなっているかもしれない。
-:最近聞いたら「1キロくらい体重が増えたのは、筋肉で増えたんじゃないか」と。「体脂肪率も6%で、力も付いている」みたいなことはおっしゃっていましたね。普段はどんな話をされるのですか。
真:プライベートで会うことは一切ないです。ここ何年もないんじゃないですかね。なにせスケジュールが違うので、どちらかが怪我や騎乗停止でもならない限り、会うことはなかなか難しいですね(苦笑)。でも、自分が20代前半で結婚してからもプライベートではそんなに会うことはなかったですね。競馬の日に喋ったり、ルームで飯を食べながら喋ることはありましたけど、外では…。すぐに帰っていたからね。
-:この夏の戸崎騎手は活躍が目立ちますが、同じジョッキーとしては、今の活躍を逐一、観られることはあまりないですか?
真:いや、土曜、日曜はグリーンチャンネルを観ています。ここ最近は、すごくハマりが良くなっているんじゃないかということは分かりますね。本人も「ハマりが良くなってきた」ということは言っていたから。逆に去年の勝っていない時、一時期は迷っているのかな、というところがありましたけどね。
-:そのハマりをファンにも分かりやすく教えていただくと…。
ノンコノユメでサンタアニタトロフィーを勝利した真島騎手
真:それはもう感覚ですかね(笑)。ハマりというのはおそらく言葉では表せないですね。乗った感覚だから…。でも、同じ騎手でも僕がどうこう説明できることじゃないですよね。
-:確かに去年の新潟はかなり厳しい結果が続いていましたし、今年は随分良くなってきたのかと思っています。
真:色々と試してきたことが身になってきたんじゃないですか。
-:ジョッキー的に見て、戸崎さんの良いところ、強みを教えていただけますか?
真:ポジティブですね。あとはストイックで、とにかく負けず嫌いですね。
-:精神力がある人だと思いますね。去年の今頃は暗かったですけどね(笑)。
真:そうは見せないですけどね。でも、交流でこちら(南関東)に来るとやっぱり落ち着くのか、楽しく振る舞おうという姿はありますね。無理しているのかなと思うことはあるけど、やっぱりこちらの人とはすごく喋りやすいのでしょうね。コッチに来たら「お前、乗れていないなぁ」とかハッキリ言ってくるから、ハハハ(笑)。
-:南関東の結果は逐一チェックされているようです。「レースも観る」と言っていましたからね。
真:騎手人生の始まりはコッチですから、気になるのでしょうね。
-:先日の福島では、逆に真島さんが戸崎騎手のいる場所に乗りに行きましたよね。
真:僕も喋る必要がないから、向こうの若い子と話すことはなかったけれど、(三浦)皇成は話しかけてくれて。でも、自分は蛯名(正義)さんやノリさん(横山典弘)といったベテランの人たちは普段から話しやすい印象だったし、あの日はいなかったミルコ(デムーロ)、(クリストフ)ルメールも自然ですよね。僕は圭太さんとばかり喋っていたけれど。 あと、南関東と違うのはスケジュールですよね。南関東はどうしても体は傷みやすいですね。中央みたいに、土日だけの方が体は長く持つかなと思います。賞金の面でもそれは言えます。あれくらい乗って、あれくらい稼げるなら、もっとパフォーマンスも上げられるとはすごく感じましたね。なにせ平日の間に、やることが一杯できるし、ケアにも充てられる。今のJRAの若い子もトレーニングをしたりしているそうですし、そういう積み重ねが段々と結果に出ているのかなと思いますね。ハッキリ言って、地方の若い子とJRAの若い子はレベルが違いますね。やっていることも違うし、考え方も違うから、その辺はコッチの若い子は見習わないと、ちょっと遅れている感がするな。
-:同じようなことを聞いたことがありますね。でも、地方競馬は数を乗れることの強みというのも、間違いなくあると思うのですが。
真:今で言えば(笹川)翼がそれくらいキチっと乗っているし、考え方もちゃんとしているけど、あれくらいしっかりしていないと。ただ単に乗っているだけではやっぱり厳しいよね。地方の子なんかは数少ないチャンスをモノにしていかないといけないから、その点はやっぱり違うのかなと。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。